第47話
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袁紹軍との戦いを終え、長安に帰還した一刀たちであるが、まだ西涼に滞在中の碧や漢中を臨時太守している璃々たちが不在であるため、現在は内政に専念していた。
そして、長安にいる一刀たちは戦いの間に溜まっていた木簡を整理していたが、そんな中、
「朱里すまないが、しばらく漢中に行って、璃々の補佐をしてくれないか」
「はい分かりました。取り敢えず璃々さんの補佐に、あと璃々さんが採用した子の能力の見極めと指導を合わせて見てくることで宜しいでしょうか?」
「うん、宜しく頼むよ」
「朱里ちゃん、璃々のこと宜しく頼むわね」
「ご主人様、紫苑さん、璃々さんなら少し教えたら、すぐできるようになりますから安心して下さい。では私はこちらでの仕事を片付けたら、出発しますので、失礼します」
一刀は璃々が漢中の臨時太守になったという知らせを聞いたが、現在漢中にいるメンバーが内政面での手腕が未知数な者やまた恋のように全く不向きの者がいるため、紫苑と朱里、真理と相談した結果、一時的に朱里が漢中に赴くことで話が付いたのである。
「でもご主人様、今はこれでいいですが、今後のことを考えて、人事の配置転換を考えた方がいいのではないですか?」
「そうですね、一刀さんの考えでは、次は益州攻略でしょう?一刀さんたちに出陣して貰うにしても、長安を守る将や万が一に備えて残る将とかも考えないといけないわ」
「確かに2人の言う通りだな。取り敢えず、早めに調整した方がいいかもしれないね」
「分かった、あと周辺諸侯の動きなどを見て、紫苑さんや朱里、私の考えなどを入れて、一度提案してみるわ」
「それで頼むよ」
一刀がそう返事すると、2、3つ仕事の話をしてから、真理もその後、他に仕事があるのか部屋を出て行った。
すると部屋には一刀と紫苑だけとなったが
「あの子が漢中を治めるというけど大丈夫かしら…」
紫苑は心配する母親の顔になっていたが、逆に一刀はあまり心配していない様子で
「何、大丈夫さ。璃々はずっと俺たちがやってきたことを見てきているし、まず民を泣かすことはしないさ」
一刀から言われると紫苑は、一刀は璃々をもう子供ではなく、すでに大人として扱っていると感じた。そう考えた紫苑はある答えを出した。
(「そろそろ私も子離れしないと…」)
紫苑はそれを一刀に言う訳でもなく、胸の内に秘め
「その通りですわ」
「だって俺たち2人の子だろう?」
「フフフ…、ご主人様その答え間違っていませんが、今は私と璃々はご主人様を共に愛する女なのですから、これから私もあの子のことを一人の女として見ないといけませんわ」
「だからご主人様もあの子のことを一人の女性として見て上げて下さい」
紫苑は一刀とのやり取りの中で、その答えにたどり着くと、こう考えた。
この世界では、これからは璃々も一刀争奪戦におけるライバルになるから、だから私も負けられない、何としても皆より先に一刀との間に子を作りたいと思っていた……。
~徐州~
袁術軍との戦いを無事帰還した桃香たちは、勝利の気分そこそこに愛紗から報告を受けた。
まず一つ目が愛紗と関平こと愛香の義妹の契りを結んだことについてだが、これには皆から改めて愛紗の口から聞くと驚いたが、皆歓迎の意向を示し、愛香と皆の間で真名の交換が行われた。
ただ愛紗から2つ目の報告を聞くと、皆の表情が厳しくなってしまった。
愛紗が愛香を採用する際に兵士に暴行をした件を聞いて、桃香は
「どうして愛紗ちゃんは、そんなことしたの!幸いその兵士の人に大きな怪我なく良かったけど、その兵士の人はどうしてるの?」
