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第75話

前回の投稿でPVが100万アクセスを超え、お気に入り登録数も一気に増え600件を超えることができ大変嬉しく思っています。


引き続き応援よろしくお願いします。

ちょうど一刀たちが愛紗を説得している頃、呉でも追撃に失敗した晶たちが蓮華の軍と合流していた。


蓮華は孫呉の誇る軍勢が、たかが賊が籠る城ごときに撃退されるとは思ってもいなかったので、顔は不機嫌な表情をしていた。


そして晶からの報告を聞くと


「その話、本当なの?賊にそんな騎馬隊があるとは思えないわ」


当時『南船北馬』(意味:あちこちと各地を旅行すること。中国の南部は川が多いので船で行き、北部は平原や山間部なので馬で行く)と言われ、呉では土地の地勢上、騎馬隊よりも水軍の方が整備されていた。そして呉では今後に備え騎馬隊の充実も考えられていたが、やはり馬が高級品で生産が殆ど北方中心で行われていたため、中々良馬の数を揃えるのも難しい状態であったことから蓮華の疑問も当然の事であった。


「蓮華様、それは事実です。賊は少数ながらも騎射などを行っており、少なくとも我々の騎馬隊よりも腕は上です」


蓮華の腹心でもあり思春に言われると蓮華も返す言葉が無かった。


「ではどこの国が手助けを?そんな情報入ってきていませんが…」


普段は隠密等の役回りで今回は従軍している明命も唐突な話に驚き


「取り敢えず、少数の騎馬隊とは言え賊の動きには注意を払う必要はあります。晶さん、城の監視に兵は残っていますか?」


「ああ、監視に幾らかの兵を残してきている。何かあれば連絡があるだろう」


今回、唯一の軍師である亞莎が冷静に考えていると、その時陣幕に一人の兵士がやって来た。


「申し上げます!賊の城に識別不明の兵約2千が援軍として入った模様で、その兵は全て騎兵です!」


その報告を聞いて思春が気難しい表情を浮かべて


「しかしどの国が肩入れしているのだ。まさか漢では…」


「その可能性は薄いかと」


「どうして分かるのだ。亞莎」


「現在、漢の軍勢は襄陽付近で展開しております。それに今は我々より蜀の方が脅威と思っていますので、そのような中我々に手出しするとは考えにくいです。私の予想ですが、漢よりは蜀が手助けしている可能性は高いと思います」


「どうして蜀が関羽に手助けするのよ?」


「それはちょっと…私にも」


「亞莎もし蜀の軍勢だったら、私たちのすることに変わりはあるのか」


「えっ…いいえ基本は攻めることに変わりませんが、ただ賊が城を放棄する考えも一考した方が宜しいかと」


予想外の事を聞いたため、戦の経験の浅い蓮華は、動揺とそれを皆の前で悟られない様に虚勢を張った厳しい表情をした顔で問われると同じく経験が浅い亞莎も困った表情をしていたが、晶が百戦練磨の強者らしく動揺する様子も見せず、助け舟の様な感じで亞莎に質問をすると亞莎もそれに答えると落ち着きを取り戻した。


「亞莎、どうして賊が城を放棄すると考えられるの?」


「もし援軍に来たのが蜀の軍勢だった場合、本気で援護するのであれば堂々と大軍でも連れて来ると思うけど、今回は騎兵のみという編成、これはどちらと言えば撤退するための援護の様な気がするのよ」


明命の質問に亞莎が自分の想像できる範囲で答え


「では敵が撤退するのであれば無理して兵を損する必要はないな。流石に騎兵相手に追撃するのは無理があるだろうしな」


晶の発言に蓮華は納得した顔をせず


「いいえ、城攻めともし賊が逃走した時と考え追撃戦も行うわ」


「蓮華様、敵は城を放棄するかもしれないのになぜ態々無理な攻撃をする必要があるのですか?それに冥琳が「もし蜀が来たら無理な攻撃は差し控える様」と言われたことをお忘れですか」


