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真・恋姫無双 〜新外史伝〜  作者: 殴って退場
第5章 五路侵攻
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第41話

一応、今回から「TINAMI]と同時投稿になります(ただし今まで基本0時の予約投稿してましたので、それについてはそのまま継続するつもりです。そのため若干こちらの投稿が遅いです)

劉璋軍は陳倉に向け進軍していたが、途中、姜維こと菫による足止め策がまんまと的中して、予定していた日程より遅れている状態であった。


「あー!くそ!卑怯なやつらだ、私と1対1で勝負できるやつはいないのか!」


焔耶が八つ当たり気味に吠えていると、


「ゴン!」


夕霧が背後から焔耶の頭を殴り付け、


「う…痛いではないですか、夕霧様」


「馬鹿かお前は、敵がそんな簡単に出てくるわけないだろう!」


「しかし焔耶の言うとおり嫌らしい戦いだな、ワシはこんな戦い方は好かんがな」


「まあ仕方がないわよ桔梗、敵は私たちの3分の1以下くらいしか兵はいないし、しばらく援軍が来る予定はない。出来るだけ足止めして時間を稼いで、劉表軍を撃破した軍の援軍を待つ。向こうはこれしか今のところ手がないだろうね」


「ああそうじゃろな、さて…散関では、どんな出迎えが待っているかの…」


~散関~


「璃々お姉様!そろそろ敵が来ます!」


「報告ありがとう菫、貴女の言うとおり、向こうは予定の行軍よりも遅れているわ。取り敢えずここから本番だね、これからどうする?」


璃々が菫に聞くと、菫は待っていましたとばかりに


「まずは…」


説明に入り、璃々もこれに同意して実行に移された。

そしてようやく散関に到着した劉璋軍であったが、城壁には旗印等はなく、門は解放状態であった。


これを見た涼月たちは


「ねえ、あなたたちはあれをどう見る?」


「普通は罠だと思うのだがな…」


「確かに罠の可能性高いわね…」


「例え罠であっても私が行けば、あんな関の一つや二つすぐに落としてきます!」


(((ハァ~)))


3人は焔耶の発言に内心頭を抱えていたが、


「ここで眺めていても仕方がないわ。取り敢えず焔耶、あなたに5千の兵を与えるから好きにしてきなさい」


涼月は焔耶に関への先鋒を命じると焔耶は喜び勇んで出陣をした。


これを見た桔梗と夕霧が


「大丈夫かのう、あやつは…」


「馬鹿だからね…心配だわ」


2人が呟いていると涼月が


「桔梗、貴女は焔耶の後詰めの準備をしておいてくれるかしら。焔耶と一緒に攻撃するのもよし、引くのもよし、それは貴女の状況判断に任せる。それと夕霧、貴女は周りに伏兵がいないかどうか確認しておいて奇襲の可能性もあるわ」


二人は了解してこの場を立ち去ったが、涼月は二人が去ってから独り言のように


「フッ…、焔耶みたいな若い者が私より早く死ぬ必要はないんだよ、早く死ぬのは私一人で十分だからね…」


一方、関に攻めに来た焔耶は流石に罠の可能性もあると考えられ慎重に突撃しようとせず、門の前で考えていると、城壁から璃々が立ち


「あんたたちわざわざこれだけの兵を連れて、関の見物に来たの!?暇だね~見ての通り、誰もいないよ。早く取りに来たらいいのに」


璃々が挑発するが、焔耶も流石に挑発に乗らず


「そんな簡単に騙されるか!貴様はそうやって私たちを罠に引っ掛けようとしているのだろう」


「ふ~ん、あなた強いと聞いていたけど、所詮井の中の蛙なのね。精々弱い相手に吠えているといいわ。じゃ、私は弱い人には興味ないから陳倉に帰るよ」


璃々が城壁から姿を消すと焔耶はさっきの慎重な態度を殴り捨て


「ゆ…許さん!今からあいつの首を取ってくれるわ!全軍突撃!」


璃々の簡単な挑発に乗ってしまい、怒りに任せて突撃を開始した。


それを後方から見ていた桔梗が、


「焔耶め!まんまと敵の挑発に乗る奴がいるか!すぐに我らも前に出るぞ!」


桔梗が慌てて前に出る準備をしたが、すでに焔耶の部隊は門に突入しようとしたものの、わすが手前で門が閉められると、勢い余った兵士たちはそのまま仕掛けられた落とし穴に気付かずに落ち込むと、更にそして今まで潜んでいた兵たちが急に現われ、そして菫が


