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真・恋姫無双 〜新外史伝〜  作者: 殴って退場
第12章 魏滅亡
125/134

第125話・前篇

今回はこのままだと話が長くなり投稿が遅くなりそうでしたので、一旦ここで切る形になりました

紫苑たちは黄河を利用して、現在の魏の本拠地である青州・北海に到着した。


到着すると直ぐに会談となったのだが、華琳との会談に向かう途中、周りは何も無かったが、雰囲気から何か異質な物を感じとっていた。


紫苑・星・真里(徐庶)・秋蘭はそれぞれ無言であったが


(やはり予想通り、歓迎されていないようね…)


(どうやら『虎口』に飛び込んだようだな。さあ鬼が出るか蛇が出るか楽しみだが、最悪の場合、紫苑だけでも逃がす様にしないとな…)


(さて曹孟徳の器、はっきりと見させて貰うわよ)


(華琳様…一体貴女は何をするつもりですか…)


内心そう感じながら会見場に向った。


そして会見場に到着すると、紫苑たちはその光景を見て驚いた。


会見場に完全武装した兵士が並べられ、そして居並ぶ将も同様に完全武装。親衛隊の長である流琉と季衣も完全武装をして恰も紫苑たちを威嚇するように華琳の背後に立っていた。


更に会見場の一角には、炊き出し用の大釜を設置して湯を滾らせていたのであった。


紫苑たちの驚きの顔を見て、これを考えた桂花はどや顔をしていたが、たまたま桂花の表情を見た真里は今回の仕掛けが桂花の仕業と看破した。


異様な雰囲気な中、紫苑は動揺をせず冷静に挨拶をする。


「お久しぶりでございます、魏王閣下。本日は蜀王北郷一刀に代わり不肖北郷紫苑が使者として参りました」


「久しぶりね、北郷紫苑。まずは私の家臣である”夏侯妙才“を助けて貰って礼を言わせて貰うわ。それとどう誑かしたかしれないけど、私の秋蘭を奪うとはどういうことかしら?」


華琳は秋蘭を一刀に奪い取られたことで、まだ怒りが冷めていない為、早速詰問を始めようとしたため、秋蘭は紫苑の為に弁護しようとするが


「華琳様、それは…」


「秋蘭、貴女に聞いてないわ!黙っていなさい!」


華琳は秋蘭の弁解を聞こうともせず一蹴する。


「改めて聞かせて貰おうかしら、私の家臣であり、そして私の物であった秋蘭を奪った理由を」


華琳は凄みを聞かせて紫苑に詰問する。


華琳は態とこのような異様な雰囲気を作り上げて、交渉を優位に持ち込み、そして紫苑を屈服させた後、秋蘭を取戻そうと考えていた。


だが紫苑は華琳の質問に対して臆せずに堂々とした態度で


「それについて回答しますが、その前に一つ宜しいですか」


「何かしら」


「貴女が秋蘭さんの事を物と言うのであれば、秋蘭さんからそれなりの事情を聴くのが筋では無いのですか?それすらしないということは、貴女は秋蘭さんの事を信頼していないというか本当に物として扱っているということかしら」


「よく言うわね、貴女!」


紫苑の指摘に華琳は怒りの声を上げる。秋蘭を奪い取った当事者からそのような事を言われるとは思ってもいなかったからだ。


そんな怒りの表情を見せた華琳を、紫苑はそれについて予想していたのか、軽く受け流し


「そうですか、では説明させていただきます」


紫苑は記憶喪失になった秋蘭を発見した経緯から、一刀暗殺未遂の際に一刀が秋蘭を庇い負傷したこと、そして晋との和平とそれに伴う秋蘭の扱い等について説明したのであった。


紫苑の説明を聞いたものの、華琳の不機嫌な表情は変わらず、


「何、勝手な事言っているの!私たちが晋に負ける訳無いでしょう!そう言って秋蘭を騙したのでしょう!」


「それは秋蘭の弱みを付けこんだ脅迫でしょう!」


列席していた明華(曹仁)、陽華(曹洪)が紫苑に文句を言う。


「魏の方々は恩を言う言葉を忘れているようですな。元々秋蘭殿は負傷され、命が失われるところを助け、更に建物の下敷きになるところを我が主が身を挺して助けたのですぞ。その行為に秋蘭殿は主に惚れた事は事実。その結果、秋蘭殿は我が主の妻になったことに何の文句がありますかな」


