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真・恋姫無双 〜新外史伝〜  作者: 殴って退場
第7章 蜀侵攻
63/134

第63話

またまた強引な話の流れになってしまっていますが…それども良ければ読んで下さい。


あとお気に入り400件に達して、大変喜んでいます。


今後とも応援よろしくお願いします。

葭萌関郊外の戦いが終わってから、2日後に一刀たちは葭萌関に帰還した。


帰還してから、一刀たちは、捕えた桔梗らと会談する前に、まずは黄忠をまだ対面していない翠たちと対面させた。


そして黄忠を見て翠たちは


「はぁ~、まるで双子みたいだな」


「ふむ、予め主が言ってくれなければ、翠が言っているように双子と間違いそうですな」


「は、はわわ。どう見ても紫苑さんと黄忠さんの見分け方が分かりません」


「フフフ、皆さんにそんなにじっくりと見られたら照れますわ」


「では改めてご挨拶いたしますわ。皆さんもご存知だと思いますが、私はこの世界の黄漢升で、真名は紫苑さんと同じなので、よろしくお願いします」


「おい、いいのかよ?そんな簡単に真名を教えても」


「そうです。いくら私たちが黄忠さんのことを知っていると言ってもあくまでも紫苑さんの知識でのことですよ」


翠と朱里が黄忠の発言に対して声を上げるも黄忠はこれに動じず


「ええ、それは分かっていますわ。でもこれから色々とお世話になるかも知れないのに変な隠し事は無しにしたいですわ。フフフ…」


「ほう、なかなか食えぬお方だ。何が狙いですかな」


黄忠が意味深な笑みを浮かべたのを見て、星も何か気付いたのか敢えて質問で返すと


「今のところは貴女方のご主人様がどの様な方か見定めたいだけですわ。今はね…」


「それではご主人様が、黄忠さんの言われる意中の方であればどうされるのですか?」


「どうもこうもないですわ。私も貴女たちと同じようにお仲間に入れて貰うだけですわよ」


「はぁーーー!?」


「えーーー!?」


「ハハハ、これは面白い。同じ女性が同じ男を愛するなどめったに見れるものではないな。ではそちらが名乗られたのだ。私も名乗らないと失礼だな。我が名は趙子龍、真名は星だ。今後とも良しなに頼む」


翠と朱里は黄忠の発言に驚きの声を上げていたが星は全く動揺せずにこの状況を楽しんでいた。


「ちょっと待てよ。紫苑や璃々はそれでいいのか?」


「あら翠ちゃん、もし漢升さんが加わって、何か不都合があるのかしら?」


「ふ、不都合って…」


「私は前から言っているけど、身も心も全てご主人様に捧げているわ。相手がたとえ違う世界の私であろうともご主人様の一番は譲る気はないわよ。それとも翠ちゃんは一番になる自信が無いのかしら?」


「何!私だって負ける気なんてさらさらない!」


「では、もし漢升さんが仲間として加わる場合、これで決まりね」


「あ…」


紫苑の誘導に翠は返す言葉がなく、


「璃々さん、いいのですか?」


「うーん、もうああなったらお母さんを止められないもん。何せ私が幼い頃からご主人様を差し出そうと考えていたくらいだから、朱里も諦めて、ご主人様を誘惑する方法の一つでも考え方がいいと思うよ」


