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真・恋姫無双 〜新外史伝〜  作者: 殴って退場
第9章 漢との決戦
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第88話

何とか年内までに仕上げることができました。


今年、最後の投稿になります。

蜀が晋と魏に対して何らかの形で手を結んだ報は呉にも入った。


~呉~


「蜀と晋が手を結んだのが事実とすれば、恐らく我々や漢を攻めてくるのは時間の問題です~」


「ああその通りだ。蜀は漢を先に滅ぼし、そしてその次は我ら孫呉に攻め入るだろう」


「しかし、蜀は漢を攻めるのと同時にこちらに攻め入ることは考えられませんか?」


「亞莎、それは流石に飛躍し過ぎじゃないかしら?」


そして先の戦いの失態で謹慎していた蓮華は、漸く復帰をしていたが、亞莎の意見について疑問の声を上げたが、そんな疑問を雪蓮がすぐに打ち消した。


「蓮華、それは甘い考えね。恐らく蜀は、漢にも兵を出した上で、こちらにも兵を出して仕掛けてくるわ」


「まさか…」


「いいえ、蓮華様。雪蓮の言うとおり、その可能性は十分にあり得ます」


「では冥琳、もし蜀が攻めてくるとしたら、どこで迎え撃つつもりじゃ」


「祭殿、向こうは騎兵もいるので平地で戦うのは得策ではありません。ですので、我々は江夏まで敵を引き寄せて戦うのが得策かと。雪蓮、文句は言わせないぞ」


冥琳は雪蓮が、守るのが性に合わないと言って、打って出ることを主張すると予想したので、先にこれを牽制した。


「仕方ないわね。それで漢から頼まれている援軍の件はどうするつもりなの?」


雪蓮は残念そうな顔をしていたが、これとはまた別に蜀が漢を攻めてくることを既に予想していたので、同盟を結んでいる呉に対して雛里は早めに援軍要請を出していた。


「正直、兵を出したくないの」


「祭殿、それはどうかと思いますが」


「何じゃと、晶。それは、どういう意味じゃ?」


「同盟を結んでいる漢に援軍を送らずに見捨てるようなことがあれば、絆を重んじる孫呉の名に傷付くと意味です」


「うむ…お主の言うことは分からぬでもないが、しかし援軍ともなれば、それなりの将や兵を送る必要があるが、しかし今の我らにそんな余裕はないぞ」


祭は太史慈こと晶の返事に顔を顰めたが、その理由を聞くと納得はしたものの、難しい表情を浮かべた。


「確かに断るのは簡単ですが、もし簡単に漢を見捨ててしまったら、今後どのような影響が出るのか、正直分かりません~」


穏がそう告げると皆が沈黙してしまった。


「私としても漢を助けるよりは、領土防衛に主眼に起きたいところだが、雪蓮、お前の意見は?」


冥琳も援軍派兵には消極的な態度を示してしたが、雪蓮は


「そうね…。私たちの独立の時に劉備ちゃんには手を貸して貰ったから、一応借りは返しておかないと。それで…援軍に送る責任者だけど、蓮華、貴女よ」


蓮華は雪蓮から援軍の責任者を告げるとすぐさま反論した。


「お姉様、どうして私なのですか!?」


蓮華は、呉が攻められ、最前線に立つところから外され、漢への援軍に行くことに不満を持っていた。


なぜ私がわざわざ漢の応援に行く必要があるのか。漢の防衛は自分たちでやれば良いではないかと。


雪蓮はそんな蓮華を宥める様に


「蓮華、漢が敗れると私たちはもっと危険な状態になるわ。だから貴女に援軍に行って漢を助けて欲しいのよ」


「…分かりました。その役目引き受けます」


蓮華は雪蓮に言われて、半分納得、半分不満という様な感じで漸く援軍の将を引き受けたのであった。


「ありがとう蓮華。それで一緒に行く将だけど、本来なら思春を付けてあげたいのだけど、今回思春は水軍の将としてこちらに置いておきたいから、代わりに明命と亞莎を付けるわ」


雪蓮がそう告げると蓮華は黙って頷き、そして呉も蜀を迎え撃つ態勢に入ったのであった。


~漢~


「雛里ちゃん、蜀軍を迎え撃つとしたら、どこで迎え撃つの?」


桃香の質問に雛里は


「私たちが迎え撃つ場所は多くありません。一番守りに適している澠池で蜀軍を迎え撃つつもりです。すでに真桜さんと沙和さんには澠池に行って、陣地造りなどの作業を行って貰っています」


