エピローグ -雨降って地固まる-
それから10日後、授業再開となる月曜日。
「ふわぁ」
焔が欠伸をしながら教室へやってくると、中がなにやら騒がしい。
「またかよ…」
今度は何だ?と思いながら入ると、案の定伊織の席を京太郎の取り巻き5人が囲んでいた。
しかし、いつも真ん中にいる京太郎の姿が見えない。
伊織は困った顔をしており、瑛里華とミラとハークは側で様子を見ている。
燿子は席で本を読んでいたようだが、栞を挟んで静かに見ていた。
焔が教室に入ってそろそろと近づくと、
「「「すみませんでしたぁ‼︎」」」
5人が声を上げて謝罪し、一斉に土下座した。
『えええええ⁉︎』
クラス中がどよめく。
「ちょ、ちょっと通して……。伊織!」
「あ、鬼城君!」
「なんだこれ?どんな脅し方したんだ?」
「ち、違うって!僕は何もしてないよ!」
京太郎の取り巻き改め、アフリカ系アメリカ人の男子生徒がウォード・ウェスカーJr.、糸目の中国人男子生徒がジョニー・リー、茶髪でサイドテールの日本人女子生徒が小泉ちはや、クセのある金髪のカナダ人女子生徒がレベッカ・ジョンソン、おでこを上げてカチューシャをしたショートヘアの日本人女子生徒が吉村美緒だ。
女子はスカートが短いせいで、後ろからだとパンツが丸見えになっている。
「ほら、みんな立ってよ!いきなりどうしたのさ?」
「今まで悪かった!」
「俺たち、本当はわかってたんだ!お前がいい奴だってことは!」
「でも、京太郎を放っておけなくて…」
「なによ、今までのこと、京太郎のせいにするつもりなの?」
ミラがキッと睨みつける。
「違う!そうじゃない!」
「京太郎には、どうしても許せないことがあったのよ…」
5人が語るには、去年のランキング戦で最初に伊織と京太郎が戦ったとき、まだ余力のある伊織が手加減をして京太郎にわざと負けたことがきっかけらしい。
京太郎には難病の妹がおり、その妹の治療費のために放課後も休みの日も掛け持ちでバイトをしており、ランキング戦で良い結果を残して給料の良い所に就職しようとしていたのだ。
しかし、力があるのにそれを使わずヘラヘラとし、努力している自分に手加減をして、その結果自分が上に行くことが京太郎にはどうしても許せなかった。
そして、京太郎の妹も“エリカ”という名前で、自分の大切なエリカが今も苦しんでいるのに、弱者を見下す伊織は同じ名前の瑛里華を笑顔にしている。
京太郎は、伊織に嫉妬していたのだ。
「……知ってるよ」
「え?」
「あの日の夜、京太郎君が僕の家まで来て、玄関の前で同じように土下座して謝っていったんだ。理由も全部聞いた」
「いきなり来たと思ったら涙流して謝り出すんだもの。伊織のお父さんとお母さんもびっくりしてたわ」
瑛里華の実家は、伊織の実家のお隣である。
「事情を知らなかったとはいえ、僕は京太郎君に残酷なことをしてたんだと思う。だからお互い水に流そう、って」
「伊織ぃ……」
「だからウォードたちも気にしないで。一からやり直そう?」
「うおおおお伊織ぃ‼︎」
「うわああああ⁉︎」
5人は号泣しながら伊織に抱きついている。
瑛里華はそれを見てどこか満足で、ハークとミラは苦笑している。
「なあ、その京太郎はどうしたんだ?」
「え?あぁ、今日はまだ来てないんだ…」
「なんか、新しいバイト始めたらしいんだけど、よくわからなくて」
と、タイミングよく焔のスマホにその京太郎からメールが届いた。
内容は『向こうにも魔法使いがいるなんて聞いてねえぞ‼︎』と書かれている。
そのバイトを紹介した張本人である焔は、ニヤニヤしながら『早くしないとHRが始まるぞ』とだけ返信してスマホの電源を落とした。
「これで一安心、かな」
焔はこれで仕事にかかれる、と思う。
自分がこの学園にやってきた理由、星宙魔導学園理事長、不知火ハーシェルを倒す為に。
焔が席に着こうとすると、燿子が立ち上がって焔の進路を塞いだ。
「?燿子、おはよう」
「鬼城焔…」
「え?なに?」
燿子は左手で刀を持ち上げてこう言った。
「私に魔法を教えてくれ‼︎」
「……はぁ⁉︎」
- To Be Continued -
ここまでお付き合い頂いた皆様、こんにちは。仮面堂です。
勢い余ってプロローグでも後書きを書きましたが、まあそれはそれということで。
ここまでのお話は、本で例えると第1巻分のお話。
ここからまだまだ続きの構想が沢山あります。
今のところ何をしたいのかわからない主人公。まだ頭角を現さないヒロインたち。何気にお前は主人公か伊織。美味しいところを全部持っていく京。
我ながらわかりづらい入り方をしたかなと思っています。ハイ。
各キャラクターにスポットを当てつつ、新しいキャラクターを登場させつつ、星宙魔導学園を舞台に鬼城焔の戦いを続けていきたいと思います。
焔の過去や、サブキャラに焦点を当てたショートストーリーも考えているのですが、それはもう少し本編の軸がしっかりしてから徐々に付け足していこうかなと考えています。
ここまで読んで頂きまして、重ね重ね本当にありがとうございます。
そして、興味をお持ちいただけたのであれば、もう少し先のストーリーにお付き合い下さい。
では、今回はこの辺で。
仮面堂