「はい…、その者に謝罪し、怪我の治療費やその間に休んだ分の給料の補償とあと迷惑料として幾らかお金を渡しています…」
愛紗からの報告を聞いて、雛里は愛紗に
「愛紗さん、貴女もお分かりだと思いますが、唯でさえ軍での喧嘩が法度なのに、なぜ公共の場で、それも正しい諫言した兵士の方に暴行を加える必要があったのですか?」
雛里が愛紗に問うも、愛紗は暴行を振った原因が、まさか桃香への不満と雛里への嫉妬心があるとは言えずに
「ついその時の兵の言葉使いについて、腹が立ち、つい…」
と説明すると、雛里は溜め息をついて、
「そのような理由で兵士を暴行したのであれば明らかに重罪です。本来なら死刑に処したいところですが、愛紗さんの今までの功績もあり、罪を減刑して丈叩き30本の刑にしたいのですが、どうでしょうか桃香様?」
雛里がそう告げると、鈴々が泣きそうな顔で
「ちょっと待つのだ雛里。確かに愛紗はやり過ぎだったけど、ついやってしまったから許して欲しいのだ」
厳しい処分について反対の意向を示すと凪たち三羽烏も
「さすがにそれは行き過ぎだぞ雛里、確かに愛紗のやったことは決して許されることではないが、桃香様が信用している愛紗にそのような重罰をいきなり与えると兵も委縮してしまう恐れがある」
「ウチも同じ意見やな。その兵士には一応治療費とか支払っているし、後の手当てもちゃんとしとるさかい、そこまでの重罰はどないかなと思うわ」
「そうなのー、あまり厳しい処分だと、他の兵たちも桃香様と愛紗の間に何かあったと思ってしまうのー」
雛里以外は厳しい処分には反対の姿勢を取った、因みに愛香もこの場にいたものの、今回の一件は、自分が採用される時が原因であり、更に愛紗からもこの件については自分が一切の責を負うので、例えどんなことがあろうとも静観するように言い含められていたので、愛香は一切発言をせず無言を貫いた。
雛里は鈴々たちの意見を聞いて、処分の方向転換を考えたが、さすがに皆の手前、処分を簡単に変更するのはどうかと考えていたところ、そんな中桃香が愛紗にやさしくこう言った
「愛紗ちゃん、こんなに皆が愛紗ちゃんの事を心配しているんだよ。勿論私も心配している。でもね私は君主として愛紗ちゃんに罰として与えないといけないの」
そして桃香は静かに
「愛紗ちゃん、貴女に当分の間、自宅謹慎を命じます」
愛紗に刑を言い渡すと、雛里は無言で頷いて了解し、そして他の者は桃香の処置に対して安堵の表情を浮かべた。そして愛紗は桃香の処置に感謝しながら皆に対して、静かに頭を下げ、そして目に涙を溜めていることを誰にも気付かれないように
「桃香様、寛大な処置に感謝します」
そう言い残し、愛紗は静かに部屋を立ち去った。
こうして今回の事件は愛紗の自宅謹慎という処分で決着がついたのである。
~エン州~
一方現在、エン州・青州、そして予州の一部を手にした華琳であるが、今後の方針について衆議が開かれていた。
出席者は華琳を筆頭に春蘭・秋蘭、そして桂花・稟・風の6名が集められていた。
そして会議冒頭、桂花が、袁紹軍が公孫賛軍に敗退したことについて報告をしていた
「麗羽が公孫賛に敗れるとは、私にとっては好都合だわ。このまま公孫賛には麗羽を釘付けにして頑張って欲しいけど、桂花、貴女の見立てはどうかしら?」
「はい華琳様、さすがに国力の差がありすぎて正直、どこまで持つのかという状態ですが、しかし公孫賛が早期に敗退するのは考えにくいと思われます」
「あら、どうしてかしら」
「公孫賛は早期から袁紹を警戒していたので、居城の易京城を堅城にしております。更に袁紹軍に敗れ、幽州に逃げ込んだ黒山賊の張燕とも手を結び、その張燕が袁紹軍の後背を突くなどして、袁紹軍がその討伐に手を焼いているため、この2つを打ち破るには少々骨が折れると思います」
