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真・恋姫無双 〜新外史伝〜  作者: 殴って退場
第3章 黄巾党の乱
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第18話

そして、軍議が終わってから朱里は全員を集め、今回の作戦方針を伝えた。




まず、偽の輸送隊に忍び込む将には、こちらからは蒲公英が、そして曹操軍からは典韋こと流琉、孫策軍からは周泰こと明命、劉備軍から鈴々が参加し、各軍から兵を300ずつ出すことなった。




そして偽の敗残兵の指揮官に、華琳の強い要請で秋蘭が取り兵は約2000、そして輸送隊の指揮を紫苑が取り、敗残兵が襲ってきた時点で、一応戦うふりをして、城から兵が来た時点で逃走することが決められた。



それで夜になれば、その900の兵が、食糧庫を放火のあと、西門を開け、馬騰軍と張遼軍が突入、残りの2000が城内を攪乱、北門の曹操軍と南門の孫策軍はかがり火を多く焚いて大軍がいるように見せかけ、東門にはこちらの兵がいないようにして、逃走する敵兵を劉備軍が討つという形となっていた。






すると紫苑が朱里に




「朱里ちゃん、一つ聞きたいのだけど、曹操さんが、夏侯淵さんを指揮官に強く要請したと言ったけど、何か理由があるのかしら」




「これは私の予想ですが、曹操さんは張角らの捕縛を考えているのではないでしょうか?だから曹操さんの右腕的存在である夏侯淵さんを使い、張角らを確保するつもりではないでしょうか?」




すると翠が朱里に




「殺すのではなく、捕縛か?普通殺した方が手柄になるだろう?」




「確かに普通なら、そうですが、今回に関しては張角の正体については、未だに不明で、中には化け物みたいな話はありますが、実際そんな人はいないでしょうし、極端な話、偽物でも使えば分からないですから。でもそんなことして、後で本物が出てきたら、大きな問題を生じますから、あの曹操さんがそのようなことはしないでしょう」




「だから曹操さんは、すでに張角らの正体が分かり、今後、自分の指揮下において、何らかの形で利用することを考えたら、捕縛する理由も分かります」




星が




「それなら他の軍も気付くのではないか?」




「今のところ、他の軍の様子は分かりませんが、他に孫策さんのところが、今回の城攻めで、隠密戦が得意な周泰さんを使い、敵の食糧庫などに火付けをするので、それを一番槍の形で認めて欲しいことを言ってきましたので、曹操さんもそれを承諾しました」




それを聞いて、蒲公英が




「それじゃ、私たちは今回は曹操や孫策の援護する形なの?」




「そうですね、私たちは攻城戦には慣れていないのと、雍州平定などで戦果を上げているので、これ以上、目立つ活躍をすると、他の諸侯から妬まれる恐れもありますから、今回は敢えて控えました」




