表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/134

第73話

話が急展開します。星のキャラ変わり過ぎているかもしれませんが、ご容赦願います…。

愛紗が行方不明ななったため、城に残された兵たちと璃々たちは呉軍を迎え撃つこととなった。


そして麦城の前に到着すると城の上には旗は掲げておらず、そして門は全て開け放たれていた……。


これを見て太史慈こと晶と甘寧こと思春がお互い話し合っていた。


「思春、お前あれどう見る?」


「はい、敵の大半はすでに我々に討ち取られ、城に残っている兵は僅かです。恐らく我々の勢いを見て、ああして逆に罠があるぞと見せ掛けていて、我々の退却を狙っているのでは」


「…恐らく罠の可能性が高いだろうな。賊将にも兵法を少しは分かっている者もいるみたいだが、それは敵の兵力が分からない場合に通用することであって、どう見積もっても賊の兵は多くて千くらいだろうな…むっ、城門に誰か出て来たようだ」


城門の方を見ると星が兵も連れず一人城門の前に立っていた。


「ふむ……腕が鳴る場面だが…ここで自分の名を名乗ることができないのが残念だな」


言葉と裏腹に残念そうな顔では無く星は笑いながら


「聞けーー!そこにいる呉の軍勢に告ぐ!このような兵もいない小城一つ攻めかけることができないとは呉の将兵はよほど命が惜しい臆病者と見える!その様な臆病者に命を預けるしかない兵が不憫でならん!命がそれ程に惜しいならば、臆病者らしくとっと故郷に逃げ帰るか、勇気あるならばこちらまで来て我が槍の錆になるか!どちらかより良い方を選択するが良い!」


星が思い切った口上を言うと、


「おのれ~、賊の分際で言いたいことを言いやがって、敵はたった一騎だ!あいつから血祭りあげろ!」


一部の将兵が星の挑発に乗り、城に攻め入ったのである。


これを見ていた晶は苦虫を潰した表情となり


「くっ!思春、お前兵を引き連れて、あの部隊を連れ戻して来い!私も準備してすぐに向かう!」


「はっ!」


思春は返事をするとすぐに自分の部隊のところに戻り、そして晶は城の方を見ながら、


「さてあの口上が本物だと面白いけどな」


微笑を浮かべながら呟いていた。


一方敵が攻めてくるのを見て、城の空堀に隠れている璃々は


「流石星お姉さん、相手を怒らせることは凄く上手ね」


そう言いながら、敵の先鋒が矢の届くところまで来ると、璃々や弓騎隊の半数並びに城兵が一斉に姿を現すと、号令一下、空堀の左右から十字砲火の様な弓矢を敵に浴びせた。


敵は正面や城壁から弓矢の攻撃は想定したが、斜めからの攻撃は備えておらず、更に弓騎隊の兵たちは普通の弓兵が一射する間に的確に三、四射を射ることができ、更に璃々の場合、紫苑に鍛えられたお蔭で、弓騎隊の兵と同じスピードで射ると同時に一射で五本の矢を射ることができるのである。


呉の部隊はたじろぎ動揺すると、開いていた城門から涼月が指揮する弓騎隊の半数が突撃を開始した。


「うわああ!!!」


「に、逃げろ!このままじゃあ敵の良い的じゃ!」


そして星も涼月の部隊に加わり、星と涼月の突撃に加え、普段の戦いでめったに会うことのない騎射の攻撃を浴びたため、鍛えられた呉の兵も散を乱して崩れ始めた。


これを救助に向かおうとしていた晶は星たちの突撃を見ていたが


「なぜ、賊の兵にあのような騎射や正確に射ることができるのだ?」


疑問を抱いたが、思春の部隊とともに城兵が追撃した場合に備え、部隊を展開させた。


星たちは敵が退却するのを見て、追撃はせず引き上げたが


「これで、敵はどう出るかな?」


「まあ一度ここは鉾を収めるかもしれぬが、再び態勢を整えて来るかもしれないけどね」


2人はそう言いながら、城に引き上げた。


一方呉の陣営では


「このままでは引き下げては呉の名折れ、もう一度攻めるべきです!」


思春が晶に城攻めを主張したが


「いいえ、ここは一旦引いて蓮華様の軍勢を待つわよ」


「なぜですか!?」


「思春恐らく、敵は唯の賊ではないわよ。はっきりとは分からないけど、どこかの国が援軍として加わっている可能性があるわよ」


晶は思春に先の疑問を説明したが、思春は移動中で璃々たちの動きを見ていなかったためはっきりと把握していなかった、しかし上役である晶の言うことには逆らわず渋々これに同意して、監視の兵を残し、一旦兵を引いたのであった。


