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真・恋姫無双 〜新外史伝〜  作者: 殴って退場
第5章 五路侵攻
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第43話

いろいろバタバタして、更新遅くなりました。


恐らく、今年最後の投稿になるかも・・

曹操軍が紫苑の夜襲を受けてから数日後、秋蘭たちの元に密偵が帰ってきた。


「申し上げます。北郷軍対劉表軍との戦いは、北郷軍が勝利。敵将張充が呂布に一刀両断にされ戦死、そして同じく文ぺいは張遼との戦いの途中に負傷、1万以上の死傷者を出し敗走。更に西涼を攻撃していた羌の軍勢も援軍に駈け付けた馬騰軍とそれに応呼した城兵との挟撃に合い、これも敗走しました」


「やはり劉表軍は敗れましたか…」


「仕方がない、稟。予定通り、私たちも撤退準備に掛かるか…」


秋蘭が稟に撤退することを指示したところ、先の密偵がまだいたので、それに気付いた稟が


「どうしたのですか、まだ何か報告があるのですか?」


「はい、まだ報告が残っておりまして…」


「何だまだあるかの言ってみろ?」


秋蘭がまだその場に残っている密偵に報告するに求めたところ、


「実は…」








~劉璋軍~


一方、劉璋軍は散関での部隊編成を終え、陳倉に向け行軍していたが、姜維こと菫が仕掛けた溝に苦しめられ、輸送が遅れると共に行軍が遅れていた。


そんな中、焔耶が


「モタモタするな!行軍が遅れているぞ」


兵たちに叱咤するものの、疲労など士気が上がらず悪戦苦闘していた。


そんな中、桔梗が


「焔耶焦っても仕方ないだろう?ここで疲れさせていざ戦いの時に兵が使えんのでは話にならん。もう少し気楽にいけ」


「はあ…」


流石の焔耶も桔梗からそう言われると帰す言葉が無かった。


「失礼します!厳顔様、魏延様、張任様がすぐに本陣に戻るようにお呼びです」


伝令兵から言われると、取り敢えず2人はすぐに本陣に戻ると、涼月と夕霧がいたが、2人の顔色が苦々しい表情を浮かべていた。


そして涼月から


「今、漢中から伝令が来てな…。その報告だが…」












「「現在北郷軍が漢中に向けて進軍しています(いるわ)」」













~張遼軍~


これは時間が少し逆戻り、紫苑と璃々が戦闘に入る直前のこと、武関に向け行軍中、既に半分の行程を過ぎていたので、霞が


「なあ星、そろそろ真里から言われていた袋の中、見んとあかんのとちがうか?」


「ああそうだな、さて何が出てくるか…」


2人の話を横で聞いていた恋と音々音が


「……?」


「何ですかそれは?そんな話、ねねは聞いてないですぞ」


「ああ真里が音々音には、腹芸が無理だから黙っていたそうだ」


「う~失礼な奴なのです。ねねはそんな単純な人間ではないです!」


「…取り敢えず見る」


「そうやな早く見ようや」


音々音の抗議も皆に無視され、星が真里から渡されていた布袋を開けてみると、一枚の紙があり、その紙の中身を見ると、そこに書かれていた内容は


星は霞たちから離れ、1万の兵を引き連れ、直ちに西城(漢中の東側にある町)を攻略。そして西城奪取した後、長安からも治安維持だけの兵を残し出兵、そして合流して漢中攻略することが書かれていた。


これは朱里の言っていた賭けの策で、西城を奪取し、その勢いで一気に漢中を制圧。益州攻略の足掛かり掴める可能性はあるが、ただ漢中攻略に手間取ると、攻略の知らせを受けた陳倉攻略部隊が反転し挟撃に合う可能性があるため、璃々に変わって、星が危険に合う可能性が出てくるのである。


