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日常の三日

その森には『獣』が居た。近くの町や村では決して近寄ってはいけないと言われている


ある時その森に人の手が入る、『獣』は森を守ろうとした


しかし狩人などの知恵や人間の罠には力及ばず、森を追われる事になった


今の森には木が無くなり、そこの植物を食べていた動物も少なくなっていった


『獣』は新たな森を見つけ、そこに住む事にした


その森にはある少女が入って来る、『獣』はそれを見た



/^ヾ /^ヾ


 いつものように川へ洗濯をしに来た、んだけど。


「……誰か見てる?」


 ガサガサッ……なんて音はしない、気のせいか。

 早く帰らないと、戻ってもまだする事は色々あるのだから。


「それに最近店番してない気がする……」





「うーん、今日も暇だ。ノエンもどっか行ってるし昼飯は抜いても良いかな」


 昼下がり、閑古鳥を飼っているような薬屋は客が居なかった。それだけこの町の人達が病気に縁がないと言えるのだから良い事である。


「楽だしね、繁盛してたらバタンキューだよ」


 コロン


「ん?木の実……?」


 何処からか転がって来た木の実を見ながら首を傾げてると、


 ゴロゴロゴロ


「痛い!ちょ、なにこの量!?」


 店の入り口から大量に飛んでくる木の実(とか食べれる草)、顔に当たって痛いのでカウンター(呼んでるだけ)の陰に隠れる。


 コロ……


 木の実弾幕も切れたようなので勢いよく入り口へ駆ける。


「誰! さっきのは!……て、あれ? 居ない」


 入り口の外を見回したものの怪しい人影はない、そこに通りがかる人が居る


「ユノリちゃん、そんな怖い顔してどうしたんだい?」

「あ、ディリングさん。さっきここを誰かが通らなかったか?」


 声色を変えて尋ねる、特に意味はない。


「えと、誰も通らなかったよ?何かあったのかい?」

「誰も、ですか……さっき店に木の実が山ほど投げ込まれまして」


 この言を聞いて店の中を覗くディリングさん、今の店内は混じってた果物とかが潰れてカラフルになってるはずだ。


「……これは、酷いな。誰がこんな事を。とりあえず掃除しようか、手伝うよ」


 結局誰がやったかは分からなかった。無事な木の実はとっておくつもり、損得で言うなら得、かな。


www


「……そんな事があったんだよ」


 夕食時に昼間起こった事をノエンに話した。ちなみにそのあとお客が来た、狩人をやってる人で傷薬をお求めに。


「はぁー、そんな事がねぇ。それで今日は木の実のフルコース、と……泣けるね」


 色とりどりの木の実が芸術みたいになっている、ただし抽象画。栄養は満点の筈。


「あ、そうだ。店先に置いてた薬がいくつか駄目になったから」

「……涙がしょっぱいなぁ、疲れてるんだけど」

「いや、木の実の味だから。あと傷薬も売れたからそれも」

「明日頑張るよ、明日」

「じゃあ日が昇る前には起きてよ?」

「……」


 晩飯? を食べ終えたあとせっせと薬を作り始めたノエンであった〜、何か高い薬も駄目になってたみたいで涙目。





「最近森に入ったらやたら獣に襲われたり逆に見つからなかったりすんだよな」


「ああ、俺も俺も。猪がぶつかってきてさ」


「え、傷一つ無いじゃないか」


「いや、うりぼうだった」


「オチとか要らないから」




 なんか最近森が物騒になっているみたいだ。でも今朝も平気だったんだけどなぁ、視線は感じたけど。


「はいよ、シウ肉の丼二つだ」

「やっすい肉使ってんなあ、脂はどこだよ」


 注文していたシウ丼(牛丼みたいなの)に文句をつけるノエン。これはボクがイブルさんに提案した料理である。


「まあ、食ってみろよ。ユノリちゃんはただのつゆだくだったね」


 ボクは生卵とかネギが苦手なのだ、生姜とか七味が今のところ見つかってないのが残念だ。


「この値段でこの満足感、なかなかだな。安い肉を使っているのも逆にいいかもしれないな」

「ふふん、提案したのはボクだよ?もっと褒めろ褒めろ」

「……やっぱ安い肉は駄目だな」

「それはオレへの挑戦か?ああ?」


 こわもて、そんな顔ですごむイブルさん。何で食堂なんか開いてんだろ、悪人にしか見えない。


「いやいやいや、冗談だから。旨いよ、売れる売れる」

「既に人気商品だからな」

「え、知らなかったんだけど」


 モグモグ……うっ!バンバンバン。


「喉に詰まったみたいだな、口開けろ」

「ぅ……うぇ……う……」


 口を開いてみるとノエンが手を口に突っ込んで喉に詰まった肉を引っ張り出した。


「うえっ……」


 吐くかも。


「……客が食欲無くすからそれやめてくんね?」

「? これが一番手っ取り早いじゃないか」

「背中をさするとかあるだろ……ああ、一人残してる」

「なんか興奮してる奴が居るから殴ってくる」

「おうおう、行ってこい」


 変態が居たみたいだ、気持ち悪!


 コロン


「……また?」


 木の実が上から降ってきた、天井を見上げたものの木目が見えるだけだ。気分が悪い時に向いてる木の実だったので食べる。




 今日の昼飯を終えて(ノエンの拳を食らった男が払った)薬屋に戻る途中。


「あ、ちょっと走り込んでくるわ」

「え」


 ノエンがどっかに走って行った、そんなキャラだったっけ?




 薬屋に戻って店番してたら今日も傷薬が売れた。やっぱり何かあるのかも、あ、ノエンが帰って来た。


「ブツブツ……」


 ん?




後半へ続く

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