第9話
一刀と3人が結ばれてから、2月くらい経過し、一刀らが提案した政策も上手くいき国力も大分増強されてきたある日、一刀からこんな提案が出された。
「優秀な軍師又は文官が欲しい」
これを聞いて、翠が
「ご主人様や紫苑ではダメなのか?」
と言うも、紫苑は
「どちらかと言えば、ご主人は内政と武官はできますが軍師向きではないですし、私も本来武官。渚さんも武官ですので、そういう意味では軍師や純粋な文官が欲しいですわ、優秀であれば武官でもいいですけど」
紫苑が言うと碧が
「確かにうちの国の課題だな・・、でもどうやって集めるの?」
「正直、涼州は地理的に不利だから、こちらから待ってもなかなか人が来てくれないだろう、だからこちらから頼みに行くというのはどうだろう」
一刀が説明すると渚が
「頼みにと言いますが、何かあてはありますか?」
「正直、ないのが事実だが、これとは別に見物を広めたいというのがあるんだよ、今、この国全体がどうなっているかということをね」
「確かに一理ありますね」
「それにもうすぐ大乱が発生する可能性が高いと思うから、それに備えて、今のうちに準備した方がいいと思う」
一刀が言うと、碧は
「最近は涼州以外では賊がはびこり、他の官軍も手を焼いていると聞く、確かに今のうちに打つ手を打った方がいいね」
「では一刀さん、ご足労掛けるけど、軍師の件お願いしてもいいかしら」
「分かりました、それでは誰を連れて行ってもいいですか?」
「そうね…。紫苑さん、璃々ちゃん、翠、蒲公英でいいかしら」
「助かります、それで翠、今回お前が、碧さんの名代で頼むぞ」
一刀が翠に言うと
「何で私なんだよ。ご主人様がいるじゃないか」
「まだ、世間ではお前が後継者なのだから、取りあえず俺や紫苑や皆いるから安心しろ」
一刀の説明を聞くと碧や紫苑も一刀の意見に賛成したので、翠はしぶしぶ引き受けることになった。
すると璃々が紫苑に
「軍師を探してに行くということは旅に出るんだよね」
「そうよ、璃々」
「それじゃ、探しに行く人の名前を見たら、まるで新婚旅行に行くみたいだね」
璃々がそう言うと紫苑が顔を赤らめていた。それを聞いて馬家のメンバーは
「「「「「「?」」」」」」」
頭の上に疑問符を浮かべた表情になっていた。
「あ~一応、俺の世界の風習というか、決まりではないが、結婚した男女は、その祝いに今まで行ったことない場所に行き、そして楽しみながら旅するというのがあるんだ」
一刀は説明したが
(「考えてみたら、紫苑と結婚したが、あの時は学生で籍だけ入れて、新婚旅行は出来る状態ではなかったな」)
当時のことを思い出していたが、すると紫苑を見ると嬉しそうな顔をしており、更に璃々や翠を見ると
(「やった~、ご主人様と新婚旅行だ~♪」)
(「し、新婚旅行って、どんな事するんだ」)
3人とも本来の目的を忘れ、頭の中が別世界に飛んでいた。
そして蒲公英が
「じゃ、私もご主人様と夫婦になったんだね♪」
勘違い発言すると、翠が
「蒲公英、お前は違うだろうが!」
「いいじゃない!私も入れてよ~」
2人で喧嘩を始めた。
これを見て、一刀は
(「このメンツで大丈夫かよ・・」)
と不安になっていた。
して数日後、一刀たちが出発する時に碧たちが見送りに来ていたのだが、翠が
「お母様行ってくるけど、身体あまり良くないから無理するなよ、休に鉄、渚、すまないが、お母様のことよろしく頼むぞ」
最後に碧を心配する発言をして出発した。
そして少し離れてから、紫苑が翠に
「翠ちゃん、碧さんどこか調子が悪いの?」
「原因がはっきり分からないのだが、ここ1、2年あまり身体の調子が良くないんだ、医者にも診て貰っているんだけどな・・」
あまり芳しくない表情をしている翠であった。
話を変えるように蒲公英が
「ねえ、ご主人様、旅ってどこに行くの?」
「取り敢えず、漢中から荊州の方に行こうと考えているけどな」
すると璃々が
「洛陽には行かないの?」
と言うと翠と紫苑が
「あ~、今な都の方は、政治的状況が良くなくて、お母様や渚にも行かない方がいいと止められているんだよ。確かに何かあったら、お母様に迷惑掛かるしな」
「それに昔から荊州の方は、多くの学者がいるので、そちらの方も見つけやすいからよ」
2人から説明受けると、璃々や蒲公英も納得していた。
