ヤンデレ彼女が何か企んでるようです。8
退屈な一日だった。
というのも、今日は愛華が僕に冷たかった。理由は分からない。いつもは、時間があれば場所に構わず抱きつかれたりして大変なのだが(主に周りの目が)、今日はそれらがないどころか、朝一言挨拶をしただけだ。愛華に何かしちゃったのか?
むしろ、昼にカズが言っていたが、僕が何もしないから拗ねちゃったのか?
考えても全然分からない。
「まぁ、明日には元に戻ってると思うし、今日は帰るか。」
と、呟いて、僕は愛華たちの居る教室を後にする。
一人でこの道を歩くなんて、いつ以来だろう。小中高と、通学路があまり変わらないから、いつも隣には愛華がいたことになる。
この道を歩くと、いろんな事が思い出される。
小学校の頃。
あの頃の僕らは、無知で、周りの目というものをよく分かっていなかった。
幼稚園時代から仲睦まじかった僕らは、小学校に入学しても変わらぬ様子だった。
愛華は昔から美人、と言うより可憐な少女だった。また、僕は自分で言うのもなんだが、小学校の頃から顔は割と整っていたらしく、運動もできた。なので結構モテた。と言っても小学生レベルの話だが。
なので、そんな二人が仲良くする様子は、周りから見れば異質で、不愉快で、嫉妬の対象になっていたらしい。まぁ、僕は男子には割と人望もあっただろうし、そんなに何も起こらなくて済んだ。
だが、愛華は違った。
入学当時から、愛華は僕にべったりだった為、女子との交流がほとんど無かった。むしろ僕を通して、男子と話す機会の方が多いくらいだった。
なので女子にとって、あまり仲良くない上にモテる?僕と仲良くしている愛華は、イジメの標的になった。
最初は、陰口から始まった。次第に、だんだん表立ったことが起こるようになった。愛華の持ち物が隠されたり、ハブられたりされるようになった。男子が愛華の味方だっただけ、マシだったのか。
ある日、女子が愛華にある一言を言った。
「伊倉くん、裏で愛華の陰口言ってるんだよ。」
当然、僕はそんな事絶対にしない。女子の作り話だ。だが、愛華はそれを信じてしまい、それを聞いた瞬間、愛華は泣き喚いた。僕が教室に戻ってきて理由を聞いても、女子は「知らない」と突き通す。愛華に聞いても泣いていて言葉になっていない。とりあえず、愛華を慰めようとする。
少し収まると、愛華の声が少し言葉になる。
「修二くんがぁ…ひぐっ…私の悪口…言ってるって…ううっ…」
「誰が?」
「あの子が…う…ぅ」
その瞬間、僕は人生で初めて、本気で怒った。この時以上に怒った事は高校二年の今になってもない。他の男子が僕を止めなければ、僕はあいつに手を上げていただろう。
その日の夕方も、愛華はずっと泣いていた。あの時とは違い、「僕に嫌われてなくて安心した」涙だが。
「修二くん…ほんとに私の事嫌いじゃない?」
「嫌いなわけないだろ。」
「…悪口言ってない?」
「死んでも言わない。」
「ほんと…?」
「あぁ、もちろん。」
「う…うっ…」
「ちょ、愛華。」
「ううっ…うぁ…ひぐっ…」
「愛華、泣くなって。ずっと側にいるから。」
「うわあああああっ!しゅうじぐぅぅぅぅんっ!」
「あはは」
と言って、僕に抱きついてくる愛華の頭を撫でた。
そんな事があったのもこの道だ。
そして中学校の頃。
だんだん色んな事を覚えてくるこの時期。いわゆる思春期だ。周りでも中学生カップルと言うものができ始め、男女という意識が高まり始めるこの時期。当然、愛華は色んな人に告白された。僕は?と思うが、僕は男子グループのツッコミ役みたいな微妙な立場の上、愛華がいたのでなかなか僕と親しくなろうという女子はいなかった。
また、意外かもしれないが、この頃僕と愛華は付き合ってなかった。もうほとんど恋人みたいなものだったが僕はまだ愛華に告白してなかったし、愛華はまだ僕に告白してなかった。
なので、世間的には付き合っていなかったわけで、愛華に告白する男子は多かった。同じクラスの奴から、先輩後輩、女子に凄いモテるイケメンなどなど、あげればきりがない位に。
まぁ、愛華はそれらの全てを丁重にお断りしたらしいのだが。理由は「恋愛に興味がない」「忙しい」などなど。受験を理由にしたこともあったらしい。
そう、受験だ。偶然、近くにまあまあ進学校である林道第一高校があって、愛華はそこを受験すると言っていた。まぁ僕も第一高は射程圏内だったので、二人とも同じ高校を受験した。今こうして同じ高校に通っているのだから、結果もお察しだろう。
合格発表の日の帰りも、二人でこの道を歩いた。
喜びと安堵が重なってオーバーヒートしていた僕に、愛華が声をかけてきた。
「ねぇ、修二くん。ちょっといいかな。」
「…?」
「また三年間、一緒だね。」
「あぁ、そうだな。」
「受験勉強、大変だったね。」
「あぁ、愛華に教えてもらわなかったら、ヤバかったよ。」
「あはは。でね、私思ったんだ。」
「何を?」
「幼稚園から修二くんと一緒で、高校で離れ離れにならなくて本当に良かったなって。」
「…。」
「でも、もうこれからはそうはいかないかもしれない。」
「高校に入ったら、修二くんは彼女を作るかもしれない。」
「そんなこと…。」
「もし、そうなったら私は修二くんの隣に居れなくなる。」
「そんなのは絶対にやだ。」
「…。」
「だから、そうなる前にって思ったんだ。」
「…愛華?」
「一度しか言わないからね。」
そう言うと、彼女は一つ咳払いをして、
「伊倉修二くん。私と、」
「私と、付き合ってください。」
「あぁ…」
「あぁ、喜んで。」
そうして、合格発表の日に愛華に告白されたのもこの道だ。
そんな思い出に耽っていると、気がつけばもう自宅がすぐ近くにきていた。過去を振り返るようにして、ふと来た道を振り返って見るとーー
ーー愛華が、数十メートル先からこちらを見ていた。電柱の陰から。
合格発表の日の話は、またいつか書くかもしれません。ていうか、小学校の頃の修二くんイケメンすぎません?
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