これを見た星は不敵な笑みを浮かべ


「フフ…、これはやりがいのある任務だな」


「しかし、1万の兵に長安の兵を入れても漢中攻略って難しいで」


「ただ西城については、兵も少なく、こちらから攻めることは考えていないので、そちらは成功する可能性は高いと思うですぞ」


「う~ん」


これを見た霞が少し考え込み、そして音々音に


「ねね、もう1万の兵を星に預けていいか?」


霞は西城と漢中の攻略が流石に1万では厳しいと思い音々音に図ると


「恋殿がいたら劉表軍は目ではないですが、ただ連戦で曹操軍とも戦うとなるといくら恋殿でもきついのです。それに曹操軍は4万の兵がいるので、紫苑を助けるのにこちらもある程度の兵も必要ですから、5千くらいしか回せませぬぞ」


「後々の事を考えると仕方ないな。星、悪いけどこっちからあと5千しか出せんけど、これも連れて行き」


霞が更に5千を援軍として加え、1万5千の兵を連れて行くよう、星に言うと


「いいのか、霞、そっちが厳しいのではないか?」


「何、言うとんねん星、ウチらを誰やと思ってる。『神速の張遼』と『飛将軍呂布』やで、これくらいの兵力差やったら、負ける気サラサラないで」


霞が星に自信満々に答えると、星も


「フッ、これは失礼したな。これでは皆の期待に応えないとな、この趙子龍の名が泣くものと言うものよ」


「ああ頼むで、星」


「こらーねねも居ることを忘れるなです!」


「…ちんきゅー頑張る」


こうして星は霞から更に5千の兵が追加され、1万5千の兵を引きつれて、部隊から離脱、そして警戒が手薄だった西城をほぼ奇襲の形で攻め込み奪取に成功。


そして真里は、西城の報を受けると長安で訓練を終えたばかりの新兵5千と更に5千の守備兵から2千を抜き、7千の兵を斜谷関に進出、そこから星の軍勢に加わり、漢中を伺う動きを見せたのであった。


これを聞いて慌てたのが劉璋軍で、漢中を奪取されてしまうと益州の帰還が困難になることは一目瞭然であった。


そんな中、桔梗が


「まず涼月と夕霧が先に撤退して何とか漢中を押さえてくれ、ワシと焔耶が散関で、敵の追撃を防ぐ。それで敵に一当てして被害を与えてから、儂らも撤退する」


「桔梗、その役目は私がするわ。貴女と焔耶は先に撤退して頂戴」


「この馬鹿者!総大将自ら殿なんぞ聞いたことないわ!お主は、儂らを逃がしてから死ぬ覚悟かもしれんが、儂らも武人としての意地があるし、総大将として一緒にいる兵たちのことも少しは考えろ!」


涼月は自ら殿を受け持つことを主張したが、桔梗は涼月のこの主張に激怒した。


「涼月、それはあなたが間違っているわ。貴女、今は総大将なのよ。まずは自分のことを考えずに周りのことをよく考えなさい」


夕霧からも自分の考えが間違った考えだと諭されると涼月も


「…ごめんなさい、桔梗に夕霧。私、間違っていたわ。そうね、今、自分のことしか考えていなかったわ」


「それでさっき桔梗が言っていた撤退の案だけど…、正直今の漢中にいる守備隊の兵力では長くは持たない、恐らく漢中に帰るまでに落とされている可能性が高いわ」


「だがどうするのじゃ、漢中を完全に押さえられてしまうと儂等は帰れなくなるぞ」


「それだけど、取り敢えず涼月と私で半分の兵を連れて、急いで漢中に戻る。しかし漢中が落とされていた場合、私たちは最低限、陽平関を確保できれば、何とか益州への撤退はできるわ」


「恐らく敵は漢中を落とせば、さすがに向こうの兵力では恐らく陽平関まで兵を出す余裕はないわ。だから桔梗たちが陽平関まで帰還すれば、私たちは陽平関を放棄し撤退する」


夕霧が撤退案を提案したが、焔耶はこれに納得できず


「夕霧様このまま撤退すれば、我々の名折れです。このまま陽平関を保持し、私たちが引き上げて来たら漢中奪還に反転攻勢掛けましょう!」


漢中奪還論をぶち上げたが、これには涼月が制し


「焔耶あなたの気持ちは分かるけど、仮に漢中奪還する場合、その時は恐らく兵の士気も下がっているし、それに陳倉にいる北郷軍も追撃を仕掛けてくる。それこそ敗れた場合、益州への退路を断たれてしまうわ」