晶の物言いに蓮華は癪に障ったのか


「まだその援軍が蜀の軍勢と決まった訳ではないわよ。それにあの誇り高い関羽がみすみす城を明け渡すと思わないわ」


「明日、城攻めの部隊と追撃戦の部隊を分け、賊を攻撃する!これは命令よ!」


蓮華はそう命令すると自分の天幕に戻り


「見ていなさい……。必ず私は武功を上げ、『孫呉に孫権あり』と言わしめて見せる。そうすれば、お姉様は私を認めてくれる。そして……そんな武功を、必ず上げて見せる!」


「お姉様は非常に誇らしい存在……ただ普段の生活だけは誇れないけど……それでもそれと比べたら私などまだまだお姉様の足元にも及ばない……何としてもこの戦いで結果を上げなければ……」


蓮華はそう呟いて深く息を吐き出していた。


それを影で見ていた晶と思春は蓮華の独り言を聞いて、溜め息を吐いていたのであった。


一方、一刀たちは今後について話し合いをしていたが、一刀はあっさりした口調でこう言っていた。


「城を放棄して、長安に撤退する」


と。


紫苑や璃々、星は一刀から予め話を聞いていた。元々愛紗救出の為に来たのであって、城を死守するために来たので無いので用が終れば、撤退するのは当然ではあるが、説明を聞いていない愛紗は、さっきの奇襲失敗で痛手を食らっていたので、簡単に城を放棄するのでは無く、せめて一泡吹かせてから撤退して欲しいと内心思っていたが流石に配下になって間がないので表情には出さず我慢していたが、敢えて確認の為、一刀に質問した。


「一刀様、簡単に城を放棄と言いますが、敵が座視するとは思えませんが、どうやって呉の軍勢の攻撃に対処なされるつもりですか」


「そこはね……百戦練磨の我が妻に任せるよ」


「それはどういう意味かしら、御主人様……フフフ」


「あ~紫苑が思っている意味じゃあないぞ、多分……」


「あら残念ですわ。折角、夜にでも試そうと思っていたのですけど…」


愛紗は紫苑の言っている意味が分かると無言で顔が赤くなり、璃々は紫苑の暴走しそうな発言に頭を抱え、星はニヤニヤ笑っていたのであった。


そして周りをリラックスさせた紫苑は撤退する一連の作戦を皆に説明した後


「今回の撤退策は、孫権さんたちの未熟さを利用させて貰いますわよ」


余裕のある笑みを浮かべていたのであった。


そして一刀たちは明日に備え部屋で居たのであるが、一刀と紫苑は、璃々と星に無断出兵したことについて説教をしていたが、しかしどちらかと言えば説教というよりは注意という形になっていた。


「まあ璃々の気持ちは分かるけど、一応けじめだけは付けておかないと。それと正式な罰は長安に帰ってからだからね」


「えーー!」


「それはあまりでは、主…」


璃々と星からは不満な声が上がったが、一刀は罰についてはそんな厳しい物にはしないと説明すると二人は渋々了解した。


それを見ていた紫苑は


「本当、ご主人様は璃々に甘いのですから…。でも独断専行したことは褒められたことじゃないけど、璃々よく駆け付けてくれたわ」


「そうだな、先に璃々たちが来てくれなかったら、愛紗たちもどうなっていたか分からなかったからな」


「えへへ…♪」


璃々が一刀から褒められて喜んでいると、一刀は璃々の頭を無意識のうちに撫でていた。


璃々は小さい頃はよく一刀に頭を撫でて貰っていたが、流石に成長すると撫でて貰うことも無くなったが、久しぶりに一刀に会ったのと結ばれてから髪を触れると多少感じるようになっていたので、しばらく何も言わずに一刀の温もりを堪能していたのであった。





ご意見・ご感想あれば喜んで返事させていただきます。(ただし非難・誹謗等は止めて下さいね)

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