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真・恋姫無双 〜新外史伝〜  作者: 殴って退場
第1章 再び外史に
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第7話

ハチャメチャな展開になっていますので、嫌な方はスルーして下さい。

翌朝・・


璃々の天幕から帰っていた一刀が、陣払いの準備をしていると渚がやって来て


「一刀様、姫が2人でお話したいことがありますので、姫の天幕まで来て下さい」


と言ってきた。


一刀が了解したが、渚が


「一刀様?」


「はい、何ですか渚さん」


「昨日、璃々さんの見舞いの後、姫と何かありました?」


「いいや、昨日はあれから翠や渚さんと別れてから、さっきまでまったく会っていないけど?」


「う~ん、そうですよね・・」


「どうかしましたか?」


「いいえ…、話し方は普通なのですけど、雰囲気が何か殺気というか悲壮感が漂っているというか…姫が今まで見せたことがない様子だったので…、すいませんが姫のことよろしくお願いします」


渚が心配そうに言うので、一刀が


「分かりました。取り敢えず、翠のところに行って話を聞いてきますよ。すいませんが陣払いの方はお願いします」


そう言い残し、翠の陣幕に向かった。


一刀が翠の陣幕前に来ると


「翠、一刀だが入ってもいいか?」


普段通りの声を掛けると、中の奥の方から辛うじて聞こえるような声で


「…入れよ」


明らかに普段と違う翠の声が聞こえたので一刀は何かあるなと感じ、


「入るぞ」


警戒心を持って、天幕の中に入ったが、中は暗く、辛うじて外の光だけで中の様子が見える状態であった。そんな奥の方から人影が見えたので、確認してみると、銀閃を持って構えている翠が立っていた…。


一刀が明らかに翠の様子がおかしいことに気付いたが、翠が無言で、そして銀閃を構えたまま、槍の先を顔に近付けて…怒りを込めながらもそれを辛うじて抑えた声で


「一刀…、昨日璃々と……男と女の付き合いをやっている時……、璃々が一刀のことを「お父さん」……と言っていたよな…あれはどういうことだよ、教えてくれよ……」


翠の口から衝撃な発言を聞いた瞬間、一刀は昨日の事が翠に見られたことを悟った。


一刀はしばらく沈黙した後、右手の素手で銀閃の先の部分を強く握り、手からは出血しているにも係わらず、そのまま握った状態で銀閃の先を自分の心臓の位置に持っていき、覚悟を決めたかのように


「翠・・今から俺が話すことについて嘘偽りはない。これを聞いて、俺が生かしてはならない人間だと思うのなら、そのまま銀閃で俺の心の臓を刺しても構わない。俺は翠に殺されても後悔もしないし、恨みも言わない。ただ紫苑と璃々の命だけ取らないでくれ」


一刀が覚悟を決めたかのように言うと翠も警戒を緩めない態度で


「ああ…紫苑と璃々の命までは取らない。話してくれよ…」


翠も覚悟を決めて了解すると、一刀は以前別の外史で紫苑と璃々と出会った時ことから、現代の生活を経てこの世界に降りてきた時までのこと、別の外史で翠と出会っていたこと、そして一刀と紫苑が若返ったため、璃々との関係を偽っていたこと、最後に璃々が一刀と紫苑の関係を承知で愛していることを全て話をした…。


そして全ての話を聞いて翠は一刀に


「は…は、そんな話、誰が信じろって言うんだよ!」


「信じるか信じないか翠、翠の判断次第だよ…。ただ1つだけ言っておく。俺は璃々を抱いたことについて後悔はしない、1人の男として寧ろ嬉しいくらいだよ。そしてそれは紫苑も承知の上だ、だから翠が俺の命だけでなく紫苑や璃々の命まで取るというのであれば、俺は翠を敵に回しても戦うつもりだ……」


一刀がきっぱり言い切ると、翠は涙を流しながら


「何なんだよ…それ…」


「せっかく私が、生まれて初めて男に興味を持って、好きかもしれないと思っていたのによ…」


翠は呟きながら、持っていた銀閃を地面に落とし、そしてその場で泣き崩れてしまった。


そして一刀は心中


(「今の俺に翠を慰める資格はない…」)