「そうじゃ焔耶、今回は儂らの個人の武で負けた訳ではない、作戦負けじゃ。今度向こうから攻めて来たら、今度はこの借りを返すまでよ。ハハハハーーー」


桔梗は今回の戦いは敗退したが、巴郡に引き上げれば勝手知る地の利を生かし、十分北郷軍と戦えると感じていた。


そして涼月と夕霧が先行、桔梗と焔耶が殿を務め、劉璋軍は漢中へ引き上げを開始したが、途中で漢

中陥落の知らせを聞くと、2人は予定通りに陽平関に陣を構え、桔梗たちの撤退を待った。


一方、陳倉で劉璋軍を待ち構えていた璃々たちは、一向に敵が来ないことに不審に感じ、各方面に偵察隊を出し情報の収集に躍起になっていた。


「う~~菫、まだ劉璋軍の情報分からない?」


「璃々お姉様申し訳ありません、もうすぐ偵察隊が帰ってきますので、もう少し待って下さい」


敵の出方が分からないため、少しイライラしている璃々に菫が宥めていると


「申し上げます璃々様!徐庶様から手紙がまいりました」


1人の兵が璃々の前に手紙を差し出し、それを読むと、その内容には漢中を陥落させたことの報告と陥落させた経緯、そして作戦が賭けであったため、失敗に終わった場合の事を考え紫苑と璃々に内密にしていたことが書かれていた。


それを見た璃々は、安堵した顔をして、無言で菫にその手紙を渡し、菫が璃々の顔を見ると、2人の表情には自然と笑みが浮かんでいた。


そしてそのころに偵察隊が帰還し、劉璋軍が撤退し始めた報を聞くと璃々が追撃するか否か問うたが、菫は


「璃々お姉様、無理な追撃は止めた方がいいっす。それに私たちが仕掛けた道の溝とかもあるので、追撃は道普請しながらゆっくり進んだ方がいいっすね」


菫が道普請しながらの追撃を提案したので、璃々もそれを承諾した。


結局、桔梗たちは散関で璃々たちを待ち受けたが、璃々たちが追撃して来ないことに桔梗たちはこの機を逃すことなく素早く兵を纏め、陽平関に後退したのであった。


北郷軍が漢中攻略の報を聞いた秋蘭と稟は、素早く撤退準備を完了させ、紫苑の追撃に備えながら、撤退を開始していた。


そんな中、稟はやや口惜しそうに秋蘭に


「この包囲網戦は我々の敗北です。これで北郷軍は恐らく漢中を占領したら、その後益州攻略に向うでしょう」


「確かに今回、我々は兵士の実戦経験ができたことは良かったが、北郷軍の勢力拡大に一歩前進させてしまったな」


冷静に発言をしている秋蘭であるが、稟の言う通り北郷軍が勢力拡大することに対して、危険感を抱いていた。


「それは仕方がありません。今後は我々も北郷軍と対抗するためには、勢力拡大する必要がありま


す。華琳様もお考えでしょうが、まずは徐州の劉備殿を叩く必要がありますね」


「ああそうだな。徐州攻略の件は陳留に帰還すれば、私からも華琳様に進言をしてみよう」


秋蘭と稟は今後勢力を拡大する北郷軍に備えるためには、徐州攻略が必要だと感じながら、退却するのであった。


一方、紫苑の方にも真里から漢中陥落の知らせと作戦を内緒で行なった詫びが送られてきた。


これを見た紫苑は


「あらあら、いくら心配だったからって、私に作戦を内緒にするなんて真里ちゃんや朱里ちゃんにお仕置きが必要かしら♪」


作戦が内緒にされていたことに紫苑は少々拗ねていたが、すると紫苑の副官が来て


「紫苑様、敵、曹操軍が退却の動きを見せていますがどうされますか?」


「追撃は無用よ、ただ曹操軍が領外に出るまでの監視を続けてちょうだい。領外を出たら、私と弓騎隊を連れてご主人様の援護に向います」


紫苑は、袁紹軍と対峙している一刀を助けに行くべく兵を纏め援軍に行くことを決めていた。


こうして紫苑と璃々は、何とか無事使命を果たし、北郷軍は窮地を脱したのであった。







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