旅の途中
ジックの作った魔動車は、すごい速さで走って行った。いつの間にかリュウタのお父さん達が見えなくなっていた。
「うわぁーー!!!ジック!止めろーー!!!」
「キューー!!!」
リュウタは飛ばされないように、必死でぼくの頭にしがみ付いている。
「アハハハハハ!なんでだよ!サイコーじゃあねーか!アハハハ!!!」
ジックは止める気がない。それどころかさらに速くなっていく。
止まれー!リュウタが吹き飛ぶー!けど、どうやって止めるんだー!ジックが魔動車を制御していて止められない!魔力は取られて続けている!ん?・・・考えてみれば、ぼくが魔力を送るのを止めればいいじゃん。
魔力を止めるとスピードが落ちて次第に止まった。
「おい!なんで止めたんだよ!」
「危ないだろ!後ろを見ろ後ろ!皆、気絶してるよ!」
後ろの席に座っている皆が気絶している。グリズベアルさんは後ろに仰け反りになり、ベイさんは魔動車の底で丸まっている。悪者さん達は口から泡を吹いていたり、舌を出していたり、白目を剥いてたりしていた。目の前で気絶した時を思い出すな、あの時よりひどい顔をしているけど。
「チィ!情けない奴らだな!まだまだ速く走れるっうのに!」
「止めろーーー!もっとゆっくり走れ!でないとご飯とワインを一生出さないぞ!」
ご飯で脅した後、ジックはものすごーくスピードを抑えて走らせた。皆が起きたのは夕方頃になっていた。
* * *
1日目はジックがスピードの出しすぎで、散々な目にあった。何もしないで終わった。2日目、皆スピードに慣れてきたのか、森の景色を楽しんでいた。魔動車は森を抜けて広い草原に出た。ほぼ平坦な道なので順調に進んでいく。このペースだとあと1日位でオルト王国に着くとホゼが言ったいた。一週間が3日で着くなんてすごいけど、ジェットコースター並みの速さではもう乗りたくない!なんだかんだしているうちに日が落ちてきた。
「よし!今日はここでキャンプだ!」
ぼくはアイテムボックスから小屋を出した。これは前に皆の為に作った小屋の一つを持ってきた。アイテムボックスは大きさに関係なく何でも入るので便利。魔法もあるので火おこしや水運びも必要ない!ただ薪だけは拾わないといけないのと、今晩の獲物を捕りに行かないといけないので、2つのチームに別れて行動する。
「ぼくとリュウタとジェイコブで獲物を狩りに行くから他の皆で薪拾いお願い」
「任してくれ、レンの旦那!」
「はい!レン様!」
ジックは魔動車のメンテナンスで残っている。明るいうちに獲物を狩りに行く。少し離れた小さな森で、角の付いた兎を三頭を捕まえけど、もう少し欲しい。
『ぎゃー!』 『ガオォーン!』
「キュー?」
「ん?何の音?」
草原の方から何か声がしたので行こうとすると。
「どこ行くんだ」
ジェイコブが話し掛けてきた。
「なんか草原の方から声が聞こえるんだ」
ジェイコブが草原の方を見ると、顔が青くなり怯え始め、するといきなり茂みに隠れた。
「隠れろ!ポイズンタイガーだ!」
ゆっくり茂みから覗いて見ると、四人が紫色の虎と戦って、一人が倒れている。人が襲われている!助けないと!茂みから出ようとすると。
「おい、ガキ!何をするつもりだ」
ジェイコブが服を掴んで止めてきた。
「何をって?助けるに決まってじゃん」
「バカかお前!逃げるぞ!」
「なんで?」
「お前が死んじまったら誰が金を払うんだ!」
「すぐ帰るから。じゃあ行ってくる~!」
「キュー!」
ジェイコブを振り払ってぼくとリュウタで虎のところに走って行った。
「そこの君!こっちに来ちゃダメだ!逃げろ
!」
襲われている一人が叫んでいる。
そんな事構わず、アイテムボックスからナイフを出して、走った勢いのまま、虎の首を切って胴体と頭を切断した。
一瞬の出来事に襲われて人達はその光景を見て呆気にとられていた。ぼくはそのまま怪我人の元に行くと、怪我人は傷口から大量の血と皮膚が紫色に変色していた。
「大丈夫ですか?怪我人を早く治さないと死んじゃう!」
ぼくが声をかけると四人が動き始め、一人が怪我人に回復魔法を唱える。
「キュア&ヒール!」
傷や皮膚の変色が治らない。
「ど、どうしようリーダー!このままじゃあカイルが・・・」
女性の魔法使いさんの顔が青くなっていく。
「ロザ・・・もういい」
リーダーさんが悔しそうな顔をしている。
「君、助けてくれてありがとう。君が来なかった、オレら全員命を落としていた。感謝する」
「あの、ぼくが治してもいいですか?」
「気遣いありがとう、だが無理だ。ポイズンタイガーは強力な毒を持っている。並みの回復魔法じゃ効かない」
ぼくはリーダーさんの話を聞かず、怪我人さんに、日本の不思議な呪文の言葉を唱える。
「痛いの痛いの、飛んで行け!」
傷と皮膚の変色が消えていった。
ありがとうございます(о´∀`о)ノ