「翠、ごめん……」


一言謝罪の言葉を口にして陣幕を出てきた。


一刀は、その足で璃々がいる陣幕に行くと、璃々の様子を見にきていた紫苑もいた。


「おはようございます、ご主人様」


「おはよう~ご主人様」


2人が挨拶するも、一刀の様子がおかしいことに気付いた紫苑と璃々が、一刀をよく見ると右手が怪我をしていることに気付き


「「ご主人様、手が・・」」


「ああ、すまんが紫苑、治療して貰ってもいいか」


「どうしたのですか、こんな怪我をされて」


「そうそう、どこかで転んだの~」


2人が心配そうに聞くと、一刀は


「すまん、実は…」


先に謝罪して、先程翠の陣幕であった出来事について全て説明した。


2人が一刀の説明を全てを聞き終えると、一刀と璃々の関係を持ったことについては微笑んでいたが、今後について一刀に


「ご主人様、これからどうされますか」


説明を求めると一刀は紫苑に頭を下げて


「本当にすまん紫苑、正直言って、俺は近いうちにここから出ようと思っている。翠は俺の事が好きかもしれないと言っていたが、この状況になってしまったら、居るに居られないだろう。それに翠の悲しい顔を見たくはないし、これ以上翠を苦しめるのも俺の本意ではない、だから翠の心の傷をこれ以上広げないためにも、ここを出た方がいいと思う」


一刀が説明すると


「ごめんね…、ご主人様、私の不用意な一言がこのようなことになるとは…」


璃々は泣きそうな顔になりながら謝ると一刀は


「気にするな、璃々、俺もまさかこのようなことになるとは思っていなかったけど、言っただろう。どんなことになろうとも紫苑と璃々を守るって」


それを聞いて紫苑は


「残念ですが…仕方がないですね。でも何かいい方法があるか考えてはみますけど…」


「ああ、いい方法があればいいけど…」


そして璃々も寂しそうな顔をしながら


「うん、仕方ないよね。私も翠お姉ちゃんの辛い顔を見たくないし、翠お姉ちゃんも好きなご主人様を奪い取った私の顔なんて、きっと見たくないはずだよ」


璃々も同意したので、話し合いの結果、この後武威に戻ってから、3人は涼州から離れる方針で一致した。


家族会議の後、陣を引き払い、武威に戻っていたが、その間行軍中、翠は元気がなく、一緒にいた一刀たちとの会話が無い状態で、更に紫苑も道中、一刀とほとんど会話を交わさずに、何かを考えている様子であった。ようやく城に戻ると翠は、碧への報告については体調不良を理由に渚に任せ、自室に籠ってしまい、そして一刀と璃々の方は、翠との摩擦を避けるため、戦の報告については紫苑に任せることにした。


そして、碧への報告に行く前に紫苑が一刀に


「ご主人様、一つお聞きしていいですか」


「何、紫苑?」


「ご主人様と翠ちゃんの会話の時に翠ちゃんは、ご主人様が好きかもしれないと言っていましたよね」


「ああそうだけど」


「それでご主人様は翠ちゃんのことをどう思ってますか?」


「ああ、あんなことになったけど俺が翠を嫌いになるはずがないだろ、まだ昔の気持ちがあるかもしれんが、今の翠も好きだよ」


「まぁ」


こんな状況でも堂々と翠を好きだと言える一刀に感心しながら、紫苑は笑みを浮かべ、そして璃々の方に向き


「璃々、翠ちゃんの悲しい顔を見たくないと言っていたよね」


「うん、そうだけど…どうしてそんなこと聞くの?」


璃々が疑問に思っていると紫苑が璃々に耳を貸しなさいと言って、一刀に聞こえないように小声でヒソヒソ話をして、璃々にそのことを説明すると璃々が


「え?、そんなことできるの?それはできたら何か嬉しいやら悔しいやら色んな気持ちだけど…でもできたら何となく面白そうだね」


璃々も紫苑の説明を聞くと何やら目を輝かせながらそう言うと、流石に一刀も気になり


「紫苑、いったい璃々に何を言ったんだ。教えてくれよ」


「ふふ、それは秘密ですよ。ご主人様」


「それでご主人様、今回の一件、私に任せて欲しいのですけど、よろしいですか?」


「何か案でも浮かんだのか、紫苑?」


「ええ、ただ確実ではないので成功するかどうかは分かりませんが…、だから璃々、さっきの話はあくまでも話が成功してからのことだから心配しなくていいわよ」


「紫苑、無理をするなよ。お前を失ってまで、ここにいるとは考えていないからな」


「あらあら嫌ですわご主人様、別に殺し合いに行くわけではないですから」


「分かった紫苑、話し合いは任せるよ。決して無理をするなよ」


「分かっていますわ、ご主人様、では碧様のところに行ってきますので」


紫苑は胸にある決意を秘め、碧との会談に臨むのであった…。





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