そして、武威を出て2週間ほどが過ぎ、漢中に入る手前で、どこから男女の争っている声が聞こえたので、一刀たちは、その声の方に行くと、女性1人な対して、男が10人ほど居て、それも武器を持って取り囲んでいる状況であった。
そしてセミロングの女性はどこかしら負傷しており、集団の指導者らしき男に対して
「卑怯者!恥を知れ!」
「ふん!要は勝てばいいんだよ、勝てば。おい、止めを刺してやれ」
その男が部下に止めを刺す指示を出したのが、聞こえので、一刀は
「紫苑!璃々!」
「分かってます!」
「分かっているよ、ご主人様!」
2人とも弓を取出し、
「行くぞ翠!蒲公英!」
一刀は翠と蒲公英を連れて、集団の中に突進した。
一刀たちに気付いていない、その部下の男は女性に
「死ね!」
刀を大きく振りかぶった瞬間
(「もうダメ!、お母さんごめんなさい、仇、打てなかった・・」)
目を瞑り、全てを諦めた瞬間、男が
「ギャ!」
一瞬悲鳴を上げ、その女性の目の前で倒れた。よく見ると男の首に弓矢が刺さっていた…。
そして女性が周りを見ると紫苑と璃々が
「曲張比肩の弓の味、あなたの身体でとくと味わいなさい!」
「こ~の女の敵!死になさい!」
簡単に男たちを弓矢で男たちの体に命中させ、そして一刀と翠と蒲公英が
「この卑怯者が死にやがれ!」
「うぉーー、この野郎、ぶっ飛びやがれーー!」
「お前たちの相手、ここにいるぞー!」
一刀たちは男たちを討ち取っていった。
そしてその指導者の男が、行き成り登場してきた一刀たちに驚き
「な、何だこいつら・・」
形勢不利になって逃げようとしたが、すると背後から紫苑の弓矢が木に刺さり
「あらあら、どこへ逃げるのかしら」
悪魔のような微笑みを見せ、そして翠が
「おいおい、手下ども見捨てて逃げるとは、本当に卑怯者だなてめえは」
更に追い込むと、一刀は負傷している女性に
「大丈夫か、あいつ等とはどういう関係だい?」
「あの男は、私の母上を殺した張本人です!」
「あの男は、私の亡き父の叔父で、私がいない時に母を辱め、そして私の母の命や財産も全て奪い去ったです!」
その女性は感情が高ぶり、悔し涙を流していた。
「よし分かった、仇なんだね」
一刀がそう言うと女性が頷き、
「翠!」
「分かってるよ!ご主人様!」
掛け声と同時に男が持っていた刀を叩き落とすと、一刀が女性に
「今だ!」
と言って、女の子が持っていた刀で男の腹を突き刺すと、男はその場で崩れ落ちた・・。
そしてその女性は、
「は、母上、仇を取ることができました・・」
と嬉し泣きをしていた。
そして女性もようやく落ち着き、一刀らに
「命を助けていただき、そして母の仇まで手伝っていただきありがとうございます」
「私の名は姓は徐、名は庶、字は元直と言います」
その名前を聞くと、一刀や紫苑は
(「え~、またえらい有名な人を・・)」
内心驚いていた。
そして翠が
「私は涼州大守の馬騰の娘で馬超で・・」
チラっと一刀の方を見て、一刀が頷くと
「そ、そこのご主人様の妻だ・・」
顔を赤くしながら恥ずかそうに言い切った。
すると横にいた蒲公英が、
「わ~よく言ったね、お姉様。それで私は従姉妹の馬岱ね」
蒲公英が冷やかす様に言うと翠が一刀の方を再度見ると
「ああ翠、俺から言うよ。俺の名前は、北郷一刀」
「妻の紫苑です」
「同じく妻の璃々です♪」
3人はそれぞれ紹介したが、徐庶は一刀が3人の妻に持っていることにも驚いていたが、一刀の名前を聞いて
「え!?北郷って、ひょっとしたら御使い様?」
「う~ん、まあ世間ではそう言われているみたいだね」
「でも何でこんなところにいるの?」
徐庶が尋ねると一刀は軍師など優秀な人材を探していることを説明した。
「そこで、徐庶さんにお願いがあるんだけど・・、もし良かったら、馬家に仕えて欲しいんだけど・・」
「え!?何で私が軍師希望って知っているの?何で知っているの?」
徐庶からそう言われると、一刀も一から説明するのに困ったが
「まあ知識として、以前から知っていたとだけ言っておこうかな」
流石に言葉を濁した。
すると徐庶も
「分かったわ。私の命の恩人だし、今は深く聞かないけど、あなたの事や妻も3人もいるし、何か面白そうだから、色々とまた教えてね」
「また?」
「そうよ、喜んで仕えさせて頂きます、そして皆に真名を預けるから、私の真名は真里と言うので、よろしくね」
そう言いながらウインクして答えた。
そして、お互いに真名を預けたが、真里が負傷していたので、取り敢えず、怪我の治療のため、全員漢中に入ったのであった。