日常の四日
森に居た獣は逃げた、追ってくる人間を撒こうとするがその人間は恐ろしい速さで追ってくる
段々と近付いてくる人間を見て獣は母親の言っていた人間を思い出す
人間は恐ろしい生き物だ
その人間に捕まればどんな目にあうかは分からない
なんとか獣は住処の穴へ逃げ込み、息をついたが出入り口を石で塞がれてしまった
人間は森を出て行く
www
ノエンがブツブツ言いながら帰って来た次の日、眠っているノエンを起こして朝飯を食べてると。
「今日はピクニックに行こう、近くの森に」
「珍しい、でも近くの森とかついさっき行ってるし、準備もしてないんだけど?」
唐突に言われて即座にサンドイッチを作る、なんて事はこの薬屋で生活している限り不可能だ。
なんせ今日の朝ご飯すら木の実のフルコース、の余り。金? 使い過ぎて何処かに行きましたが?
「……ならハイキング!」
行く場所は変わらないらしいね、食べ物も無し。あれ、涙が。
「店番は?」
「どうせ客は来ないからな」
即答出来て嬉しいやら悲しいやら。まあそんなこんなとかなんだかんだでハイキングをする事に。
/^ヾ /^ヾ
「ちょ、ちょっと待って〜」
ハイキングに来た、その筈なのに目的地でもある様にノエンが早足で進んで行く。
「え?ああ、なら休憩するか」
「……休憩、って事は何処か目指してる、の?」
息が少しきれてるから途切れ途切れになってしまう。どちらかと言うと運動しているんだけど。
「んー、その通りだ。出来れば最後まで黙っておきたかったんだが」
「それで何処に連れてくつもりだったの? は、まさか! な展開とか?」
「ないない」
路傍の石を蹴飛ばす、少し傷つくねこれ。
ノエンが採ってきた果物(!)を食べたりして休憩完了、ノエンが採りに行ってる間ちょっと寂しかった。
「着いたぞ」
「うんすごいすごーい……疲れた」
辿り着いた先には、何か凄く大きい樹がそびえ立ってた。葉っぱの緑が空を完璧に遮っている。
「反応薄いな、まあいいか」
これが見せたいものとかじゃないの?ノエンが大樹の根元にある石をどける。
『ヒッ』
石をどけた所にあった穴から出て来た「毛玉」から声(?)が聞こえた。
しかしすぐに戻ってしまう「毛玉」。
「怯えなくてもいいから出て来いよ……おーい」
穴に向かって話しかけてるのは大分変な構図です。
「退いてノエン」
「いやいや、お前に任せたら意味ないだろ」
場所を譲らないノエンと押しあってたらまた「毛玉」が飛び出してきた、胸元に。
『タスケテ』
「……ノエン、これ何」
「いやあ、たまにはお前にプレゼントでもやろうかと思ってな?中々可愛いと思わないか?」
「助けてって言ってるんだけどこの子」
「へ……」
「さっき迷う事なく石どけてたよね、昨日帰って来るまで何してたのかな?追い回してたとか?」
動物とかなんでもだけど、ペットにする為に捕まえたりいたずらに追い回すのは嫌いなんだ。
そして今ボクの胸元で震えてる?「毛玉」の為にもノエンに聞いとかなければならない。
「え、えー……」
「言わなくてもいいよ、うん」
「すいませんでした」
「毛玉」に向かって土下座をしているノエン、許すかどうかは「毛玉」次第。
「どうかこれをお納め下さい」
『!』
「!」
ノエンが差し出している物は……粉?
「西の方より取り寄せましたタビマタの粉と東の方から取り寄せましたヘンを煎じたものを〜」
なにやら分からないがノエンが差し出している物の説明らしい、なんだかいい匂いでボーっとしてきた。
「どうかこの私めを許してもらえるでしょうか」
『○☆€〜』
「ボクも許す!」
「毛玉」と一緒にノエンに突撃する「なぜユノリにも!?」ハア、ハア。
粉を思いっきり吸いこんだ辺りから記憶が途切れてる。
薬屋で気がつい、た?
「粉は!? 粉は無いの!? ノエン……きゅう」
『〆←〒きゅう」
「中毒者かお前らは!?」
ノエンに頭殴られた……痛い「幼竜」も殴られてる。
「竜!?痛い!殴らないでよノエン」
「え?悪い」
なんと「毛玉」は「幼竜」だったのです!体を丸めていたので体毛から毛玉みたいになってたみたい、とりあえず触る。
モフモフ
「おー癖になりそうですねー」
モフモフ
『キュー』
なんだか気持ち良さそうにしてる……名前つけようかな?
「えー、お許しは出たみたいで?」
「うん」
『キュウ』
あとは名前をつけないと。
・・・
町外れの薬屋にまた一匹仲間が増えた、名前はまだない。
「餌どうしよう」
『キュ』
木の実が出てきた。え、犯人?