朱里も璃々の発言を聞いて、ため息を付くしかなかった。


「すでに黄忠さんが加わることが前提になっているけど、これでいいのかよ…」


一刀は話が勝手にどんどん進んでいるのを見て呆れかえっていたが、星が


「何を言っているのですか主、そんな今更、主の女好きは皆が知っていること。良き男に良き女子が集まるのは世の摂理、主は大きく構えて、我々を愛してくれれば良いのです」


「そうだよご主人様。ご主人様の気の多さは皆分かっていることだからさ」


星と璃々から事実を告げると一刀は返す言葉が無かった。


そして残る翠と朱里もお互い自己紹介をしてから、一刀は流石にこのような話をいつまでもする訳にいかず、話を変えるように


「なあ翠、捕えた人たちの様子はどう?」


「ああ取り敢えず、ご主人様の言いつけどおり、牢ではなく、客間のほうでくつろいで貰っているよ。それで、今、順番で蒲公英が見張りしているよ」


「それで厳顔さんたちに怪我とかはない?」


「怪我はないのですが…、取り敢えず口で説明するより、実際に見て貰った方が早いので、部屋に案内いたします」


星が複雑な表情を浮かべながら、桔梗たちが軟禁している部屋に一刀たちを案内した。


一方ちょうどその頃、桔梗たちがいる部屋では


「このーーー!ドン!」


「……くそ~~。なんて硬い窓なんだ!」


「あんたこの窓や扉をブチ破って逃げれると思っているの?やっぱり脳筋だね~」


「焔耶…いい加減諦めんか」


何とか補強している窓を突き破って逃げようとする焔耶にお茶を一緒に飲みながら呆れ返っている蒲公英と桔梗。


「しっ、しかし…バチーン!」


「しかしも案山子もあるか!この馬鹿!」


桔梗の言葉に何か反論しようとした焔耶に背後から夕霧が盛大に焔耶の頭を張り飛ばした。


「何、うだうだやってる!お前はこの子と一騎打ちして負けたんだろう!負けたなら大人しくしておけ!この馬鹿!」


「わ、私は悔しいのです!あんな小娘(蒲公英のこと)に一撃も入れずにむざむざと敗れてしまい、武人としてこのまま引き下がることはできません!例え桔梗様や夕霧様のお言葉でも、今の私にはあいつを叩きのめす以外の事は興味がありません!」


焔耶は蒲公英との一騎打ちで完膚なきまで打ちのめされたことで、完全に武人としての誇りを傷付けられたと思っていた。そしてそれは蒲公英を打ちのめす以外に自分の誇りを取り戻すことができないと思い込んでしまっていた。


本来なら焔耶と蒲公英の実力差は殆ど無いが、焔耶の直線的な戦い方に対し蒲公英の変幻自在な戦い方は焔耶にとって相性が悪く、更に焔耶は物事を考えずに本能のまま戦っていたため、今回の様な結果になったのだが、焔耶自身が冷静になれば互角の勝負ができるのであるが、蒲公英に敗れ自暴自棄になっている状態であったので、自分の敗因に気付いていないのであった。


「焔耶…お前の悔しさは分からぬでもないが、それでここで暴れるのはお角違いだろう」


「そ、それは分かっています。しかし私は、このままではおめおめとこいつに負けたまま敵に降ることはできません!」


「ではどうするのだ。北郷軍が捕えたお前をこのまま放してくれるとは思えぬが、このまま降らなければ、ここで殺されても文句は言えぬぞ。それでもいいのかお前は!」


夕霧がそう告げるも焔耶は


「それで殺されても文句はありません!今の私は、あの女に傷付けられた武人としての誇りを戦場で勝って取り戻したいだけなのです!」


焔耶は夕霧の説得にも耳を貸さずに自分の考えに固執してしまい、意地でも引き下がれない状態でいた。


「では焔耶よ。もし戦場で儂と出会って、儂に弓を引くことができるか?その覚悟あるのか?」


「では桔梗様は、このまま敵に降るお積りですか?」


「儂は、この戦いについては満足した。まあ向こうの出方次第だが、儂はこのまま降っても良いと思っておる。それで焔耶、お主はどうする積りじゃ?」


今まで黙っていた桔梗が、焔耶の覚悟を問い質すと焔耶はしばらく無言でいたが


「……桔梗様、やはり私は、このままおめおめと降ることは出来ません。例え桔梗様を敵に回そうともこの意志を貫きたいと思っています」


「そうか…」


桔梗は焔耶の気持ちが分からないでも無かった。今まで自分が培ってきた武が、蒲公英の挑発に乗っかったとはいえ、簡単に敗れてしまい、このまま引き下がれば今後の自分に自信を無くす恐れがあり、またそれで迷っても今後の成長を促す一つになればとも思っていた。そして最悪の場合、自分の命と引き替えに焔耶の助命も考えていた。


