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第12話

翌日、宿を出た一行は、すでに水鏡塾近くまで来ていた。




そして紫苑が真里に




「真里ちゃん、一つ聞いておきたいのだけど、水鏡先生って、どんな方なの?」




「先生は、政策や軍事、農業など色んな分野を教えているけど、先生自体は政事には関わらないようにしているわ。しかし、生徒に褒める時は「好々」と言って、生徒のやる気を引き出して、能力を伸ばすようにしているの」




と言うと、一刀が璃々と翠と蒲公英に




「どうだ、3人ともしばらくここで勉強していくか?」




「・・勘弁してご主人様、まだ字があまり読めないのに」




「そんなの無理だよ~、頭が痛くなってきた・・」




「ここから西涼に帰ろうかな~」




とそれぞれ拒絶反応を示し、それを聞いた紫苑が元学校の先生らしく




「あらあら3人とも、武威に帰ったら、もっと勉強しないといけないわね」




とお仕置きモードを醸し出すと、紫苑の容赦のない勉強風景を思い出し、3人ともがっかりした表情になった。




すると愛紗も




「では桃香様や鈴々もどうです?」




と話を振ると




「わ、私は遠慮しておこうかな~」




「愛紗、勘弁して欲しいのだ・・」




とこちらの2人も閉口していた。




そして話をしているうちに水鏡塾に到着し、真里が玄関先で




「こんにちは、誰かいないかー」




すると奥から




「「はーい」」




と2人の返事があったので、そのうちの1人の姿を見ると、一刀たちは




「久しぶり・・朱里(ちゃん、お姉ちゃん)」




そしてもう1人の子を見て、一刀は




(「これが龐統か・・、何か保護欲に掻き立てそうだな・・」)




と内心で思っていた。




朱里は真里の姿を見て




「お久しぶりです~、真里お姉さん、元気でしたか~」




「ああ、元気さ、朱里や雛里も元気だったか?」




「「はい、元気でした!」」




と答えると、朱里が一刀たちに気付き




「真里お姉さん、この人たちは・・」




「ああ、こちらは西涼の馬超さんたちで、実は私のお母さんの敵討ちの時に助けて貰って、そしてここで軍師とかを募集しているので、私は恩返しと意味もあるが、今度ここに世話になることにした」




「そして、こちらが劉備さんで、2人を軍師として来て欲しいとわざわざ幽州から来たそうだ、もちろん私たちだって2人を軍師として雇うために来たんだけどな、取り敢えずは両方の話を聞いて貰いたいのだが、先生はいるかな?



と言うと、再び奥から銀色のロングヘアーの女性が現われ、真里の姿を見ると




「真里、元気だったか、よくぞ訪ねてきてくれた、好々」




「水鏡先生お久しぶりです。無事母上の敵討ちができまして、そしてこの度、仕官も決まりましたことと、朱里と雛里のことについてお話に来ました」




そして翠と桃香が水鏡先生と言われる女性に挨拶をし、真里が翠と桃香がここに来た経緯を話すと




水鏡は、朱里と雛里に




「あなたたち、このお話聞いてみる?判断はあなたたちに任せるわ」




と言われると朱里と雛里は2人とも無言で頷き、話を聞くことを承諾した。




そして翠は、桃香たちに2人の話し合いを先に譲り、そして待っている間、真里が水鏡に一刀たち

を紹介すると、水鏡が




「改めてまして、私は司馬徽、字は徳操、真名を水鏡と言います」




「一刀さんに紫苑さんに璃々ちゃん、あなた方は御遣い様と言われているそうですが、できましたら2、3日ここに留まって、私たちが知らないあなた方の知識を教えて頂きたいのですが」




水鏡から言われると一刀は




(「さすが伏龍鳳雛を育てた先生、知識欲も凄いな・・」)




と感心していた。




そして一刀も




「分かりました、お受けします。その代わりにここにいる間、この3人の勉強をお願いしたいのですが」




と言うと璃々、翠、蒲公英は




「「「!?」」」




顔が引きつっており、水鏡が、そして一刀の申し出を受けた瞬間、3人は無言で落胆していた。




そして一刀が水鏡に




「一つお聞きしたいのですが、取り敢えずあの2人の能力は話では凄いと聞いておりますが、どれくらい凄いのですか?」




「そうですね・・、簡単に言えば、今のこの国の文官や軍師の数は多数いるけど、少なくとも十指の中には入るかしら」




「え~、そんなに凄いのかよ、全然そんな風には見えないな」




と翠は驚いていた。




「ところで馬超さん、あなた方は2人を登用するお話をしましたが、あなた方はどのような国作りを目指しているのですか?」




「私たちは目指すのは普通の国かな、幸せの基準は人それぞれだから分からない、だったらせめて私たちは皆が普通に暮らし、普通の人生を送り、普通に恋愛し、そして皆が賊とかに怯えずに安心して暮らせるようにしたいと思っている」