と朱里が答えると、更に璃々が




「それだったら、桃香お姉さんのところも活躍の場は少なそうだけど?」




「向こうは、色々な義勇軍や公孫讃さんの援軍がいるから、雛里ちゃんは、桃香さんの考えも入れて、被害や混乱を避け、無理をしないように考えたと思います」




朱里が説明すると、皆は納得したようであった。




そして一刀は、朱里に華琳のところに物見を増やし、動向を監視するように命じた。




そして一刀は最後に皆に




「これで黄巾党との戦いも最後だ、色々とあったが、これに勝って、、無事に涼州に帰るぞ」




「「「「「「御意!」」」」」」




と軍議を終えた。




そして3日後、囮の輸送隊を率いる紫苑に一刀が




「紫苑、気を付けてな」




「大丈夫ですよ、ご主人様、璃々に翠ちゃん、星ちゃん、朱里ちゃん、作戦の方、よろしく頼むわね」




と言って出陣した。




そして一刀らは、一応輸送隊を救援する部隊を出すため、出陣準備に掛かった。




そして紫苑が出陣してから、しばらくして秋蘭が率いる偽敗残兵部隊がやって来て、偽輸送隊に襲い掛かってきた。




そして紫苑は秋蘭に対し




「さて夏侯淵さん、一度お手合せ願えますでしょうか?」




「ああ、あなたの名は…」




「私の名前は、北郷紫苑と言います、以後よろしくお願いしますわ」




紫苑が自己紹介すると秋蘭は少し驚き




「あなたが天の御遣いの第一夫人ですか、しかしあなたの強さは本物みたいだ、遠慮なくいかせていただく」




と言って、現在、黄巾党のスタイルをしているので、念のため、普段の使用している餓狼爪を持参せず、今、所持している槍を突いていった。




同じく紫苑も颶鵬を所持せずに、同じく槍で応戦した。




2人とも弓矢にかけては、超一流であるが、使い慣れていない槍や刀を使わせても、さすがに一流の武将である。




特に紫苑は、一刀の世界に行ってから、修行したおかげで、接近戦の能力も上がり、今では接近戦でも翠や星と互角の力を持つようになっていた。




そして時間が経つにつれ、紫苑の方が押し気味に戦っていたが、城から応援の兵が見えてきたので、紫苑は、秋蘭に




「そろそろ、敵が来ましたので、これで兵を引かせて貰いますわ、あとよろしくお願いね」




何か買い物に行くみたいな気軽さで紫苑は兵を引いたのだが、実際に戦った秋蘭は




「向こうは、まだまだ余裕がありそうだったな…、ひょっとしたら姉者や私より上かもしれんぞ…」




まだ力を隠していそうな紫苑の力量に驚く秋蘭であった。




そして秋蘭らは、うまく敵軍と合流、城内に潜入、紫苑も援軍に来た、一刀たちと合流して、陣に戻った。




そして夜、夜陰に乗じて、討伐軍は城を包囲したが、敵は未だに気付かず、そして城からの蜂起を待つのであった。




そして、一刀たちが城近くで、潜入部隊の蜂起を待っていると、翠が落ち着きなく、そわそわしていたので、一刀が翠が蒲公英のことを心配していると思い、




「翠、蒲公英の心配は分かるが、お前が落ち着きが無かったら、兵にも影響するから落ち着け」




と言って、一刀が翠の頭を撫でると、翠は顔を赤らめて




「ご主人様、分かったから、逆にこんな姿を見られたら恥ずかしいから止めてくれよ」




先程比べ、多少落ち着いたので、一刀は撫でるのを止めて、紫苑に




「まだ動きはないか?」




「残念ながら…、そろそろ動きはあるとは思うのですが…」




と言っていると、璃々が




「ご主人様、お母さん、あれを」




と城の方を指差すと、城内から黒煙が上がっていた。




それを見て、一刀は全員に突撃準備をさせ、門を開くのを待ち構えていた。




門が開放されると一刀は、全軍に突撃命令を下し、そして後方に朱里を残していった。




城内に突入すると、門近くに蒲公英や鈴々が居り、一刀が




「大丈夫か?」




「これくらい、平気だよ」




「相手が弱いから、大丈夫なのだ」




と再び掃討戦に移り、一刀たちも掃討戦に移った、敵は、敵兵がいないと思われている桃香がいる東門に逃走を計ったが、雛里の策で、すでに隠れて待ち構えいた愛紗や凪たちの手で敵兵を次々と討ち取ったり、捕虜として行った。




そして曹操軍が本殿に突入して、張角らを討ち取った話が伝わってきた。




すると、紫苑と星が陣に戻ってきたが、紫苑が真剣な顔つきで一刀に




「星ちゃんが、凄い情報を持って帰って来ましたわ」




と言うと、一刀は付近にいた兵に人払いを命じ、そして後方に待機している朱里と翠を陣に来るように伝えた。




しばらくすると、2人が陣に来て、星が皆に




「やはり、主が言っていましたように、曹操と夏侯淵が張角らを捕らえ、そして先に殺害した張角らの衛兵を張角の首として替え玉にし、それで討ち取った形にしていました、そして張角らを侍女として保護、周りを厳重警戒にして自分の陣に連れて行きましたぞ」




それを聞いた一刀は






「星、よく分かったな…」




「何、先の軍議で曹操にそのような動きがあるかもしれないと聞いていましたから、あわよくば、先に本殿に侵入して張角を捕らえようとしましたが、残念ながら、先に夏侯淵に張角を捕らえてしまったので、気配を消して、見ていたのですよ」




すると紫苑が




「まあ、よく気付かれなかったわね」




「ああ、本殿の窓の外から見ていましたので、さすがに気付かれずに済みましたよ」




一刀は星の身軽さに感心していたが、翠が




「しかし、曹操が張角を捕らえて、何の目的で保護するのかは分からないけどよ、このまま黙っておくのも何か気分悪いな」




「しかし、翠ちゃん、せっかく乱が治まるかもしれないのに、事を荒立てるのもどうかしら?」




「ふむ、主に朱里よ、良い案はござらぬか」




一刀が翠、紫苑、星の意見を聞いて




「確かに、翠の言うとおり、曹操にこのままにさせておくのも、こちらにとってはあまりいいことではないかもしれないな、かと言って紫苑の言うとおり、事を荒立てることはあまりしたくはないから、朱里、何か曹操に対して、このことで牽制できることはないか?」




一刀は朱里に意見を求めると朱里は少し考え、




「ならば、いい案があります、皆さん、側に寄って下さい」




と言って、皆が朱里の周りに集まり、聞こえように密談を行い、そして朱里の意見を聞くと




「それはいいな、これでいこう」




「朱里ちゃんも駆け引き上手わね」




「朱里もなかなかやるな」




「これで曹操がどう出るか見物だぜ」




皆、朱里の意見に賛成したので、一刀は朱里にその準備を進めるように指示した。




~華琳視点~




今回の戦功で、更に勢力を拡大させることができ、そしてほとぼりが冷めた後に張角らを利用し、人を集めることができる。




今回参戦していた孫策や劉備も今後、勢力を拡大するだろうし、そしてあの北郷もいる馬騰にも注意が必要だわ。




と華琳が考えていると、春蘭が現れ、




「華琳様、例の北郷から、戦勝祝いが贈られてきましたが」




それを聞いた華琳が些か幻滅したようで




「ふ~ん、何か大きな箱のようね、私に張角を討ち取ったから、媚びているのかしら?まあ、いいわ、どんな物が贈られてきたか、確認しましょう。もし変な物だったら笑ってやるわ、春蘭開けてみなさい」




