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真・恋姫無双 〜新外史伝〜  作者: 殴って退場
第5章 五路侵攻
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第37話

~徐州政務室~


この部屋で現在、ある案件を巡り、愛紗と雛里が口論になっていた。


「この方針はおかしいだろう!納得できん!」


「そう言っても桃香様も許可された案件です!納得して貰わないと困ります!」


雛里が桃香の名前を出すと愛紗も明らかに不満な顔をして、怒りを押さえた声で


「クッ…分かった、その話了解はしたが、しかし私は納得していないぞ」


「すまんが気分が悪くなったので、これで失礼するぞ」


不満な顔をして雛里の返事も聞かず、愛紗は部屋を出て行ってしまった。


そして愛紗が出て行った後にちょうど愛紗と別方向から入れ違いに部屋に入って来た凪が


「また愛紗と喧嘩か?」


「はい…」


凪から言われると雛里も困惑そうな表情をし、凪も困り果てた顔をしていた。


桃香と愛紗の徐州平定戦後のやり取りの以降、2人の関係は微妙な雰囲気になり、それはあの一件で主導した雛里と愛紗の関係にも影響が出始め、それは色んなことでお互い意見が合わないことが多くなり、口論の回数も増加傾向を示していた。


そんな中、雛里は話題を変えようと凪に要件を聞くと、凪は現在の兵たちや町の様子の報告に来たことを告げると雛里が


「それで凪さん、現在兵隊さんや町の様子はどうですか?」


「兵の方は問題ないが、ただ町の方は、私たちが逆に警戒されている感じだな…」


「正直桃香様があのようなことをしたので、町の人の多くは今後について不安に駆られて


いる人が多くいると思うぞ、雛里」


「確かにその点について否定は出来ません、それで凪さん、今後についてご相談したいことがあるのですが、まずはこれを読んでいただきますか?」


雛里はそう言って、凪の前に木簡を差し出した。


凪はその木簡を受け取り、中を読み始めると、その中身に書かれている内容について驚いた。


「雛里…本気か!?」


凪は中身を書かれている内容について、雛里に確認の意味で問い詰めると雛里は無言で頷いた。


そこに書かれていた内容は桃香たちが近い内に兵を起こし、孫策軍と連合して袁術軍との戦における方針や今後の事が記載されていたが、凪が一番驚いた点は、今後の戦いにおける軍の責任者を凪にしていたことである。


「雛里、なぜ時期に戦を?そして何で私を責任者にした?鈴々は……流石に責任者に出来ないが、愛紗がいるだろう?」


これは至極当たり前の質問であったが、その質問について雛里は


「凪さんの言いたいことは分かります、まず一点目ですが、これは仕方がないことですが私たちの内政の不満や不安の矛先を袁術軍が戦うことにより、民の目をそちらに向けるようにします」


雛里は苦渋の表情で語り


「つまりこの状態を打破するために袁術軍を利用という訳か?」


凪がそう言うと雛里は無言で頷いた。


「それで二点目のことですが、愛紗さんは確かに我が軍で一番武勇が立ち、責任感など色んな事でも問題はありません……が、しかし愛紗さんは、今、私たちと今後の方針について、色んなことで意見が食い違っています。桃香様と愛紗さんとの関係で愛紗さんが何かするとは考えられませんが、今後の方針が食い違っている現状で愛紗さんを責任者にすることは他の方への悪影響もあります。ですので一旦責任者から外しています、今後考えを改め、桃香様の方針に従って頂けるのであれば、責任者に戻します」


雛里はそう言って凪に説明した。


凪と話をする前に雛里は桃香と愛紗が徐州平定戦後の遣り取り以降、2人の関係に影を落としていた。更に愛紗は、桃香や雛里の政策に対しても反抗的な態度を取り始め、そこで雛里は周りへの影響を考え、先の理由から、一時的に軍の責任者から外す方針を固めていた。


