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手裏剣について

「さあ、忍術を見せなさい!」


 目の前に立つ白銀の鎧の女に、俺は無言となるしかなかった。

 薬を調合していた俺の手元は、注いでいた水で溢れる。


「あなた忍者よね?」


 女は腰を折り、俺の目線近くまで顔を近づけ問う。

 櫛が良く通った綺麗な黒髪の可愛い子が俺に顔を近づける。


「は、はい」


 女の近づいた顔に驚き、俺は後ずさりながら応える。

 動悸を抑えるために咄嗟に距離を取る。

 この突然の出会いにより、俺は苦労忍となるのだった。



 ― 忍びの里 ―

 俺が住む里は、俗に言う忍びの里である。

 昔々、日本の河野に住んでいた我が一族は、突然この地に飛ばされたと聞く。

 元々住んでいた日本では魔物が生息していなかったのもあって、当時のご先祖様は大変苦労されたそうだ。

 しかしこの地を収める王国との交渉の結果、住む土地を任され今に至る。

 独自の文化を持つ我が里を目的に、行商人が日々往来し、活気に溢れる。

 つまり、隠れ里ではない。

 そこそこの知名度を持った里であると認識して欲しい。

 そして住む住人全てが忍者である。

 幼少の頃より年長者から忍術を習得し、免許皆伝と共に希望するものは他所に旅する。

 我が里から輩出された忍者は、ダンジョン攻略において斥候役で優秀と有名だ。

 また、王国で諜報役として活躍している忍者もいる。

 俺もいつか世界を旅し、有名になるのが夢だ。



 そんな我が里に一風変わった女が現れた。

 里長が周知していたが、その女は王国公認の勇者様だという。

 勇者様は、王国の秘匿された召喚術により日本より召喚され、魔王を討つための旅の途中だという。

 ただ、日本食に飢えているため、旅の途中であるがこの里に寄ったそうだ。

 そんな勇者様であるが、また俺の前に現れた。


「見つけたわ!さあ、忍術を見せなさい!」


 目の前にいる勇者様は口調とは裏腹に目を輝かせ俺に言う。


「忍術と言われましても、何を見せればいいのでしょうか?」


 里長より滞在中の勇者様に粗相をしてはならないと固く言いつけられているため、俺は従順な態度を取る。


「そうね、とりあえず手裏剣でも見せてもらいましょう!」


 手裏剣か。

 俺は手ごろな石を拾い、近くの木に投合する。

 投げた石は木にめり込む。

 俺は勇者様に視線を向けた。

 勇者様と視線が交差する。

 何故か無言だ。


「あの、手裏剣見せましたけど?」


 俺は覗き込むように勇者様の顔を伺った。

 勇者様の口がパクパクしている。

 何か怒っているようだ。


「あの「何、石投げてるのよ!手裏剣投げなさいよ!」」


 俺の言葉に被せるように勇者様が声を荒げた。


「え?手裏剣ですよね?手裏剣を投げるって?」


 勇者様は言葉が苦手なのかな。

 手裏剣って物を投合することだし、物を投合する動作を投げる?はて……。


「だから手裏剣よ!卍の形の鉄の刃よ!持ってるでしょ!?」


 俺の反応が悪いからなのか、地面に絵を描いて説明してくれる。

 勇者様は中々に絵心があるなと関心する。


「すいません。持ってません」


 俺は知らないため、こう応えるしかなかった。


「あなた忍者でしょ!!何で持ってないのよ」


 勇者様は呆れ顔で俺に言うのだった。

 いや、だって意味がわからないし。



 ― 忍者の手裏剣について ―

 勇者様の知識では手裏剣は投合用の刃物を指すようだが、俺が習った手裏剣とは投合することを指す。

 手裏剣は、動作であって物ではない。

 なので、石でも木でも投げることが手裏剣だ。



 勇者様に説明したが納得してもらえないようだ。

 そして、勇者様がイメージする手裏剣?の製作を里長経由で鍛冶師に依頼することになった。

 里長を顎で使える勇者様ってどんだけ影響力あるんだよ。


 さて、勇者様主導の下、手裏剣?の製作に入る。

 勇者様のイメージでは、素材は鉄、形状は卍型という。

 鍛冶師が試作品を作り、俺が試投という流れとなった。



 ――――試作品1

 勇者様のイメージ通りの鉄製で卍型の手裏剣が完成した。

 鍛冶師のおやじも得意げな表情だ。

 勇者様も目を輝かせている。

 俺は手裏剣の感触を確かめる。

 そして、二人の目の前で木に投げた。

 手を離れた手裏剣は無回転で木に刺さる。

 俺は勇者様に視線を向け問う。


「どうですか?」


 勇者様の目は輝かなかった。

 なんでも、手裏剣は回転するものらしい。

 続いて回転を加えて投げてみるが、綺麗な回転にならず的にも当たらない。


「作り直しね!」


 勇者様はぼそっと言った。



 ――――試作品2

 次は重心を考えて、刃の先端に比重を置く形で完成した。

 そして試投は俺の役目である。

 回転を意識し、木に投げる。

 だが、投げた手裏剣は俺の足元に刺さった。


「作り直し!」


 勇者様は即座に言い放った。



 ――――試作品3

 次は重心について、勇者様が物理学の知識を元に計算し完成した。

 物理学というのは難しい学問らしい。

 そんな難しい学問を修めている勇者様は頭が良いらしい。

 そして完成した手裏剣を俺は木に向かって投げる。

 回転し、また俺の足元に刺さる。


「私の計算は完璧なはず…」


 勇者様は思案顔でぼそっと言う。

 そして俺の顔に視線を向け何か閃いたようだ。


「あなたの投げ方が悪いのよ!うん!絶対そうだわ」


 そして俺は修行を言い渡された。



 数週間が経ち、勇者様が俺の目の前に現れた。


「さあ、修行の成果見せてもらおうじゃない!」


「はい……」


 俺は手に持つ手裏剣の感触を確かめて、木に投合した。

 綺麗な回転を描き、手裏剣が木に刺さる。


「これよ!これが手裏剣よ!」


 勇者様の目が輝いている。

 こうして見ると勇者様可愛いな。


「さあ、その手裏剣はあげるから常に持ち歩くようにね!」

「いや、そういう訳には……」


 俺は即座に断る。


「なんでよ!?忍者でしょ!」

「いや、だってこんな重いもの持ち歩いたら、素早さが生かせなくなりますし」


 何故か俺は冷や汗が止まらなくなり、視線を上げるとそこには肩を揺らす勇者様が。


「ありがとうございます!」


 俺は感謝の言葉を残し、受け取った手裏剣を懐に入れ走りさった。



 ――――拝啓、母上様。

 勇者様を怒らせると怖いです。




適当な知識で手裏剣について書いたため、後日図書館で調査し編集予定です。

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