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真・恋姫無双 〜新外史伝〜  作者: 殴って退場
第9章 漢との決戦
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第93話

前回の投稿でPVが150万アクセス超えることができました。


引き続き頑張りますので応援よろしくお願いします。

少し時間を遡り、援軍の呉軍は、本陣への救援に向かっていた董卓軍と対峙していた。


「なぜ我々が董卓軍と戦わねばならぬ。これでは便利屋ではないか」


蓮華は自分たちが董卓軍に当てられたことに不満を持っていた。あの呂布と戦うのは武人としては光栄だろうが、呉軍全体の事を考えるともっと活躍の場を与えるようにと愚痴の一つでも言いたくなっていた。しかしここでそんな事を言う訳にもいかず、感情を押し込め亞莎に尋ねる。


「前の様子はどうだ」


「はい。明命にはまともに呂布の相手をせず、囲むように伝えています」


「そうか。それで敵のその他の動きはどうだ」


「漢と蜀の本隊が激突したという知らせは入ったところで詳しいことはまだ…」


「あと敵の別動隊の動きは?」


「申し訳ありません。まだこちらも分かっていません」


蓮華は亞莎の報告を聞くと再び不満を押し殺すかのように無言で前線を見つめた。


すると兵の一人が本陣に飛び込んできた。


「も、申し上げます。敵、別動隊が凄い勢いでこちらに向かっています!」


「誰の旗ですか!」


「錦の『馬』の旗に、黄緑の『馬』の旗です!」


「何!?」


兵の報告を聞いて蓮華は驚きの声を上げた。雛里の策に嵌められた別動隊は、漸く霧が晴れると歩兵部隊を星に任せ、翠と蒲公英は騎馬隊のみを引き連れ、大急ぎで一刀のところに戻ろうとしていた。


これを聞いた亞莎は


「蓮華様、最早この戦いはここまでです。今すぐ撤退しないと我々は呉に帰る術を失ってしまいます」


「それで敵はあとどれ位で着きますか?」


「あと一刻(約2時間)以内には」


「蓮華様は先に下がって下さい。私は明命の部隊の退路を確保します」


亞莎は先に蓮華を撤退させておこうと考えた。そして蓮華も流石にこの場で留まることは無謀なことだと分かっていたので


「亞莎、明命を連れ無事に戻って来なさい」


蓮華は亞莎にそう言い残すと先に自分の部隊の兵を引き連れ撤退を開始した。


一方、董卓軍は月を引き連れて無理を避けるため、音々音は恋の部隊以外を全て防御に徹していた。そのため呉軍の攻撃を恋の部隊を一手に引き受けていたため、恋以外の兵の疲労が著しかったので、追撃の部隊を入れ替えるのに手間が掛かっていた。


