ヤンデレ彼女との1日をちょっと振り返ってみた。【午後】
四時間目の終わりを告げるチャイム。
それは授業という束縛から一時的に僕らを解放し、昼休みという自由を与える音。
昼休みになればもちろん昼食をとる事が出来るわけで、購買でパンを買って友人と喋りながら昼を過ごす者もいれば、彼女の手作り弁当に舌鼓をうちリア充生活を謳歌する者もいる。
そして、僕は多分後者に位置するのだろう。
「多分」「だろう」などという表現を使っているのは、僕の場合、客観的にみれば「彼女に手作り弁当を作ってもらって、周りを気にせずイチャイチャしてるリア充野郎」くらい思われてるのだろうが、実際は若干、いや結構違う。
実際は「彼女が手作り弁当(愛の隠し味入り)を作ってきて(でもすごい美味しい)、周りを気にせずイチャイチャされる(ここに僕の願望はない)リア充野郎(認めないとカズに叩かれる)」なのだ。
まぁ、そんな昼もさすがにもう慣れたが。
「修二くーん。今日もお弁当作ってきたよー!」
「ありがとう愛華。いつも感謝してるよ。」
「そんな…私は修二くんが喜んでくれればそれだけで…」
緩みきった愛華の顔の向こうからカズが涙目で睨んできてるけど気にしないでおこう。
「いや、でも無理してないか?無理して毎日作ってこなくて良いんだよ?」
「…え?修二くんは私の作ったお弁当を食べるのが嫌なの…?」
次は彼女はそう泣きそうな声で言った。
女子の泣きそうな声には、例え神でも勝てないだろうな。
「そんなまさか。でも、やっぱり疲れてる時は無理しないほうが良いよ?」
「…うん。」
「僕にとっては、愛華の弁当が食べれないことよりも、愛華が体調を崩すほうが辛いんだ。」
ぼくがそう言うと、彼女はまた少し顔が緩む。
「えへ…修二くんが私の事を心配してくれた…。」
この緩んだ顔がまたとても可愛い。
「さ、せっかく愛華が作ってくれたんだから残さず食べなきゃな。」
そして、弁当の蓋を開けると、それはそれは、とても豪華な弁当がそこにはあった。
そして、その中心にある白米の上には、海苔で「愛シテル」の文字が。
「っ…。」
「えへっ」
…高校生カップルってみんなこんななんだよねそうなんだよね?
そして、すーぱーしあわせりあじゅうタイム(仮)を終えた僕は、5時間目の支度をする。
少し向こうから、また涙目のカズが睨んできてるけどそっとしておいてあげよう…。
授業をぼーっと聞いているとなんだか眠気が。
「ふぁぁ…眠くなってきた…。」
昼飯の後、暖かな陽気も重なって強烈な眠気が襲ってくる。
うとうとしている内に、瞼が重くなり、先生の声がだんだん遠ざかっていって…
…修…………
…修…くん…
…修二くんっ!
「…ぁ」
目を開けると、そこには少し頰を膨らませた愛華がいた。
「ん…?寝てたのか?」
「そうだよっ!もう…」
なんと、6時間目が終わってしまっている。
これではカズと一緒ではないか、一生の不覚。
「5時間目終わった時も起こしたのに…。やっぱ遅くまで携帯なんてしてちゃダメだよっ!」
「あぁ…本当だな。…そういえば、なんでお前、俺が昨日遅くまでアプリしてたって知ってるんだ?」
「えっ!?あぁ〜…なん…となく?」
「ほら、昔から一緒に居るからなんとなくわかっちゃうんだよ!」
「そ、そうか。」
そう言うと、僕は帰りの支度を始める。
その向こうで、愛華が何か呟いていた気がするが、まあいいか。
「…修二くん、私はいつでも見てるんだからね?」
帰り、同級生や先輩の声が飛び交う部活の時間。僕は一人校門を出る。
いや、やはり一人ではない。
「修二くん、今日はおばさん達遅いんだよね?」
「じゃあ私が夕食作りにいってあげる!」
「え、そんな悪いよ。」
「いーの。私が行きたいからいいの。」
そして、彼女は僕の腕を強引に、優しく、楽しそうに引っ張る。
「あはは、分かった分かった。」
僕の家に着くと、彼女は慣れた足取りでリビングに行く。
「修二くん。晩御飯は何が食べたい?」
「あー、まぁなんでもいいかな。」
「もぅ、そういうのが一番困るんだよ?なんでもいいなら修二くんの嫌いな鯖の…」
「ハンバーグでお願いします。」
昼も言ったが、彼女の作る料理は本当に美味しい。店開いても通用すると思っちゃうくらい。
僕は、彼女特製の絶品ハンバーグを夢中で平らげた。
「そんなに美味しい?」
「とっても。」
「えへへ…」
「あぁ〜ごちそうさま〜。」
「うん。お粗末さま。」
「美味しかったよ。ありがとう。」
「喜んでもらえたなら嬉しいよ。」
「お前、この後どうするの?」
「修二くんはどうして欲しい?」
「えっ?まぁ、もう疲れてるだろうし家に帰っ…」
「どうして欲しい?」
「えっ、だから家に」
「どうして欲しい?」
「…まだウチに居るか?」
「うんっ!そうする!」
彼女は万遍の笑みでそう言った。
まぁ、別に風呂に乱入されたりはされなかったけど。別に期待はしてなかったけど、少し本当にやって来そうだと思って警戒したが、寝るまで何もなくてよかった。
そんな不安もよそに、僕は愛華を家に帰し、ベットに入る。
けど、深夜、体が重くて目が覚めたらーー
ーー彼女が横で寝ていた…。
「えっ?」
確か、寝る前、さすがにもう夜遅いからと言って家に帰したはずなのに、なぜいるのだ。
僕が戸惑ってると、彼女がモゾモゾと動き出す。
「…ふぁ?…あれ、起こしちゃった?ごめんね?」
「あぁ、って、なんでここにいるんだよ?確か家に帰したはず…」
「えへ、我慢できなくて…」
「我慢って、なんの?」
「それはもちろん…」
「修二くんへの愛が、だよっ?」
是非、ブクマ、感想お願いします。
読んで頂き、ありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。