日常の昔
それは大分前のお話
夕暮れ時の陽だまりの中、少女は睡魔と戦っていた
が虚しく眠っていた
/^ヾ /^ヾ
「はあ。はぁ……夢?……」
寝ている間に出ていた涙を拭く
「怖かった……」
夢の内容を思い出しながら、陽がだいぶ傾いていることに気づく。
「あわわわ、まだ何も準備してない……あ、そもそもお金が無かった」
仕方がないので野草とかで晩飯を。はい、見事に雑草です。
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「遅い……今日は帰って来ないのかな、ノエン」
すっかり陽も暮れた時間、いつもなら陽が沈む頃には帰って来ている。
たまに朝まで帰って来ない事もあるので多分そうだと思うけど。
「……もうちょっと待とう」
そのまま待ち続けたものの、結局ノエンは朝までには帰って来なかった。
次の日の朝
洗濯を済ませて(まだ冬なので水が冷たい)薬屋に戻ると、ノエンが部屋で寝ていた。いつ帰って来たかは分からないけれど、あまり寝ていないだろうから今日はそっとしておこう。
そうして今日も店番へ。
「スー……ダメダメ!寝ちゃいけない」
昨日ボクもあまり寝ていないので真っ昼間から眠ってしまいそうになる……でも、今日は寝ないつもりだから。
「ぁぁ〜……おはよう、ユノリ」
「あ、うんおはようノエン。今日は寝ないからね」
「?」
こんな感じに話してノエンは、また出かけていった。ノエンが見てないからって寝ちゃいけないから、今日は陽が暮れるまでは寝ない!
その日は夕方までは眠らなかったので早めに寝た。
そして次の日、寝坊。
「うああ、意味ないじゃん!」
急いで朝ご飯をつくっているとノエンが部屋から出て来て。
「おはよう、寝坊したんなら朝飯は要らないよ」
と言って出かけていった、朝ご飯(野草炒め)をつくる手が止まる。
「……」
野草炒めを置いて、洗濯をする為に川へ向かう。
〜〜〜
薬屋に戻って洗濯ものを干し終え、半生の野草炒めを食べているとノエンが帰って来た。
「あ、ノエンおかえり」
「ただいま。あー突然で悪いがそれ食べ終わったら外に居てくれないか?店番はいいから」
「え……」
「頼む、昼飯はイブルが奢ってくれると思う」
「……うん、分かった。ご馳走さま、と。じゃあ片付けが終わったら出るね」
「あ、俺がやっといてやるよ」
木木木
薬屋から出たボクは森で集めた、冬だからあまり数が無い木の実を食べながら日向ぼっこをしている。
「………………寒い」
一昨日見た夢を思いだして泣きそうになる。
太陽もだいぶ上がって昼になったのが分かる。でも野草炒めを二人分と木の実を食べたので昼ご飯は要らない。
その辺りの動物でモフモフしながら昼寝をしよう。あ〜癒される。
陽が暮れる前に薬屋に戻ると。
「あれ、鍵かかってる?なんで?え?」
扉に鍵がかかっている、ノエンもまた出かけているのか中に居ない。仕方ないので森でモフモフして時間を潰す事に。
「うぇ……なんで?なんで鍵かかってるの?」
陽が沈んで冷え込んで、何度確かめても扉には鍵がかかってる。ここ以外も中には入れないようになってる。
「正夢?……ボク、捨てられたの?ぅっ……」
夢で捨てられた事から連想してしまう。まだまだ寒い冬、厚着はしているものの寒いものは寒い。明かりの無い夜、ボクは泣き始めた。
「えぐ……ひっく、ひっく、寒いよ開いてよぉ……」
ガチャガチャ……
「ぅ……ぅ……」
「ユノリ!ここに居たのか」
「ノ、エン? ヒグッ、なんで」
泣きながら鍵のかかった扉を開けようとしていたらノエンが走って来た。
「なんでじゃないだろ、てっきりイブルのとこに行ったと思ってたんだぞ」
「だって……お腹空いてなかったから……」
「はあ……お前…折角パーティーの準備したのに。よし、イブルのとこ行くぞ」
「パーティー?わぷっ」
「とりあえずそれ着てろ、冷えてるだろ」
ノエンが着ていた上着を投げ渡してきたので着る、既に着ていた服の分もあってもこもこしている。
ノエンが先に進んで行くので顔を服の袖で拭いてから急いで追いかける。
「それ、俺の服だろ……」
イブールの食堂
「ノエン! 見つけてきたみてえだな」
「ああ、家の前で泣いてたのを見つけた」
「お前なにやったんだよ」
「そうだよ、本当に涙の跡があるじゃないか」
「ユノリちゃあん、何があったの?お姉さんに言ってみなさい?」
「えと、夢の中でノエンに、その……捨てられて……」
「ぐはぁっ! 何故殴る」
「「「捨てるな!」」ら下さい」
「……」
「町の人達が集まって何のパーティーなの?」
「なにって一週年記念?お前がこの町に来た、なんだかんだでこんな数集まったが」
「そうだぞー、皆が祝ってくれてるんだー」
「べ、別に騒ぎたいだけなんだからね!」
「はいはい」
「あうぅあ」
「きゃあー、顔真っ赤にして可愛い。ノエン君!譲って」
「いやいや、ここは私が」
「じゃ、じゃあ私も!」
「じゃ、じゃあ私も!」(エンドレス)
「ちょっと飯は冷めちまったか。どうしたんだ?」
「ううん、嬉しくて、えへへ」
「そうか。おっ、八面鳥」
「ジュルリ」
「おい待て! 俺の分!」
夜は深まっていく、けれども暖かい冬だった。