そしてそこに翠と蒲公英の部隊が到着したが、丁度月の部隊が追撃を開始した時であった。


「お姉様どうする?」


「そうだな…今から私たちが加わっても混乱するかもしれないし…」


翠が少し考えると


「よし、蒲公英。お前はご主人様のところに行け。私は今から全速で呉軍の先頭を捕まえに行く」


「お姉様、大丈夫?」


「何、今から行けばまだ捕まえられる可能性があるしな。もし追い付かなかった時は運が無かったというだけのことさ」


翠と蒲公英は部隊を分け、それぞれの行動を取った。


「もうここまで来たら安心かしら」


一方蓮華の部隊は逸早く戦場を離脱したので、安堵の表情を浮かべていた。すると


「申し上げます!」


一人の兵が転げる様に蓮華のところにやって来た。


「何事なの!」


「こ…この先に蜀軍が既に現れ、もの凄い勢いでこちらに向って来ています!」


「どういう事だ!後続の部隊が破られたのか!?」


「違います。敵の騎馬隊が我々の先回りしたのです!」


「……仕方ない。ここに敵の背を向けて逃げることはできないわ。全員戦闘態勢を取れ!」


蓮華はここで腹を括り、迎撃態勢を取る準備を始めた。


一方ようやく蓮華の部隊に追い付いた翠は、呉軍の姿が視界に入ったのを見て


「よし、敵が見えた!私に続けーーー!!」


愛馬の黄鵬に鞭を入れると一気に加速して呉軍に突撃を開始した。


呉軍は戦闘態勢を取ったものの、柵等の防御する準備ができず白兵戦となったが、騎兵と歩兵では分が悪く、徐々に呉軍が不利な状態になってきた。


「何をしているのだ!」


蓮華は兵を叱咤するものの、兵の動揺は隠せず徐々に崩れて行く。


そして乱戦の中、翠が蓮華を発見し、名乗りを上げる


「私の名は馬孟起!あんた孫権だろ!」


「ああ、そうだ。貴様が噂の『錦馬超』か。……そういう貴様は『天の御遣い』などという胡散臭い男に身を捧げたと聞いているがな」


「何!?」


翠は蓮華の言葉に激怒しそうになったが、蓮華より戦慣れしている翠は、一つ深呼吸をして冷静になると逆にお返しとばかりに蓮華に言い返す。


「へぇ、ご主人様は民からは慕われているって言うのに。大方、胡散臭いと言うのは、あんたの一方的な私感だろ?最もあんたのその目が正しいかどうか分からないけどな」


「貴様、私の目が節穴とでも言うのか!」


「そうかもな。人の旦那を見もせず、噂話だけで誹謗中傷する奴にとやかく言われたくないぜ!」


「それとアンタが私の相手になるのか?とても私の相手が務まるとは思えないけどな…。とっと逃げ帰って姉貴の孫策でも呼んだらどうだい」


「お姉様を呼ぶ必要はない!貴様の相手は私で十分だ!!」


翠の挑発的な発言に蓮華は感情的になり、翠に向かって行く。


しかし幾ら蓮華が打ち込んでも百戦錬磨の翠の守りを崩せず


「はぁ…、はぁ、……はぁ!」


「どうした。もうこれで終わりか?」


「えぇい!その余裕……崩してくれるわ!」


蓮華は剥きになって尚も翠に襲い掛かるが


「私の守りを崩せない苛立ちが顔に思いっ切り出てるぜ」


「う、うるさい!そんな無理な余裕を見せずに、そっちから打ってこい!!返り討ちにしてくれる!!!」


蓮華も体力的に一杯一杯であるが、孫家の誇りと意地を持って、虚勢を張りながら尚も抵抗を続ける。


「それじゃお言葉に甘えてこっちから行くぜーーー!」 


「しゃっおらぁぁぁぁーーー!」


翠が攻撃に回ると途端に蓮華は劣勢となった。受けるのが精一杯で、蓮華はどんどん後退していく。


「くっ、このままむざむざやられはしない!」


蓮華は一か八か勝負に出て、踏み込んで袈裟がけの一撃を放つ。


「きゃっ!?」


「おっと…最後の一撃は良かったが、これまでだ」


しかし最後に一撃を放った蓮華の剣は後方に弾かれ、そして顔近くに翠の銀閃が突き付けられていた。


「……殺せ」


蓮華は翠に自分の命を絶つ様に言うが


「そいつは出来ない話だ。生死与奪はご主人様が行う。その時まで大人しくしておくんだな」


「おいっ!」


近くにいた数人の兵に


「これは呉軍の大将の孫権だ。後方へ丁重にお送りしろ」


「はっ!」


蓮華は無言のまま、兵に連れられ後退する。そして翠がこの戦の決定付ける声を上げる。


「敵将孫権、馬孟起が打ち取ったりーーーーっ!」


と。


そして蓮華を失った呉軍は、投降する者もいたが、抵抗する者はまだ後方にいる明命や亞莎の部隊と合流すべく落ちのびた。


この知らせを聞いた明命は、蓮華の奪回を図ることを主張したが


「今は、何とか残った兵たちを無事に呉まで連れて帰ることが先決です」


辛そうな顔をした亞莎に言われると、明命も従うしかなく、蜀軍の追撃を明命の部隊で喰い止め、山伝いを走破して残りの兵は何とか無事に落ち延びることができた。


こうして澠池の戦いは幕を閉じたのであった。


呉軍との戦いが長引き、桃香たちの処置は次回となりました。


期待された方申し訳ありません。

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