第51話
上手く書けているか不安です…。
~長安~
璃々と朱里が長安に帰って来た同時期に今後の事を確認するため西涼から詠もやって来ていた。そこで一刀は、以前紫苑や真里、朱里と今後の予定を決めてはいたが、取り敢えず今いる者で意見等を聞くため衆議が開かれ、先ず口を開いたのが真里である。
「今、隣国の袁紹は私たちを攻める動きが無いから、今、益州を攻略する絶好に機会だと思うけどどう?」
真里は周りを見渡したが、
「反対する道理はないわよ」
詠が自信に満ちた微笑を浮かべ答えた。
他の武将たちも異論が無く、まずは益州攻略が決議された。これは既に一刀や紫苑たちもすでに同意していたので異論は無かった。
そして益州遠征部隊と留守番組の編成について真里から説明された。
遠征部隊には、一刀・紫苑・璃々・翠・蒲公英・朱里を長安から出陣させ、そして現在漢中にいる星と菫を先遣部隊として武都郡の制圧、そして恋とねねはそのまま陽平関を守備した後、後詰の部隊として遠征部隊に参加、漢中は長安と遠征部隊の連絡役として真理が守る。
現在西涼にいる月と華雄と渚を長安に移動、そして月が一刀の代わりに長安を治め、そして霞を函谷関に前進させて隣国の袁紹や曹操に対する備えに置く。
西涼に残る碧と詠は羌との関係正常化のための交渉に当ってもらい、馬休・馬鉄もそのまま西涼に留まる。
これを聞いた詠が
「1つ聞きたいのだけど、どうして月を長安に戻すの、別に碧でもいいじゃない?」
疑問の声が上がったが、
「詠ちゃん、碧さんは完治したとは言え、病気の後遺症もあるから心配だから、故郷でしばらく楽にさせて上げたいの。詠ちゃんにはその碧さんを助けて欲しいのよ。それで月ちゃんは内政の手腕を見込んで、ご主人様の代わりに長安を治めて欲しいからこっちに来て貰うのよ」
紫苑から優しく諭されると流石の詠も月から離れることに対して不満を言う訳にも行かず、
「ふ…ふん、分かったわ。羌の交渉くらいボクの力でやってやるわよ」
詠は交渉任務を引き受けた。
あと霞から
「な~何でウチが遠征部隊に入ってないんや」
不満の声が上がったが、
「向こうでは城攻め中心で騎馬隊の活躍は少ないし、それに万が一曹操や袁紹が来た時に臨機応変に対応できるのが霞しかいないんだ。これを引き受けてくれたら、1月分の酒出すよ」
一刀が酒を出汁にして説得すると霞も騎馬隊の出番が少ないのを聞いて、函谷関での留守を引き受けたが、しかし霞はある事に気付き、
「なあ~一刀、留守は引き受けるけど、それじゃ何で翠や蒲公英を連れて行くんや~」
何故か耳が猫耳の様になり、興味深々に聞いてくる霞に一刀は一言小声で
「大人の事情ということで…」
一刀がそう説明すると、翠は顔を赤らめ、蒲公英は苦笑いしているのを見て、霞は3月分の酒代を一刀に請求すると一刀は渋々これを承諾したのであった。
「何やってるのよ、アンタは…」
そして詠は一刀と霞の遣り取りを見て呆れかえっていた。
こうして遠征軍の編成は決まったが、引き続き真里から各諸侯の状況を説明されていた。
「現在、周りの諸侯の動きは、袁紹は相変わらず幽州の公孫賛を標的にして兵を集めているわ。そして曹操だけど現在自国で力を蓄えているけど、恐らく次は徐州を狙っていると思う。その影響か今、徐州の城下あたりでは劉備の配下にいる関羽が謀反する噂が立てられているの。それで詳しい事実は今のところ分からないけど、その関羽が何らかの不祥事を起こして、現在謹慎状態になっているのよ」
真里の説明を終えると紫苑と一刀が
「愛紗ちゃん、何をしたのかしら…」
「しかしこの間のことや今回の一件、大丈夫か桃香のところは… 朱里、雛里から話は聞いていないのか?」
「はい…連合軍との戦い以後、手紙を出しても返事が無い状態で…」
朱里も心配になり一刀の許可を得て何度か手紙を出していたが、雛里からの連絡が途絶えた状態なので、どうすることもできなかったところに
「朱里には悪いけどボクの立場としては、今のところ劉備を助ける義理はないから、このまま静観するしかないわ」
「まあウチも詠の意見に賛成やな。それに向こうから何も言うてけえへんかったら、問題ないんとちゃうか」
以前桃香から敵として刃を向けられた立場である詠と霞から様子見の意見が出されると、朱里も少し悲しそうな顔をしながら