とやや緊張しながら翠は語ると水鏡は、




「ではそのようにするには、国をどういう方針にしますか?」




と追及されると、翠はそこから上手く答えられず、困った顔をして、一刀や紫苑に助けを求めるような顔し、一刀と紫苑も仕方なく、真実を水鏡に話すことにした。




「すいません、水鏡先生、騙すつもりは無かったのですが、少し私の話を聞いて貰えますか、そしてこのことは他言無用でお願いします」




と一刀が水鏡に申し出すると了解を得て、馬家の事について話をした。そしてそれを聞き終えると




水鏡は




「正直、馬騰さんも思い切ったことをしましたね・・しかし最近、西涼の方が人や物の流れが活発化し、政治的に安定している原因にあなた方がいたことが分かったわ」




「でもすいません、黙っていて」




「仕方ないですわ」




と笑って許して貰った。




「先ほどの話の続きですが、一言言えば、富国強兵を目指します」




「富国強兵?聞き慣れない言葉ね、それはあなた達の世界の言葉?」




「そうです、分かりやすく言えば国を富ませ、そしてその富で兵を養う、力が無ければ国を失う、力のみでも国が豊かで無ければ、これまた国を失いますが、それを上手くやるようにするつもりですが」




と説明すると




「なるほど今の説明で、大体あなた方は現実的な理想を持っていることが分かりましたわ」




「もし朱里や雛里がそちらでお世話になる時は、よろしくお願いします」




と話をしていると、ちょうど桃香たちが話を終え、入れ替わりに一刀たちが話することになった。




そして部屋に入り、お互いに紹介することなり、真里が2人に自己紹介するように勧めたが、




「はわわ、は、は、初めまして、わ、私は姓は諸葛、名は亮、字は孔明でしゅ、(噛んじゃった・・)です」




「あわわ、わ、私は姓は龐、名は統、字はし、士元で、で、です」




と紹介したが、一刀は真里に小声で




(「この事か、以前言っていたことは?」)




(「そうですよ、愛嬌あるでしょう」)




と言われると、一刀も頷くしか無かった。




そして一刀たちも紹介したが、すると翠が一刀の方を見て




「ちょっとお二人さん、話の前にこちらの大事な話をしてもいいかな?」




と言うと朱里が




「はい、いいですが何でしょう?」




「ああ、最初、私が涼州大守馬騰の娘ということで話をしていたが、実は今、横にいるご主人様、つまり北郷一刀と結婚して、そちらに嫁いだんだ、それで今、後継者はご主人様になっているんだよ、だから二人への話は、ご主人様からして貰うけどいいかな?」




翠は勧誘の話を一刀に振る話をしたが、一刀は翠に「急に話を振るな」という顔をしていたが、朱




里と雛里は




「は、はわわ、け、結婚でしゅって・・」




「あ、あわわ・・」




翠の結婚話を聞いて、2人ともパニック状態になっていた。




これを見て一刀は




(「大丈夫かよ・・?」)




不安になっていた。




そしてしばらく緊張を解すため、他愛ないの話をして、ようやく2人が落ち着きそして朱里が一刀に




「北郷さん、あなた方が私たちが必要だとは分かりました、また真里お姉さんがそちらに行くこと

をお聞きしましたが、あなた方の目指す国とはどんな国ですか?」




「俺たちが目指すのは普通の国かな、幸せの基準は人それぞれだから分からない、だったらせめて




私たちは皆が普通に暮らし、普通の人生を送り、普通に恋愛し、そして皆が賊とかに怯えずに安心して暮らせるようにしたいと思っている」




「はっきり言って完全な政なんてあり得ない、ただ言えることは、民を飢えさせない、悪政して泣かせない、そして平和に暮らす、これが政治の基本だと思う。だからせめてこれだけのことはしたいと思う」




これを聞いた朱里と雛里は内心




((「先程聞いた、劉備さんの理想と比べ、かなり現実的な理想と言えるね・・」))




更に雛里が一刀に




「戦についてはどう思っていますか・・?」




「誰も好きで戦をする人はいないだろうけど、しかし国や愛する人を守るためなら血を流すことも仕方がないと思う、だからさっき言った理想を成し遂げるためには、国を富国強兵にする必要がある。力なき理想や正義は力のある人の前には無意味になってしまうからね」




