決戦!第3魔法艦隊~ゴティバ平原上空戦(参)
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「何か近づいてきます!」
艦橋で戦況を見ていたローザの取り巻きのイケメンの一人が、近づいてくる無数の何かに気がついた。
「レーダー長、何が近づいてくるのだ?」
リンツ中佐が叫ぶと同時に右、左、後ろ、上の四方向から次々にミサイルが着弾する。その数、一方向につき500発である。計2000発のミサイルの雨だ。幸い、威力はそんなに強くなかったが、20発も直撃すれば、駆逐艦クラスなら撃沈してしまう。
「馬鹿な!どこから撃ったのだ。全方向から攻撃するなんて。敵艦からの射撃ではないな」
「敵ではありません。魔力感知にかからないところを見ると、他国の武器の可能性があります」
「すぐ調べろ!シールドをそれにあったものに変えねば、被害が拡大するぞ!」
「今の攻撃で、駆逐艦3、巡洋艦2が撃沈。戦列艦も被害を受けています。敵ミサイル、威力は小さいですが、数がハンパじゃありません」
「第2波、来ます!レーダー捉えました。妖精族の魔力です」
リンツ中佐がレーダー長の席で確認すると、第2波の2000発がまさに直撃するところであった。
ドカーン、ドカーンと近くですさまじい爆発が起き、百発以上の着弾を受けて、戦列艦ナイトゴールドとシルバーエースが降下していくのが見えた。巡洋艦も駆逐艦も他数破壊されて落ちていく。
「いかん!密集隊形をとけ、各艦、散開せよ!第3波が来るぞ!」
妖精族の力を感知するよう調整したレーダーに第3波の2000発が近づいてくるのを見て、リンツ中佐は恐怖した。
「フフフ…やりますわね。第5魔法艦隊。おそらく、あの異世界の男の作戦でしょう。妖精族の超長距離ミサイルを事前に発射し、この戦場に出てきたのでしょう。時間差をつけた攻撃ですわ」
ローザが言った通りであった。この戦場に来る前にレーヴァテインとミサイル駆逐艦2隻は、それぞれ、上、左右に合計6000発のミサイルを発射したのだ。
一番最初に撃ったのは、左右から大きく回り込み、今、第3魔法艦隊の背後から現れたミサイル。そして、同時に上と左右を発射し、そのミサイル群が円を描いて進む間に、レーヴァテインとミサイル駆逐艦は直進して戦場に到着したのだ。
「旦那、うまくいきました。計算通り、バッチシのタイミングですね。不意をついて最初の2千発で敵の被害は甚大です。2回目の攻撃で戦列艦2隻撃沈ですぜ」
トラ吉が戦況の様子を見て報告する。レーヴァテインの艦長である平八は、予想以上の戦果に浮かれることなく、冷静に答える。
「ああ、予想よりうまくいったが、敵もこれだけじゃ潰せない」
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「すごいです!突然、無数のミサイルが現れ、第3魔法艦隊を直撃しました。あんな攻撃ができるんですね。どうですか、ハウザー教授」
安全なところから、テレビ中継をしている女性キャスターが目の前で繰り広げられる戦いに興奮しながらも、専門家であるハウザー教授に話を振った。
「なるほど。長距離ミサイルによる時間差攻撃ですな。単純な作戦だが、誰も思いつかないですね。そもそも、戦場が刻々と変わる戦いに、何時間も前に予想してミサイルを発射するなど、作戦としては素人です。ですが、この広い戦場で圧倒的な戦力を誇る第3魔法艦隊が動かないで、砲撃戦をすると見越してだとすると、この作戦を立てた人物はさすがと言わねばなりません。ただ…」
「ただ?なんでしょう、ハウザー教授」
「これだけでは、あの鉄壁の防御を誇るクイーン・エメラルドは撃沈できないですけどね」
「ミサイルは無視。威力は小さいから、正体がわかればシールドで防御。それより、リンツ中佐、敵の戦列艦ブリティッシュローズとレーヴァテインの動きに注意を払いなさい。特に、レーヴァテインには砲火を集中。絶対にデストリガーは撃たせるな!」
ローザをただの金持ち道楽娘だと思っていたリンツ中佐は、そう命令されて(は!)となった。この素人娘の方が戦況をよく見ている。
(第3魔法艦隊はミサイル群を避けて、散開した。実はこれが狙いだったのでは?狙うはこの旗艦クイーン・エメラルド、ただ一隻)
リンツはそう思ったが、それでもローザに命じられたことを実行する。戦列艦による猛射撃でレーヴァテインを攻撃する。当たれば致命的な一撃の嵐を受けて、レーヴァテインは逃げ回り、デストリガーを撃つ準備すらできない。
「敵のイージス艦ブルーピクシー、十二時の方向に移動」
後方に待機していたブルーピクシーが上空へ移動していくのが分かった。
「リメルダね、あんな船、無視していいわ。攻撃力もあったものではないわ。せいぜい、上空でこちらの動きをリサーチするくらいだわ。なんの脅威にもならない。それより、デストリガーの発射準備をしなさい」
「ローザ様、この乱戦でデストリガーはおやめください。敵はともかく、味方の駆逐艦が敵陣に突入しています。巻き添えになる可能性があります」
「構わないわ、リンツ中佐」
「え?」
「このわたしが華麗に且つ、劇的に勝つための演出です。敵の主力である戦列艦ブリティッシュローズを沈めれば、ジ・エンドですわ!」
「しかし、ローザ様、デストリガー発射にはスキができます。敵の戦列艦の砲火が集中したらピンチに…」
「ホーホホホ!ピンチになるわけがありませんことよ」
長距離ミサイルの時間差攻撃による不意打ち・・・だけじゃ、なさそうですけどね。でも、ローザさんは、相変わらず味方の犠牲に躊躇がない。こういう子はキツイお仕置きだ~。