「私個人としては雛里ちゃんたちを何とかして上げたいのですが、何も分からない状態なので…今は詠さんたちの意見が正しいと思います」
朱里も流石に現状では詠の意見に同意し、他からも詳細の事が分からないため桃香の件は静観することとなった。遠征については、朱里たちで調整し近日中には出兵することで話が纏まった。
会議が終了すると璃々と朱里は、一刀・紫苑・翠・蒲公英に重要な話があると言って、一刀の部屋に移動して貰った。
そして璃々の口から、益州の情報として、益州に黄忠という名の武将がいると聞くと一刀と紫苑は流石に驚き、翠と蒲公英は話の内容が掴めてなかったので、璃々が星と朱里と同じような説明をするとようやく納得した。
「そうか…やはりこちらの世界にも紫苑がいたか…」
「フフフ、こちらの私ってどんなのかしら」
「でもよ、双子でもないのにもし同じ顔が一緒にいたらまったく訳分かんないぞ」
「そうだね、でもその黄忠さんも子供がいるんでしょう?その子が璃々の可能性が高いのかな~」
「う~ん、でもはっきりしたことは分からないけど、私の勘だけどその可能性が高いと思うな」
「取り敢えず、今も情報は集めて貰っていますので、情報が入り次第、ご主人様たちにお話したいと思いますが、まだ詳しいことが分かりませんので、この話は私たちと星さん以外は内密でお願いします」
朱里から当面箝口令を引くように言われると皆が同意した。
そして話が終り、部屋から立ち去ろうとする朱里に一刀が
「朱里、もし雛里から何か助けがあれば、その時はできる範囲で力になるから遠慮なく言ってくれよ」
「はい!ご主人様その時はよろしくお願いします」
朱里は一刀からそう言われると少し元気を取り戻し部屋から出て行った。
そして一刀は部屋に残っている紫苑と璃々に、先程の話の続きで一刀が質問で
「紫苑、もし向こうの紫苑と戦う状況になったら、どうする?」
紫苑も少し困惑した表情を浮かべ
「そうですね…武人としては戦って見たい気持ちもありますが、でも同じ顔をした私を倒すというのもあまりしたくないですわ」
「確かにね。私もあまり見たくはないよ」
「俺も璃々と同じで、紫苑同士で戦う姿は正直見たくはないな。向こうでの状況次第だが、まずは俺たちの考えは、向こうの紫苑とは基本不戦ということでいいかな」
一刀が紫苑と璃々にそう告げると2人も納得した表情をしていた。
~陳留~
現在、城のある場所において、風とある死刑囚がいた。当然周りには護衛兵もいる。
風がその死刑囚に対して
「ある仕事をしていただいたら、命を助け、更に賞金を渡しますよ~」
死刑囚はその言葉を聞いて、死刑を回避出来るという上に賞金まで出して貰えることで喜んで承諾。
仕事の内容は、ある場所に手紙を配達、必ず返事の証明を貰い、それを持ち帰ることと風からそう指示されるとその死刑囚は怪しまれない様に行商人の姿になった。
しかし男は、道中商売をする訳でもなく、支給されたお金で散財していたが、徐州に入り、徐州城の手前の町で、辺りに人影が無いのを確かめ、この行商人に不意打ちに背後から斬り付ける曲者たちがいた。この死刑囚、元々は盗賊の出であるが腕が立つ訳ではない。
そして曲者の1人が、その男の首の根を深く抉ると、よろめきながら崩れ落ちるように倒れた。そして曲者たちは行商人の懐中の金や荷物などを持って姿を消した。
そしてしばらくすると通りかかった老婆が、無残な死体を見つけ腰を抜かし、そして付近には野次馬が集まり出した。
そして現場には役人が来て、金が無いので物取りの犯行と断定したが、取り敢えず男の死体を調べていると男の懐中から厳重に厚紙に包んだ手紙が発見され、役人は男の何らかの手掛かりになると思い、手紙を引き出して見てみると事実を全く知らない役人には驚愕の内容が書かれていた。
手紙は華琳から愛紗宛てへの手紙であったが、その内容は華琳が兵を徐州に出兵する時期や出兵する兵数や進路状況などが事細かく書かれ、そして愛紗には時期を見て内部から攪乱して欲しいこと旨の事が書かれていたのであった。
愛紗の件を噂でしか知らない役人たちはこれを見て驚き、慌てて手紙を徐州城に送られたが、そしてこの手紙こそが徐州崩壊の始まりであった……。
ご意見ご感想をぜひお待ちしていますm(__)m。