「一斉に放て!」


城壁の弓隊が一斉に弓を放つと劉璋軍は大混乱に陥ってしまった。


これは菫が、


「不意な攻撃に対してはどんな百戦錬磨の人物でも先手を打たれてしまえば、後手に回るもの、だから先手を打たれないよう、見え見えの罠を仕掛けて、逆に相手を警戒させ、待ちの姿勢を取らせる」


うまく心理をついた菫の見事な策でこの戦い、先手を取ること出来た。


「く…くそ!私を騙しやがって!」


門の外で焔耶が捨て台詞を吐いていると城壁から璃々が


「ごめんね~、騙して、でもあんな策に引っ掛かるとは思わなかったの~」


茶目っ気を出した璃々の声に益々、焔耶の怒りが高まって行ったが、後方から来た桔梗が援護に駆け付け、


「馬鹿者!焔耶お前は何をしておる、あんな敵の見え見えの策に乗りおって、ここは儂が引き受ける。お主は兵をまとめて後方に下がれ!」


「しかし桔梗様…」


「いいから下がれ!」


焔耶が尚も食い下がろうとしたが、桔梗の命令により渋々部隊を撤退させた。


「さて、ここから儂が相手だ。儂の名前は厳顔覚えおいて貰おう、お主の名は?」


「城壁から失礼します。私の名前は北郷璃々、この軍の大将よ」


「ほう…お主が…」


桔梗は璃々の顔をじっくり見ると


(「ふむ…、よく見ると紫苑のところの璃々を成長させたら、あのような感じになるのかの…、しかし偶然とは言え、同じ名とは…」)


桔梗が璃々の姿を見て、考え込んでいると、璃々が


「隙あり!」


上から弓矢を打ち込むも


「甘いわ!」


桔梗は手にしていた轟天砲で、これを難なく横殴りで弾き飛ばし


「小娘、まだまだ!今度はこっちの番じゃ!」


「轟天砲出力全開!」


「ドン!」


桔梗が璃々に向けて轟天砲を発射したが、これを璃々は躱したものの、内心轟天砲を見て


(「何でこの世界にあんな現代兵器のパイルバンパーみたいのがあるのよ、反則じゃない~」)


ぼやいていたが、流石に愚痴を言っても展開が変わらないので、気を取り直して


「こっちも負けてられないわね!」


「ハィ、ハィ、ハィ!」


璃々は威力で負けるので、連射などして手数で対抗を切り替えると、


「ほう、お主も弓使いか。これは面白い。こっちも行かせて貰おうか!」


桔梗は璃々の連続攻撃を躱すとこちらも負けずに


「ドン!ドン!ドン!」


連射するも流石に距離があるため、璃々に躱され、お互い手を換えたりして一進一退の攻防を繰り広げていたが、桔梗の方が


「チィ、あと一発しかないか…、焔耶の部隊も撤退したし、最後に…」


「こむ…否、北郷璃々よ!今日はこれで引き上げる!これは儂からの土産だ、食らえ!」


「ドン!」


最後の一発を鉄製の門扉に叩き込むと流石に破壊はされなかったものの、音がかなり響きわたったので、璃々もこれには驚き


「菫!今すぐ門に行って、木や土嚢で門を補強して!」


璃々が菫に指示している間に桔梗は既に引き上げいた。


そして劉璋軍が門周辺から撤退したことから、本日の戦いがこれで終了した。


そして門の補強を終えて、璃々のところに戻ってきた菫が


「凄い威力でしたね、璃々お姉様、門は取り敢えず大丈夫ですけど、あんなの何発も受けたら、門が持たないっすよ」


「そうだね、…まだあんな強い人がいるのだから大変だよ~」


璃々がぼやいていたが、一方劉璋軍では、攻撃に失敗した焔耶が桔梗と夕霧の説教とお仕置きのフルコースをした後、2人で話をしていると


「桔梗、今日の戦どうだったの?」


「そうじゃな、相手にしても面白いが、妙な親近感が湧いてきたという感じかの」


桔梗は夕霧に璃々と会った時の状況について話をすると夕霧は


「それは流石に偶然じゃないの?」


「そうかの…、儂には単なる偶然には感じないがな…」


「まあいいわ、また機会があれば一度お主も向こうの顔を見たら分かるだろう、焔耶の奴は北郷璃々に完全に馬鹿にされて頭に来ておるから、儂がこのことを言っても信用できんだろう。明日からこの戦、面白くなってきたわ!」