「澠池に陣を造るのはいいが、蜀が他のところから来る可能性はないか?」


「焔耶さんの心配は分かりますが、その心配は無用です。敵は大軍で洛陽に向けて一直線に進軍してきます。私たちと決戦を挑むのに態々兵を分けて遠回りする理由はありませんから」


「それで桃香様、この戦いには…」


「うん分かっているよ、雛里ちゃん。私も一緒に出るから」


兵の士気を高めるため、雛里は桃香の出陣を言い出そうとしたが、桃香も今回の決戦が自分の運命を決するものだと分かっていたので、雛里が言い出す前に自ら出陣する覚悟を固めていた。


「では皆さん、敵はまもなくやって来ますので戦いの準備の方をよろしくお願いします」


会議を終え、雛里の言葉で散会となった。


そして部屋には桃香と雛里が残され、


「雛里ちゃん…、こんな私に付いて来てくれてありがとう」


急に桃香の口から雛里に感謝の言葉が出て来て雛里は困惑した。


「桃香様、なぜ急にこんなことを…ま、まだ何も終わっていません。全てはこれからです」


「あっ…ごめんね。そういう意味で言ったじゃないの」


「私は北郷一刀さんに私の理想を否定され、そして私の所為とは言え、一度領土を失い更には愛紗ちゃんまであの人に取られてしまった。でもね、雛里ちゃんや皆がいたからこそ、まだ何とか頑張ってこれた。だから、私はあの人に負ける訳にはいかないの…」


反董卓連合での戦いで一刀から無力では何も出来ない冷たい現実を突き付けられ、力を付ける為には理想を切り捨てなければならない苦悩を知り、そして結果的には愛紗が去る形となってしまった。


そして愛紗は、自分の代わりに理想を叶える為新たな主君を求めた結果一刀の処に仕官する形になった。


今の自分が持っていない、否捨ててしまった理想を諦めずに突き進む熱い魂、そして愛する人の為に戦う心、そして自分から去った愛紗を持っている一刀に桃香は嫉妬していたのであった。


だからこそそんな一刀に屈することは、今の桃香にはできなかった。


そんな桃香の心を分かっている雛里は黙って頷き、


「……私も桃香様の気持ち分かります。私もそんな朱里ちゃんが羨ましく、嫉妬しているのです。だから桃香様と共に戦い、そして朱里ちゃんに勝ってみせたいのです」


「雛里ちゃん…」


雛里は、初めて自らの口から朱里への対抗心を見せ、改めて桃香と共に一刀と戦うことを誓ったのであった。


~呉遠征軍~


一方、璃々が率いる呉遠征軍は、漢遠征軍より先立って出陣しており、白帝城の部隊と合流する為、進軍していたが合流する途中において荊州・宜都郡北部の平定にも当っていた。


一応、宜都郡は漢の領土であったが、荊州譲渡の混乱もあり、殆どの太守たちは抵抗を止め降伏を申し出ていたのであった。


そして漢の主力は兵力温存の為、すでに南郡に引き守りを固めていた。


現在、進軍中の本陣には璃々と黄忠がいた。因みに黄忠は白帝城にいる夕霧や菫と合流するまでは璃々の補佐役を務めることとなり、璃々に助言などを与えていた。


「思ったより、降伏する人が多いね」


「ええ、抵抗する人も多少いますが、それは霞さんや華雄さんがいますので問題ないでしょう。ですので、敵はこのまま戦っても負けることは分かっていれば、守りを固められるよりは撤退をした方が私たちは楽ですので、撤退する為の道は開けておけば、余程でない限り敵は素直に引いてくれますわ」


こちらでも歴戦の雄である黄忠の説明を聞いて、璃々は納得して頷いていた。


「このまま順調に進めばいいけどね」


「油断は禁物ですわ、璃々さん。この先、まだ何があるか分かりません、特に呉は歴戦の強者が揃っていますので、油断をしていると足元を救われますわよ」


「うん、そうだね。黄忠さん、まだまだ至らない点があると思うけど、色々と教えてね」


「ええ、分かりましたわ」


璃々は黄忠の姿を見て安心感を抱いていた。姿形が紫苑そのままであるというのもあるが、やはりこれは同じ紫苑が持っている母性本能というがそうさせてくれるのであろうかと璃々は内心そう思っていた。


しかし、そんな気分を振り払い璃々は新たな指示を出していた。


そうまだ戦いは始まったばかりなのだから。


ご意見・ご感想あれば喜んで返事させていただきます。(ただし非難・誹謗等は止めて下さいね)

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