そんな中、一刀たちが部屋に入ってきたが、紫苑と黄忠については外で待機して貰っていた。


というのは、今後の話し合いに、いきなり紫苑と黄忠の同じ顔をした2人の姿を見せたら、場が混乱する恐れがあったので、まずは一刀たちが話し合いをすることにした。


そして蒲公英が3人の紹介をしながら、さっきまで部屋で起こっていたことを説明。


「まずは改めまして、俺の名前は北郷一刀。一応この軍を率いています。君は魏延さんかな?このまま俺たちに降る気はない?」


「フン!私はこの女に一騎打ちに敗れたが、貴様に降る気は更々ない!」


「では、このままここから出す訳には行かないな」


「そうだな、ご主人様や蒲公英の命を奪われる訳にも行かないから、こいつをここで始末しておくか」


星と翠がそう言うと璃々が


「う~ん、そうかな?別にこの人をこのまま放逐したらいいと思うけど」


璃々の言葉に2人が怪訝そうな顔をしていると一刀が


「そうだな…。俺も璃々の意見に賛成だ。先に言っておくけど、俺は簡単に人を助ける甘い人間じゃないぞ」


一刀が告げたが、一刀以外の将は「いや、それは嘘でしょう」と内心突っ込みを入れていたが、一刀はそれには気付かず言葉を続けた。


「まず1つ目の理由だが、無理に嫌がっている人を味方に引き入れても不協和音起こす可能性があり、軍の崩壊にも繋がりかねない」


「2つ目、捕えた人を自分達に従えない理由で簡単に殺してしまうと、今後人材を集める意味で後々に影響する恐れがある」


「3つ目、これが最大の理由だけど…」


一刀は、言葉を切って


「魏延さん、貴女の武を振う理由は何?」


「おかしなことを聞くな、貴様は。私の武は、強さだけが全て、そして戦に勝つ!それだけだ、他に理由があるか!」


「そうか…それも間違いではないけどね。でもそれだけでは馬岱やここにいる馬超、趙雲に一生勝てないと思うよ」


「何、貴様!私の武を侮るのか!」


「別に侮っていないけど、ただ思ったことを俺は正直に答えただけだよ」


「俺たちはこの世界を皆が少しでも民が普通に平和で暮らせる為に戦い、そして戦いに勝つために色々と何らの努力をしている。勿論、蒲公英やほかの皆も自分自身を強くする為に努力しているよ。蒲公英の姿を見たら全く想像出来ないけどね」


「中には呂布みたいに自然体のまま強い人はいるけど、でも今の君は、強さだけを求め、ほとんど考えを持たずに本能で行動している限りは、ある程度のところまで成長はしてもそこ止まりだと思う。そんな一辺倒の考えしか持たない君を無理して、俺たちは欲しいと思わないよ。これが3つ目の理由だよ」


「そうだね。私もこんな脳筋に全く負ける気しないし~、今度もしこの女と戦う時、蒲公英、ご主人様にもっといいところ見せちゃうんだから♪」


「ふむ…、なるほどそう聞くと主もなかなか辛辣ですな」


「ご主人様の言う通りだな。弱い者苛めは私の性に合わねえし」


「そうですね。今、仮に貴女が我が軍に来ても、今の考え方では、私は貴女には兵を預けることはできませんね」


星や翠、朱里が焔耶加入に否定的な態度を取ると焔耶は激怒して


「私がいらぬだと、ふざけるな!」


「ふざけているのはどっちだ!貴様の命など、主の命があれば、いつでも討ち取ってくれる!」


「ぐっ…」


「星、いいよ。俺は仲間にならないからと言って簡単に人を殺したくない。だから魏延さん、別に無理して俺たちの仲間になってくれとは言わないよ。ついでで悪いけど、この人に馬と路銀を渡して、城の郊外まで送って来てくれるかな…武器は渡せないけどね」


「ちょっと待て、貴様、私がここにいる者に勝てないと言ったな。もし私が修行してここにいる連中に勝ったらどうする」


「今の君では無理だと思うよ。ここにいる趙雲や馬岱、そして璃々は戦闘中や色んな処で頭を使っている」


「(翠は、戦闘中は頭を使っているかもしれないけど、その他についてはちょっと疑問だな…)」


一刀は失礼な事を考えながら言葉を続け


「それは言いかえると自分で色々と考えながら行動しているという事だよ。しかし君の場合、話によれば戦闘中は感情のまま本能で戦い、そして負けて納得がいかないと言って文句を言う。俺から見るとそれは子供の感情論と一緒、身体は大人かもしれないが、考え方では大人と子供の違いは有る。だから君が今すぐ勝てると思っていないよ」