一方、城では呉軍の再度の来襲に備え、璃々たちは打ち合わせをしていたところ、城内から歓声に沸く声がし始めて、その声は徐々に大きくなっていると兵の一人が現れ、


「関羽様たちが無事戻られました!」


すると付近にいた兵は喜び勇んで愛紗の元に駆け付け、それを見ていた璃々たちは


「愛紗さん、兵の皆から好かれているね」


「ええ、元々兵たちの面倒見は良かったわ」


「それ位の気遣いが、もう少し頭の方に回れば良かったのだがな…」


三人が色々と言っていると、愛紗は


「周倉、お主よく少ない兵であの呉の軍勢を打ち破ってくれた!礼を言うぞ」


愛紗は頭を下げると周倉は困ったような顔をして


「い、いいえ、これは私だけではなく蜀の方々が力を貸してくれたお蔭で…」


「えっ?どういうことだ、それは…」


愛紗は周倉の言葉を聞くと先程まで笑顔だった顔が、すぐさま固い表情に変わった。


周倉はそれまでの経緯について、すべて愛紗や愛香に説明すると愛香は


「まずはお礼を言わないといけないわ。早く蜀の人のところへ案内して」


「その必要はありませんよ」


愛紗たちは、声がした方を向くと涼月たちがいた。すると愛紗が


「涼月殿、どうしてこちらへ?」


「ええ、実はあれから貴女たちの事が気になってね…。それで貴女たちに無断で蜀の人たちに応援を求めたの。愛紗さん、貴女の許可も得ず、勝手なことをして申し訳ないわ」


涼月が頭を下げると流石に窮地を救って貰った立場もあり愛紗は不平を言う訳にも行かず素直に礼を述べた。


「いいえ、こちらこそ救って貰い感謝しています。それで蜀の方は誰が…」


「お久しぶりです。愛紗さん」


「ククク…関雲長、少しはその脳筋は治ったか?」


「ほ、北郷璃々殿に、き、貴様、趙子龍!何しに来た!」


璃々と星が出てくると愛紗は驚くと共に星の顔を見ると忽ち怪訝そうな顔をした。


「星お姉ちゃん、愛紗さんを挑発しないの!」


流石に璃々は星を嗜めると、


「ここで立ち話も何なので、詳しいお話は向こうで伺います」


愛紗に代わって愛香がそう言うと愛紗や璃々たちは城内の一室に移った。


そしてお互い簡単な自己紹介をしてから璃々が


「愛紗さん、呉の軍勢も再びやって来る恐れもあり、この際ですので単刀直入にお話します。愛紗さん、ぜひ私たちの仲間になって下さい。もし劉備さんのことがあるのでしたら、客将でも構いません」


「義姉上、ここは璃々殿の言う通り、お言葉に甘えましょう!」


「愛紗様!」


愛香と周倉は璃々の話を聞いて、愛紗に蜀に行く様に促したのだが…


「璃々殿、そのお言葉は有難いが、申し訳ないがこの話お断りさせてもらう。ただ関平と周倉、あと蜀に付いて行くことを希望する者の世話を頼みたい」


「ちょっと待って下さい、愛紗さん!どうして私たちのところに来るのが嫌なのですか!」


「そうです!義姉上、せっかく蜀の方が態々義姉上を訪ね、遠路遥々来たんですよ!そこまで拒む理由を教えて下さい!」


「そうね。どうしてそこまでして蜀に行くのが嫌なのか聞かせて貰えないかしら」


「まさかとは思うが、私がいるから嫌というのではないだろうな?」


愛紗のこの返事に璃々や愛香、涼月は戸惑いを隠せず、星は先程の事もあるので挑発気味な口調になっていた。


「失礼な!璃々殿に蜀に誘ってくれたことは大変感謝している。ただ私は劉備様のことをまだ主君と思っている。そんな気持ちのままで蜀に行くことは失礼であるし、そして私には、劉備様を素晴らしい理想を持った方に戻って貰うことが私の使命だと思っている…」


璃々は、愛紗は未だに桃香に対する忠誠心に捕われ過ぎて、己を見失っているのではないと感う位の責任感を持っていることに危うさを感じていた。このままではその責任感の強さに押し潰されて死んでしまうのではないかと…


「愛紗さん、お願いですから、そこまで自分を追い詰めないで下さい。責任感があるのは素晴らしい事だと思います。でも劉備さんのことは愛紗さんだけの責任ではありません。このままだと愛紗さんは、その責任感に押し潰されたり、若しくは壊れてしまうのではないかと心配なのです」