「そうね、あの麗羽では難しいかもしれないわね。今、黒山賊の話が出たけど、これを打ち破ったあの司馬懿が北郷軍と戦をしたけど、稟、その戦はどうだったの?」
華琳は自分の誘いを断った司馬懿と一刀の戦いが気になったのか、稟に確認すると
「はい華琳様、その戦いですが、途中まで両軍互角に戦っていましたが、我々と戦った後、援軍に赴いた北郷紫苑殿の参戦があり、司馬懿殿は素早く兵を引き、そのまま并州に退却しました」
「そう…、お互い兵の消耗を避けたということね。仕方ないわ」
「それと劉備軍についてですが、現在我々と敵対する意思は見られませんが、ただ我々の国境付近の城については、城の補強修復作業が進められており、更に兵も少しずつでありますが、増強させている模様です」
桂花の報告を聞くと春蘭が
「何、我々に備えて兵を集めているだと!そんな物、私が出陣して突破してくれるわ!」
「姉者…まだ出陣すると決まった訳ではないんだ。まずは華琳様の話を聞こうではないか」
秋蘭が春蘭を宥めていると華琳が
「そうね、まだ麗羽と戦うには力が足りない。次は劉備か孫策のところになるけど、孫策のところとは戦うには、我々の水軍が貧弱すぎて話にならないわ、向こうも私たちを攻める程の余裕はないから、今は警戒するだけで十分よ。そこで次は劉備のところを攻略したいけど、態々警戒されている中で、攻め入って兵を消耗させたくないわ。何かいい方法あるかしら?」
3人の軍師に目を向けたが、そんな中風が
「ぐー」
「風起きなさい!」
稟が寝た振りをしている風を叩き起こすと
「お~、唐突な質問に眠気が~」
「ふふ、貴女がそう言うのだったら、何かあるじゃないの?」
華琳は風のいつも通りの応対に満足したのか、意見を言うように促すと
「はい~、風が掴んだ話に寄りますと、劉備さんところの関羽さんが理由は分かりませんが、自宅謹慎させられているそうなのですよ。それにここ最近劉備さんと関羽さんの仲がしっくりしていないという噂なのですよ」
風が説明すると秋蘭が
「ちょっと待て風、劉備と関羽と言えば、義姉妹を契った間と言われているが、その噂は本当か?」
「今のところのその噂は定かではありませんが、ただ自宅謹慎という話は事実みたいですよ」
「ですので、兵を動かす前に1度仕掛けてみたいのですが、よろしいでしょうか華琳様」
「そうね風、関羽を私のところに引き抜きできるかしら?」
「それは難しい問題ですね、引き抜きは確約できませんが、何らかの効果を上げるようにします」
「そう、何か必要なら準備させるけど?」
「ではお言葉に甘えまして、華琳様の直筆の手紙を何通かとお金とそれと……を用意していただけたら~」
風の用意を要望したものに少々変わった物も要求されたが、特段用意自体に困難な物は含まれていなかったので、
「分かったわよ、用意するわ」
「華琳様、差し出がましいことかもしれませんが、関羽は我が軍必要な人物でしょうか?」
春蘭がやや拗ねたよう口調で華琳に質問すると
「ふふ、拗ねているの春蘭」
「いいえ拗ねてなど…」
(「拗ねている姉者の顔は可愛いな…」)
秋蘭は春蘭の拗ねている顔を見て堪能していたが、それを億尾にも出さず、そして華琳が
「まあいいわ春蘭、関羽のことだけど必要な人物よ。優秀な武将は幾らでも欲しいわ。正直、あの天の御遣いと言われている北郷一刀たちも欲しいと思っているわよ。でもまずは目の前いる敵、これを倒していきましょう」
華琳がそう締めくくり衆議が終了した、こうして曹操軍の次の目標が劉備軍と決まったのであった…。
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