「でもね…君が何かいい意味での武を振う目的を見つけたならば、君の武はもっと伸びることを忘れないで欲しい」


最後に一刀は焔耶を多少認める発言をした。


これを聞いた焔耶は


「貴様に命を助けて貰ったことについては礼を言っておく。しかしこのお礼は正々堂々と貴様らに勝って返してやる」


焔耶はそう言い残し、そして桔梗たちに別れの一礼をして、星と連れられこの場を立ち去っていった。


そして焔耶が去ってから桔梗が


「北郷殿、あ奴のことで命を救っていただき大変申し訳ない、この通り礼を申し上げる」


「いいえ、俺は唯、無意味な殺生をしたくないだけで、魏延さんを特別に救った訳ではないですよ」


「それでもあ奴は、儂の不肖の弟子で、馬鹿な弟子ほど可愛いですからな」


「分かりました…それで厳顔さんと法正さん、できれば今後どうするつもりですか?できれば俺たちの仲間になっていただきたいのですが…」


「うむ…儂は敗軍の将じゃ。儂の命、必要ならば好きに使っていいぞ」


桔梗は降る姿勢を見せたが、夕霧はそれに素直に従う気が無かったので、敢えて質問をぶつけてみた。


「では聞くけど、貴方はこの益州をどうするつもりなの?」


「そうですね…俺たちでもやれることは知れていますけど、俺たちの理想は、皆が普通に暮らし、普通な人生、普通な恋愛などができるような普通な世の中にするために戦っていくつもりですよ」


「偽善的ね」


「……貴女が俺たちのことをどう思っても結構だけど、じゃ聞くけど偽善の何が悪いの?主君の悪政を止められなかった人に、俺達を非難する資格があるとでも?そして「やらぬ善より、やる偽善」どっちが民にとっていいと思うの?」


「うっ………」


一刀の痛烈な反論に流石の夕霧も黙るしかなかった。


「ハハハ!夕霧、お主の負けじゃ!お主を簡単に言い負かすとは面白いお方ですな。この厳顔、これからは貴方の為に働きましょうぞ。そして忠誠の証として真名を御受取り下され。儂の真名は桔梗と申します。以後よろしく頼みますぞ、お館様」


「先程は失礼しました、北郷様。この法孝直、桔梗同様、これからは貴方の為に働きます。

そして我が真名は夕霧、北郷様にお預け致します」


「夕霧さんもこれからよろしく頼むね。あと俺には真名がないから一刀とか好きに呼んでくれたらいいから」


「分かりました、ではこれからは、一様かずさまと呼ばせて貰いますわ」


と言ってそれから皆で真名の交換が終わり、話が一段落したところに、すると


「あらご主人様、もうお話が終ったのかしら?」


「ああ紫苑か、そうだよこれからこの2人も仲間になったから」


「そうですか良かったですわ」


一刀と紫苑が話していると事情を知らない桔梗が


「何じゃ、紫苑お主もここに来ていたのか」


桔梗が紫苑に声を掛けるも紫苑はこれに答えずに微笑を浮かべて、桔梗たちのところに行き


「初めまして厳顔様に法正様。私は、我が主北郷一刀の妻北郷紫苑と申します。今後ともよろしくお願いします」


紫苑が挨拶をすると2人は


「「はぁ??」」


「フフフ、2人とも何て間抜けた顔をしているの♪、でも桔梗や夕霧のそんな顔って滅多に見れないわね」


桔梗と夕霧は、黄忠が一刀と同行しているものだと思っていたが、すると紫苑の挨拶で、自分が知る人物と別人の名が出て来て驚いた。更に驚いている2人に追い打ちを掛けるように紫苑の後ろから黄忠が出てくると更に2人は困惑した。


そして桔梗たちは、紫苑と黄忠を見た瞬間


「のう夕霧」


「何だ」


「儂、急に眼が悪くなったのかのう、紫苑が2人いるように見えるのじゃが…」


「心配するな桔梗。私も紫苑が2人いるようにしか見えないから」


流石の強心臓2人も紫苑と黄忠の姿を見て驚きを隠せなかった。


そして桔梗たちには紫苑と黄忠の関係や一刀たちの事を説明したのであったが、驚きの連続であったことは言うまでも無かった。


こうして一刀は巴郡の制圧に成功したのであった。


ご意見・ご感想あれば喜んで返事させていただきます。(ただし非難・誹謗等は止めて下さいね)

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