そう言いながら桔梗は嬉しそうな顔をしていた。


~函谷関~


「璃々やご主人様大丈夫かしら…」


紫苑が璃々たちの心配しているころ、1人の兵がやって来て


「紫苑様!まもなく曹操軍がやって来ます」


「そう分かったわ、全員に戦闘準備させてちょうだい」


百戦錬磨の紫苑らしく、報告を聞くとすぐに気を入れ直し、落ち着き払った声で兵たちに指示を出した後、再び1人になると


「…ご主人様や私たちに刃を向けるものは、例え相手が誰であろうとも、私はご主人様のために戦うわ!」

紫苑は静かに闘志を燃やし、そして「颶鵬」を高々と掲げ曹操軍の襲来を待つのであった。

そして曹操軍が攻撃を仕掛けてきたので、紫苑は兵たちに弓での迎撃を命じたのであるが、

兵から


「し…紫苑様、敵は盾部隊を先頭にしているため、なかなか我々の弓矢が敵に届きません!」


兵の悲痛な叫び声を聞いた紫苑は、城壁から曹操軍を凝視すると、盾部隊を全面に押し出し、更に後続の兵たちにも携行用の木盾を持たせて、じりじり進軍してくるのであった。


これを見た紫苑は兵に


「現在、中央部分に集まっている弓兵は弓騎兵の者を除き、左右に分散させ、斜めから敵部隊を射るようにしなさい!」


紫苑は、敵の盾部隊が正面の弓矢に対応していることから、これに対抗するため、以前(紫苑が現代に来た時)に読んだことのある戦国時代のことを掲載している某漫画の鉄砲の交差銃撃の陣形「殺し間」(十字砲火)を弓矢で応用しようと考えたのである。


そして関の左右からはげしく弓矢の攻撃を仕掛けると敵の盾部隊と後続部隊はその応対に追われ、連携がちぐはぐになってきたところを正面から紫苑や弓騎隊の弓自慢がその隙間から確実に敵兵を仕留めていくので、部隊の足が止まってしまい戦線が膠着状態に陥ったのである。


それを見ていた秋蘭と稟は


「やはり一筋縄でいかぬな…」


「盾を持たせて万全な態勢で行かせたつもりですが、やはり戦は思う通りにはいきませんね」


「しかし、あの方本当に凄いお人ですね。あんな隙間から正確に弓矢を射ることができるなんて…」


稟が紫苑を見て驚いていると


「稟、以前黄巾党の乱の時に私と北郷紫苑と軽く立ち会ったことがあるのだが、正直あの方の腕は少なくとも剣の方は私より上で、下手をすれば姉者でも負けるかもしれん。それに姉者の目を射たのもあの方だ」


秋蘭からその話を聞いた稟が驚きのあまり


「春蘭殿と剣の腕では互角で、弓矢も扱えるなんて、あの飛将軍呂布並の実力があるのではないですか!?」


「さすがに武が呂布並とは言わないが呂布と違い、天の御遣いとしての知識もかなりの物を持っているので、文武の総合力では呂布を上回るぞ」


「恐ろしいお方ですね…、文武を兼ね揃え、そして人望も持っていると思われますし…、そう考えますとその方が仕えている君主の北郷一刀の器がどれだけ底知れなく怖いですね」


「ああ、そうだな。以前華琳様が北郷一刀を勧誘したことがあったのだが、簡単拒否されたよ、馬超と結婚しているから無理だと言われてな」


「そうですか…、ですが我々も幾ら牽制のための攻撃とは言え、そう易々と引く訳にはいきませんね」


「ああそうだな、北郷軍にはここで我々に付き合って貰うためにはいろいろ手を打たせて貰おうか…」


「そうですね、精々嫌がらせの準備でもしましょうか」


「稟、さすがに露骨過ぎるな、その表現は。あらゆる布石を惜しまぬということにしておこう」


2人はそう苦笑いしながら、更に前線に伝令を送り、様々な手を使い紫苑を悩ませるのであった。


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