そしてその方針について雛里が桃香に報告に上がると、桃香から


「雛里ちゃん、愛紗ちゃんがこの理由で軍の責任者から外れることに納得すると思う…?」


「……多分、不服は唱えるとは思います」


雛里は言葉を切り、真剣な顔つきで


「桃香様、一つお願いがあります、桃香様の剣と印を私に預けていただけますでしょうか?」


「万が一、愛紗さんが私の指示に従わない場合、私が桃香様から剣と印を預かっていることを示せば、愛紗さんも流石に了解はしてくれると思います」


雛里が桃香から剣と印を求めたのは、桃香から生殺与奪の権を与えられたということを示


すと同時に、桃香が今後雛里を重要視することを意味した、そして愛紗には桃香と雛里に何が何でも従って貰うメッセージを示すものであった、そんな雛里の問いに桃香の答えは


「うん…仕方ないね、今の私には愛紗ちゃんも必要だけど雛里ちゃんも必要だもん、きっと愛紗ちゃんもお互い話をしたら分かってくれるよ、分かってくれたら、その時は雛里ちゃん、愛紗ちゃんを軍の責任者に戻してあげてね」


桃香から言われると雛里も愛紗が責任のある役目から一時的に外して冷却期間を置けば、再び元の鞘に納まると踏んでいた。


雛里は、そして自分と桃香とのやり取りの経緯や今後への愛紗の扱いなどについて凪に説明をすると、凪は了解はしたものの、一言雛里に聞こえぬように


「上手くそれで治まれば良いが……」


無意識のうちに呟いていた。


~愛紗視点~


「なぜ桃香様はあのような行為を……いくら北郷様や曹操に桃香様の理想を認められなかったと言って、理想を変えるなんて……」


愛紗は、未だに桃香たちの行為に対して納得することが出来ず、そしてここ最近では桃香や雛里が行う政策に対しても自分の納得出来ない感情論が入り込んでしまい、次第に2人に対して反抗的姿勢を表していた。


そんな愛紗は自分でもやるせない気持ちは分かっているが、今の桃香を翻意させる手立てがない現状ではどうすることも出来なかった。


そしてそんな思いは、


「いったい私は何に対して怒りを持っているのだろうか……」


(桃香様が理想を変えたことに対する怒り?それとも私に相談が無かったことの嫉妬?桃香様を止められなかった自分への腑甲斐なさ?)


愛紗の中に様々な考えが頭を巡り、解決する糸口が見えない状態に陥っていた。




~長安~


一方、長安にいる一刀たちは各諸侯の思惑も露知らず、いつも通り平穏な日々を送っていたそんなある日の夜、一刀が用事で蒲公英の部屋をノックして


「蒲公英入るぞ~」


ドアを開けようとすると、中から


「へ?ご・・ご主人様待って入らないで!」


蒲公英が一刀の入室を叫んで止めようとしたが、残念ながらその声は届かず、一刀が部屋に入ると、そこには何故か星と亀甲縛りをされていた蒲公英が横たわっていた……。


それを見た一刀は、あまりにもシュールな光景に固まってしまい、


「2人とも邪魔したな…じゃあ」


部屋から立ち去ろうとすると、縛られている蒲公英が


「ご主人様待って!待って!これ違うの!縄の縛り方の練習しているところなの!」


蒲公英がそう叫ぶと星が


「そうですぞ主、蒲公英が私に縄の捕縛の方法を教えて欲しいということで来て、いろいろ教えていたのですが、やはり実際に身体で覚えた方が良いということで蒲公英も了解してやっております」


