天気予報
委員会が終わって帰ろうとしていた私は、黒い雨雲に覆われている空を見上げていた。
「雨降ってきましたね」
下駄箱に向かって歩き出そうとした私に、後輩の男の子が声をかけてきた。
「そうね。降ってきちゃったわね」
彼は、振り向いた私の元に駆け寄って来ると、話し始める。
「先輩。傘持ってきてます?」
「そう言う君は持ってきているの?」
彼の質問に、私は質問で返した。
「…一応は。今日の天気予報は雨でしたしね」
何故か彼は、言葉を濁してそう言った。
「そう良かったわね」
私が顔色を変えずにそう言うと、彼はにやけた顔で話をつづけた。
「それで、先輩は持ってきたんですか?」
「そうね…忘れたかもしれないわね」
「もしよかったら送りますよ」
彼は自慢げな顔のそう言った。
「ありがとう。じゃあお願いしようかしらね」
その言葉を聞くと、彼はパッと効果音がなるような笑顔になっていた。
「そうなると、相合傘ってやつね」
「そ、そうですね」
私が彼の顔を覗き込みながら言うと、彼は耳まで真っ赤にしながら返事をする。
「私は初めてだからお手柔らかにね」
そう言うと、彼は慌てながらしゃべりだす。
「か、傘とってきますんで待っててください」
「わかったわ。ありがとうね」
彼は私の言葉を聞くと、1年用の靴箱に向かって走っていった。
彼を見送ると、私はおもむろに鞄を開いて。隅にある折り畳み傘に目をやる。
「…ふぅ。天気予報ぐらい見てるわよ」
そんな独り言を呟いていると、外から聞き慣れた彼の声がする。
「せんぱ~い!」
頑張って走ってくれたのだろう。そのことを考えてクスッと笑うと返事をする。
「今行くわ」
そう言って、私は折り畳み傘を鞄の底に隠すと、彼の元に走り出した。
今日雨降ってたからー。いいなーこんな恋愛したかったなー(1人傘さして下校w)