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hajimari

初投稿になります!

どうぞよろしくお願いいたします!


陽の光が眩しい。

今日もいつもと同じ、朝から森へ入り、いつもの大岩の上で朝日に照らされていた。

岩の周りには大量の野草と山菜が散らばっている。


俺、セイは今日で多分10歳になる。多分というのも、俺には親がいない。親代わりのシスターによると、ある日モンスターによって焼かれた村の避難民が逃げてきた際、村人の一人が道中で籠の中で眠る赤ん坊を見つけ、教会に連れてきたそうだ。

暮らしはシスターと2人。小さな村の古びた協会の裏の小屋で暮らしている。決して裕福ではないが、村人同士で食べ物を分け合ったりしながら暮らしてきた。


そんな俺は5歳ごろから毎朝森へ行き、村で分け合うための山菜を採っていた。流石に子供だけでは難しい為、村の守りをする元兵士のおじさんとその息子であるアレンの3人でだ。

だが今日はアレンと二人。7日後に、10歳になると行われる「授与の儀式」が街であるためその準備でおじさんは来ていなかった。


「おぉ、またこの岩の上にいたのか。いつもいつも、よく飽きないもんだな」


アレンが森から大量の袋を抱えて歩いてくる。


「いい光なんだよ、お前も来てみろって」

「いいよ、昨日もお前に見せられたからよ。それより、明日から街へ向かって出発だな!俺村から出んの初めてだぜ!」

「はは、俺もだよ、楽しみだな!今日も大量に採れたし、さっさと帰って準備しよう」


__________


「「ただいまー、山菜とってきたよ。」」

「おう、おかえり、いつもに増して大量だなぁおい」


元兵士のおじさんこと、アッシュおじさんが少し呆れたように部屋から出てきた。

「おやじー、こんだけあれば明日からの旅の食糧は十分だろ!それに親父抜きでこんだけ採ってきたんだ。すげーだろ」


アレンは胸を張りながら満足げに言った。


「おいアレン、お前勘違いしてないか?明日からの食糧に山菜は持っていかないんだぞ?昨日おじさんが言ってただろー」

「えぇっ、マジか…」

「がっはっはは、アレン、お前はもっと話を聞け。だがまあ、俺れたちが留守にする間の村の連中の食糧にしては十分だろう、二人ともよくやったぞ。まぁこれで安心して授与の儀式に参加させられるな!」


「へっ、まぁそうだなー、まぁ結果オーライってやつだぜ」

「なんだよその言葉―、あ、俺シスターに山菜持っていきますね」

「おう、宜しく!じゃ明日の朝ここに来いよ?」

「寝坊するなよセイ?遅れたら明日からごはん少しよこせよ」

「遅れないようにするよ、じゃあまた!」



____________


「シスター、戻ったよ。」

「おかえりセイ。二人だけで森へ行ったらしいじゃない、大丈夫だったの?」

「大丈夫に決まってるだろー?森に出るモンスター程度余裕だよ」

「そう、ならよかったわ。朝ごはん出来てるから、食べなさいね」

____


「明日からシスターのごはん食べられないのか…」

「でもせっかくの授与の儀式よ?やっとセイの才能がわかるわね」


シスターは嬉しそうに、でも少し寂しそうに笑っている。


そう、「授与の儀式」とは10歳になった子供が自身の才能を神様に問うものなのだ。子供たちはそこで気づかされる才を獲得することで、この世界で生きるスキルを得られる。また、才を得た子供たちは、儀式の中で自分の進む道を決める。一見、人生の決定をすることが難解に思われるかもしれないが、才を得るとともに自分の道がおのずと見えるらしい。


「シスター、寂しそうにしないでよ。」

「寂しいよ、儀式で道を決めるんだ。多分、セイもアレンもこの村に帰っては来ないだろう?」


「……そうだね。たまには帰ってくるつもりだよ?でも、夢があるんだ。この世界をもっと知りたいって」


いつもの岩からの陽の光でさえあれだけ綺麗なんだ。毎日その光景を見ているうちに、もっと世界の美しさを知りたいと願うようになった。


「私も、昔は大きな町にいた。たくさんの出会いもあったし、楽しいこともあった。でもつらい事、苦しいこともあったんだ。結局、なんでかわからないが、今はこうやって僻地の村で小さな教会でシスターだ。何があるかわからない人生だよ。寂しくなったらいつでも帰ってきなさい、待っているからね」


シスターの言葉に寂しさと大きな安心を感じ取りながら、セイは人生で"最後"のシスターの料理を味わっていた。


_______


「早いもんだね、アレン。もう街が見えるぜ」

「旅って言っても、山を越えていただけだからな」


村で子供はアレンとセイの2人だけ。その二人を乗せたガタガタの馬車はついに街に到着した。

「お前ら、緊張してるかー?」


唯一の同行者であるアッシュおじさんがニヤニヤしながら聞いてくる


「緊張なんかしねぇよ親父、ただ街ってでかいんだな…って驚いてはいるけど」


俺たちの住む村は木の柵で囲んだ程度の頼りないものだったが、今前にそびえるのは街を守る、石でできた大きな壁である。


「はぁぁ…これが街か。すげーなこれ。」


俺は今まで見たこともなかった光景に緊張よりも感動が勝っていた。


「街では宿をとって、次の日の昼に街の教会に行くぞ。」


「「おおぉ!!」」

俺とアレンは期待に胸を膨らませながら街の門をくぐるのだった。


_______


宿についた。街の中では安い部類に入るらしいが、田舎者の俺たちにしては豪華すぎるぐらいだった。

「すごいぞ!寝床が柔らかい!」

「これは……街最高だ」


今までにない体験がそこら中に散らばっている。最高の気分で大はしゃぎな俺たち二人を、アッシュは温かい目で見つめていた


(俺も昔はこんな感じだったな……懐かしいもんだぜ全く)


「おいお前ら、俺は冒険者ギルドに顔出してくるから、おとなしくしてろよ?」


冒険者ギルドとは、主に街を守る役割からモンスターと戦ったり、あるいは店の臨時店員だったりと幅広い仕事をする人々の集まりである。シスターに常識を教え込まれたのでその程度は知っていた。


「おじさんが何でギルドに?」

「あぁ、俺は昔ギルドに所属していたからな」

「だから親父強いんだぜ?まあ冒険者で兵士の仕事をよく引き受けてたらしいしな」


そうだったのか、だからおじさんは街のことに慣れていたし、森でのモンスターとの戦い方にも詳しかったんだな。ただの兵士ではそこまでの事は分からないはずだとは思っていたが、冒険者であったとは驚きだった。


「じゃ、行ってくる。帰りが遅くなるから、早く寝てろよ」


おじさんがいなくなってから、二人で一通り騒いだ後、疲れて寝床に入った。

俺とアレンは明日の儀式と街での経験に期待しながら、夢の世界へと落ちていった。


_______


次回:〇〇〇〇死す!?


お楽しみに!(^^)!

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