丁寧さが欠ける星の回答に


「ふざけるな!」


と更に罵声が出るが


「では聞くけど、記憶喪失になっていた秋蘭さんを当時混乱の極みであった魏に無事に送り届ける方法はあったの?まずはそこから聞かせて欲しいですわ。それにこのようなこけおどしの出迎え、何処の誰かがやったか知れないけど、よく恥ずかしくも無くやれたわね。身体や胸も小さいけど器も小さいわね」


「誰が身体や胸、器が小さいのよ!」


「あら、誰も貴女の事は言っていないわ。もしかしてこんな下策、貴女が考えついたの」


「ぐぐぐ…」


真里からそう言われると桂花は悔しさの余り歯軋りするしかなかった。少々心が弱い朱里や雛里であれば、桂花の策は成功したかもしれないが、胆力がある星や軍師として戦える真里では桂花の策も唯のこけおどししか見えていなかった。


「出迎えの件についてはそちらの興に合わなかったようね。申し訳ないわ」


華琳は自分が命じた事を億尾に出さず謝罪する。


「秋蘭の事は後でじっくりと話を聞かせて貰うことにして、貴方たちが兵も出さず、私たちを助ける方法とやら教えてくれるかしら、下らない案だったら承知しないわよ」


華琳は、ここはあっさりと自分たちの非を認め、更に紫苑を試すかのように質問する。紫苑もこれを華琳の挑発と受け取り、微笑を浮かべながら


「…ええ正直に言わせて貰いますわ。このまま魏と晋が戦ったとしても兵の士気、地の利これを鑑みて勝つのは難しいかと、そこで我が主は曹操様はじめ家臣の方々を率いて、蜀に来て頂きたいと、これは我が主北郷一刀からの提案ですわ」


「なぁ…」


「何!貴様、我々に蜀に尻尾を振れと言うのか!」


「ふざけないで!何で私たちが蜀に頼らなくてはいけないの!」


華琳は一刀からのとんでもないも無い提案に驚き、春蘭と桂花は紫苑の提案に真っ向から噛みつく。


「それはいい考えかも、もし袁術様も無事に保護して戴けるのであれば、私はこの案に賛成しても構いませんよ」


だが元袁術軍の将で現在、魏の将として属している張勲こと七乃が袁術の安泰を保障してくれるのであれば、紫苑の提案に乗ってもいいと言ってきたのだ。だがこれにも桂花は反対の声を上げる。


「何、勝手な事言っているのよ!」


「だってこのままでしたら、魏が滅亡する可能性が高いですから、その前に美羽様を連れて蜀に避難した方がいいかと思ったのですが♪」


現在、主君であった美羽については、現状何においても力量不足であったので小間使い兼再教養を受けている身であった。魏に仕えているとは言え、未だに美羽第一と考えている七乃にとっては紫苑の提案は魅力的な案であった。


「もし私たちが蜀に行った場合、私たちの扱いはどうなるのですか?」


今まで一言も発しなかった風が紫苑に質問する。


「取り敢えずは、貴女たちを何れかの領土を預ける形にして、そこで再起を図っていただいたらと思っています。こちらの要望は一点、いずれ訪れる晋との戦いの時に参戦してくれることが条件で、これは晋との約定により兵を出す事が出来ない我が国の誠意と秋蘭さんとの約束ですわ」


「なるほど~それは好待遇ですね~」


風はこの状況で蜀に行った場合、飼い殺しされる懸念があったが紫苑の回答を聞いて少々驚きを隠せないでいた。だが言葉と違い表情には出さなかったが。だがそれを聞いた華琳は怪訝な表情をしていた。


「秋蘭との約束…貴女、私を救う為に人身御供として北郷一刀に身を差し出したの!」


華琳の言葉に秋蘭は首を横に振って


「いいえ、それは違います。華琳様」


「華琳様や姉者たちを救いたい。これは事実ですが、それだけが理由でありません。上手く言えませんが、私も女として男に愛されたいという部分が残っていたのでしょう…」


「秋蘭…貴女…」


「はっ!申し訳ありません。ですが…」


「黙れ!!」


華琳は秋蘭の話を聞いて、秋蘭の心が一刀に奪い取られたと感じた。それは自分でも言葉に言い表せない不快感となり、秋蘭の言葉を最後まで聞こうとせず一喝する。そして一呼吸置くと華琳は


「……秋蘭」


「はっ」


秋蘭を真名で呼ぶと華琳は


「貴女が本当に私の為にと思っているのだったら、北郷紫苑を切りなさい。そうすれば、今までの事は水に流してあげるわ」


華琳の予想外の言葉に場は一気に凍りついたのであった。


ご意見・ご感想については喜んで返事させていただきます。(ただし誹謗中傷等については無視します)

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