「それで……なぜこの縛りしたのかな……?」


「私の趣味です(キッパリ)」


一刀の質問に星が自信満々で言い切ると一刀は頭を抱えていた。


「取りあえず、周りから見てもその姿は拙いから早く解けて」


一刀が星に蒲公英の縄を解くように言うと蒲公英が


「ちょっと待ってご主人様!もうすぐ何か掴めそうなの……」


最後の語尾が何か変だと思った一刀は、蒲公英をよく見ると息遣いが荒く、表情も何か官能的な表情を見せていたので、


「星!蒲公英の様子がおかしいぞ!」


「おや、きつく縛りましたかな、蒲公英に新しい世界に連れていったかも」


星が呑気な事を言っていると、


「さすがにこれは拙いだろ…、蒲公英切るぞ!」


「ご主人様は待って!」


蒲公英がそう言うも、さすがにあのような姿にさせておくことに色々と問題があり、さすがに身体にも無理があったので、一刀は急いで縄を切った。


縄を切られて蒲公英が不服そうな表情をしていたが、一刀が蒲公英に


「何でこんなことをしてるんだ?」


「以前戦いの時に星お姉様が、捕虜を捕縛した時に縄裁きがあまりにも上手だったから、教わろうと思ってね」


「それはいいけど…何でそこで蒲公英の身体を縛ることになるんだ?」


「蒲公英は私の身体で縛る練習していたのですが、なかなか上手くいかずに解けてしまうので、1度力加減を知るには自分の身体で味わった方が良いと思いやってみしたが、なかなか効果があったようで……」


「星お姉様、今度は違う縄裁き教えてね♪」


星と蒲公英が笑みを浮かべているとさすがの一刀もこの2人には呆れかえるしかなかった……。


一方、一刀が星たちと戯れている時に紫苑は、朱里とお茶を飲んで話をしていると


「ねえ朱里ちゃん、あなたが持っている本を貸して貰えないかしら?」


「え?いいですよ、どんな本ですか?」


「あなたが持っている秘蔵の本よ」


「秘蔵の本と言いますと…?」


朱里が首を傾げながら聞くと


「あらあら、分からないのね、朱里ちゃんが寝台の下に隠し持っている(ピー)の本よ」


紫苑から予想外の指摘を受けた朱里は


「はわわーー、な……何で紫苑さんがそんなことをし……知っているのででしゅか!」


完全噛んでいる状態の朱里に、紫苑が


「ふふふ、それは秘密よ」


「せっかくばれていないと思っていたのに……、このことはご主人様に秘密にして貰えますか……」


「勿論よ」


「でも紫苑さん、なぜ私の持っている本が必要なのですか?」


「そうね……、ご主人様を愛しているのには変わりはないけど、最近お互いにアッチの方に刺激が足りなくなっているように感じて、ちょっと朱里ちゃんの持っている本を参考にしようと思って……」


紫苑の突然のカミングアウト的な発言をすると朱里が飲んでいたお茶を噴き出してしまい、


「はわわ……突然何を言っているのですか!」


「ごめんね、皆、ご主人様を愛しているのを見て私も負けてられないと思ってね」


紫苑のため息を吐く姿は、内容は別として本気で悩んでいる見えた。


すると朱里が


「紫苑さんって色んな事を知っていますね、私なんてアッチの方なんて基本しか知らないので……」


朱里が自ら発した言葉で何か思い出したかのように


「紫苑さん、おかしな言い方かもしれませんが、こういうことも基本に返られた方がいいかもしれませんね」


「どういうことかしら?」


「武術の方でも悩んだ場合、基本に立ち返れば良いと言うお話をお聞きします、ですのでこういうことも相通じる物かもしれませんので、1度お互いに基本に立ち返り試してみたらどうですか?」


朱里からそう言われると紫苑も納得したのか


「そうね1度やってみましょうか、ありがとう朱里ちゃん、朱里ちゃんが困った時に相談に乗るわね」


紫苑は朱里にお礼を言って席を離れた。


そして翌朝、紫苑が朱里を見つけて近くによると


「ありがとう朱里ちゃん、昨日の助言で旨くいったわ」


「あ、良かったです♪」


「今度は朱里ちゃんの技能向上に私と一緒にどうかしら?」


紫苑からそう言われると、さすがの朱里も興味心に負けてしまい、いつの間にか紫苑の弟子状態になってしまっていた……。





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