「しかし、それを実行するには1人ではできない、皆の協力が必要です。だから諸葛亮さん、龐統さ

んの協力が欲しい。だから家臣ではなく仲間として協力して欲しい」




と一刀が答えると2人は納得したかのような表情になり、朱里が




「ありがとうございました。2人でしばらく考えたいので、別室でお待ち願いますでしょうか?」




と言われると一刀たちは部屋を出て行こうとしたが、出る時に一刀が




「諸葛亮さん、龐統さん、自分たちが良いと思う決断をしてくれたらいいから、真里がいるから、こっちに来るという考えだけは、辞めてね」




と言って部屋から出た。




そして雛里が朱里に




「優しいね北郷さん、それで朱里ちゃん、2人の話を聞いてどうだった?」




「うん・・、劉備さんの理想に引かれるものはあるけど・・、北郷さんの理想は現実的で、実現できる可能性がある理想・・」




「そうだね、私たちの理想は民が安心して暮らせる世界だから・・、理想を実現するには北郷さん

の方が確実、しかし劉備さんには未知の魅力もある・・」




と2人はしばらく話し合い結論を出した。








そして別室で待っていた一刀や桃香たちのところに朱里と雛里がやって来て、答えは・・




朱里は一刀のところに雛里は桃香のところに行くことを決めた。




それを聞いた真里が心配した顔で




「2人が決めた結論に反対するつもりではないけど、いつも一緒の意見なのに今回は別の結論になったんだ?」




と朱里と雛里に問いかけると、まずは朱里が




「私は、皆が平和になるためには、劉備さんより北郷さんの理想が現実的で、実現することが可能性が高いから、北郷さんを選びました、これは雛里ちゃんと話し合い、私が出した結論です…」




と最後は目に涙を浮かべながら答えた。




そして雛里が、




「北郷さんの理想も良かったのですが、私は逆に劉備さんの未知の魅力に惹かれ、私はそちらに賭けてみたくなり、劉備さんを選びました…」




と雛里も目に涙を浮かべていた。




そして2人の答えを聞いた水鏡と真里が




「2人とも考えて出した結論には何にも言わないわ、ただ仕えるためには、今日から、その主君と民のために全力を尽くしなさい、例えそれが戦場で2人が戦うようになっても。そして戦いをしたくないなら、全力で知恵を使いなさい」




と一呼吸置き




「でも2人の友情は決して忘れてはダメよ・・、そして一刀さんに桃香さん、2人は出来るだけ争わないよう、節にお願いします」




と言われると




「分かりました、出来る限り、桃香とは争わないようします」




「私も一刀さんとは争わないことを誓います」




と2人は水鏡に誓いの言葉を述べたが、この誓いは残念ながら守れなかった、ある戦いで敵味方になってしまったのである・・。




そして真里が




「2人とも成長したな・・、雛里、幽州は遠くて大変だけど頑張れよ、そして朱里、これから仲間だ、よろしく頼むぜ」




と2人とも元気よく




「「はい!」」




と答え、そして朱里は、桃香たちに




「劉備さん、お誘いを断り申し訳ありませんでした、しかしお誘いをした事について大変感謝しております、また馬超さんにもこれからお世話になりますので、皆さんに私の真名を預かって頂きたいと思います」




と朱里は自分の真名を皆に言い、そして雛里も同じように一刀たちにも真名を預け、そして部屋にいる全員が朱里と雛里と真名を交換しあった。




そして朱里が翠に




「改めてよろしくお願いします、翠様」




「よろしく頼むぜ、朱里」




と一応主君である翠に挨拶をした、朱里と雛里には先程、一刀が後継者であると話をしたが、まだ世間ではこのことを公表していないため2人には口止めをお願いし、桃香たちはこのことを知らないので、朱里もこのように振る舞ったのである。




そして、水鏡が




「雛里、私から一刀さんや紫苑さんにお願いして、2、3日一刀さんの世界の政治や色んなお話を聞かせて貰うため、塾に留まってもらうわ、桃香さんも一緒に話を聞きたいと言って留まるから、あなたも聞きなさいね」




と言うと雛里は、水鏡と桃香に感謝し泣きながら




「と、桃香しゃま、ありがとうございましゅ・・します」




と舌を咬みながら感謝の言葉を述べると、桃香は




「いいのよ、雛里ちゃん、私も一刀さんの世界のお話を聞きたいし、そして頼りない私だけど力を貸してね」




「はい、頑張ります!」




と元気よく答えた。




そして、その後一刀たちは皆で水鏡から食事を振る舞われた後、各人部屋が割り当てられ、一刀と




紫苑と2人部屋になって、寝る前に




「あ~疲れた」




「お疲れ様です、ご主人様」




「でも残念でしたわね、朱里ちゃんしか来てくれなかったから」




「仕方がないさ、本来なら2人とも、桃香のところに行ってもおかしくはなかったからな」




「そうですわね、でもこれからどうされます?」




「取り敢えず、ここに2、3日逗留して、そろそろ武威に帰った方がいいだろうな、一応目的も達成出来たし、旅の間、色々な話も聞けたことだし」




「分かりましたわ、では明日、皆に伝えておきますわ」




「うん、よろしく頼む・・って、何しているの・・」




と一刀の頭の上に何か重みを感じていたので確認すると紫苑が自分の胸を一刀の頭の上に乗せていた。




「え~と、何しているの紫苑?」




「嫌ですわ、ご主人様、分かっているはずなのに」




「一応、客間で・・隣に聞こえるかもしれないけど・・」




「ずっと旅の間、皆と一緒に寝ていましたから、2人きりなんて無かったではないですか?せっか

くだから」




と言って、紫苑に無理やり寝台に押し倒され・・そして一刀は紫苑に食べられてしまった。




そして翌朝、肌色のいい紫苑と元気のない一刀を見て、璃々が抜け駆けされたと怒っていたのは言うまでもなかった。




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