と言って春蘭に箱を開けさすと中には、3つの長弓が入っていた。




これを見た春蘭が




「な、何だ、これは!?あいつら、華琳様を舐めているか!」




と大声で叫ぶと華琳や秋蘭、桂花が




「春蘭、どうしたの何、怒っているのよ」




「姉者どうした?」




「脳筋がそんなに大声出したら、びっくりするでしょう!?」




3人が箱に近寄り、中身を見ると




「「「!」」」




驚きの表情を見せた。




そして秋蘭が




「華琳様、これはどういう意味でしょうか?」




「分からないわ、桂花分かるかしら?」




華琳は、桂花にこの問いについて聞いてみると




「……華琳様、これは私の推測ですが、あいつらに張角らを匿っていることがばれているかもしれません」




「華琳様、長弓を漢字にしたら、どう読むことができますか?」




「…張になるわね」




「そして、それが3つ贈られたのは?」




と桂花が言うと華琳も気付き、




「張角ら3姉妹を指しているのね!」




「そうです華琳様、これはあいつらが張角を匿っているのを知っていると警告してきたのよ!」




「しかし、なぜ北郷たちは何でこんな手段を使って警告してきたのだ?もし分かっているのだったら、皆が集まる最後の軍議にでも追及はできるだろう?」




秋蘭が桂花に言うも




「私にも分からないよ!」




桂花は逆に切れてしまい、それを聞いていた春蘭と口論になりそうになったが秋蘭に止められた。




そして華琳は、少し考えた後、




「仕方がないわ、秋蘭、桂花、北郷の陣に行って、戦勝祝いのお礼の挨拶に行くから準備しなさい」




と言われると、さすがに桂花も




「クッ…申し訳ありません華琳様、今のところ、あいつらの意図が分からないですし、現時点では、向こうに主導権を取られている状態ですから、策を出すことが出来ません」




悔しそうに桂花が呟いた。




「仕方がないわ、桂花、まさか私も張角らを匿っているのがばれていると思わなかったわ、まずは向こうの出方を伺いましょう」




華琳の陣は、とても勝利者とは思えないほど暗い雰囲気になってしまった。




華琳らは、一刀の陣に訪れ、謁見することなり、一刀の要望で、2人きりに話し合いすることとしたが、これに翠が反対したが、紫苑が翠を説得して、2人きりの話し合いにこぎ付けた。




華琳が一刀に開口一番




「戦勝祝いありがとうね、礼を言うわ、でもあの祝いの品はどういう意味かしら」




華琳が一刀に尋ねるも




「それは想像にお任せするよ、曹操さん。こちらとしては、これ以上事を荒立てるつもりはないし、曹操さんも彼女たちをそのままにして、外には出さないでしょう?」




「もちろんよ、それで何か私に要求でもあるのかしら?」




「まあ、今のところは何もないね、要求するものも何もないしね」




「そうは行かないわよ、私は、どんな相手でも借りを作るのは嫌なのよ」




「分かった、でも今のところ正直、何も要求する物が何もないから、取り敢えず、今後、こちらから、要求する物ができたら、その時、この借りを返して貰うよ」




と一刀が言うと華琳も




「仕方がないわね、今回のことは礼を言うわ」




華琳は無言で頭を下げた。




そして、華琳は、一刀を悔しそうに睨み付け




「この借りは、きっと返させて貰うわ、秋蘭帰るわよ!」




と足早に一刀の陣から退出したのであった。




会談が終わって、一刀は




(「完全に怒っていたな、しかし、前回は左慈らの介入で、華琳とは完全に決着をつけられなかったが、今回は完全に決着を付けたいが…」)






と思っていると華琳が立ち去ったあと、皆が一刀のところに集まり、会談の結果を説明すると、朱里が




「ご主人様、上手く誘導できましたね」




「ああ、朱里が言っていたとおり、曹操は自分に誇りを持っているから、早くこの借りを返したいから、要望を聞いてきたが、正直今のところ、欲しい物は何もないからね」




これは朱里の策で、華琳に対して、今後の主導権を握るために、予め一刀らと話し合った時に流れを決めていたのであった。




「彼女は自ら、覇王を名乗るだけありますから、この借りはデカいですね、そして彼女の性格から、これを反故はしないでしょう」




紫苑が答えると、一刀が




「まあ、このことはまた追々考えよう、また何かの時に借りを返して貰ったらいいだろう」




「それにこれで、一応乱が治まったことだし、今日は皆に慰労の意味も込めて、祝勝会の準備をしてくれ」




と命じると、翠は大喜びで兵士に命じて準備させ、そして嵐の祝勝会に突入したのであった…。



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