璃々が優しく言うも星が


「璃々、このような脳筋女に何を言っても無駄だ。兵が気の毒で可哀想だ。寧ろこの女より横に関平殿や周倉殿を連れて帰った方が良い」


「何だと、それはどういう意味だ!」


「フッ…それはそのままの意味の通りだが、今のお主には分からないから教えてやろう。お主は今、劉備殿の理想を口にしたが、それはどういう理想だ」


「それは、この国をみんなが笑顔で過ごせる平和な国にすることだ」


「しかし、今の劉備殿は、はっきり言ってその理想を捨ててしまっている。それでもお主は劉備殿の元でその理想を叶えようと考えている」


「ああそうだ」


「では聞くが、お主は元々、主であった劉備殿が理想を違え、それに反発したのであろう?そして色々とあり、劉備軍から離れた。だが改めて聞くがその理想は、劉備殿の元でしか叶えられない理想なのか?」


「……では聞くが、それは蜀で適うとでも?」


「さあな、しかしお主がやっていることと比べてはまだこちらの方が可能性はある」


「何!」


「今、お主がやっていることは、理想を投げ出し劉備殿を元に戻すという自らの我が儘で、他の者や兵士たちを窮地に追い込もうとしているではないか、一体お主は誰の為に生き、そして誰の為に理想を叶えようとしているのだ!答えろ関雲長!」


「…だ、黙れ!勝手なことばかり言って、貴様に私の何が分かると言うのだ!」


「いいや、黙っておれぬな。私は以前に、お主に自分の武を振う意味を考えろと言ったことがあるはずだ。では聞くがその武はその理想であるはずの民の為に尽くしていたと言い切れるのか!」


「クッ!貴様に指図される謂れはないわ!」


星が愛紗に言い放った言葉に、とうとう愛紗の怒りも沸点に達し、愛紗は自分の近くに置いてあった青龍偃月刀を引っ掴むと、星も近くに置いていた龍牙を持って応じる構えを見せたが


「二人とも、止めて!」


「星さん、私たちは話し合いに来ているのです。貴女の今の言葉は言い過ぎですよ。武器を下げなさい」


璃々と涼月から言われると星も渋々と武器を下げ、それを見て愛紗も武器を下げた。


すると璃々が、


「先程の乱暴な物言いについてはお詫びしますが…でも愛紗さん、貴女の考え方、間違っています」


「な、何が間違っている!」


「愛紗さんの行動を涼月さんから聞きましたが、死ぬ覚悟で劉備さんの行為を止めようと考えていますが、それをして劉備さんは喜びますか?」


「…………否、喜ばないであろうな」


璃々からそう言われると愛紗は、理想を覆しても桃香の性格上、そのような事をしても喜ばないことは愛紗も分っていた。


「愛紗さんが、劉備さんのことを想ってそのような結論を出されたことは分かります!分かりますが、では貴女に付いて来ている人達はどうなるのです!」


「付いて来ている者…?」


「そうです!貴女の事を心配している涼月さんや関平さん、そして周倉さんや兵の事は考えてないのですか!」


「………」


璃々がそう言い放つと愛紗は黙り込んでしまった…。しばらく部屋が沈黙状態でいると


「申し上げます!」


血相を変えた兵士が部屋に現れると


「代わりに私が受けるわ。こっちに来て!」


今、混乱状態になっている愛紗の代わりに愛香が周りに聞こえない様に兵士から話を聞くと、愛香は一瞬驚きの表情を見せたが、愛紗に悟られないようすぐに表情を戻すと


「義姉上、少し席を外します。それと璃々様、趙雲殿を少しお借りしたいのですが…」


愛香の申し入れに璃々は、愛紗に少し冷却期間が必要と思っていたのですぐに了承し、星は愛香と共に席を外した。


2人が居ない間、愛紗は終始無言であった。


するとしばらくして再び部屋の戸が開けられと、その開けられた方向を見ると璃々は驚いた表情をしていた。


「………ご主人様に、お母さん……」


何とここに一刀と紫苑がやって来たのであった。


璃々は流石にここで一刀たちが現れると思っておらず、驚きの余り席から思わず立ち上がってしまい、そして紫苑の顔は、一刀の考えを読めないとはまだまだ甘いわねという不敵な表情をしていたのであった。




ご意見・ご感想あれば喜んで返事させていただきます。(ただし非難・誹謗等は止めて下さいね)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