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真・恋姫無双 〜新外史伝〜  作者: 殴って退場
第10章 波乱
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第101話

前回の投稿でユニークが20万人突破して、大変喜んでいます。引き続き応援よろしくお願いします。

亞莎と晶は秘密裡に交渉をしてようやく一刀と雪蓮の君主会談に漕ぎ着けた。そして二人を労った後、冥琳は


「恐らく蓮華様を交換するには莫大な交換条件を突き付けてくる可能性があるだろうが、もしこちらとしても受忍する限度を越えれば…」


当然、呉としたら蓮華を取り返すためにはある程度の犠牲を覚悟しなければならないが、しかし限度を超える要求があれば最悪交渉を断念して蓮華を見殺しにする覚悟を冥琳は暗に示したが


「その可能性は十分に高いわね…ただ」


「ただ…どうした雪蓮?」


「ただどうしても向こうの考えが読めないのよ」


「お前の勘を持ってしてもか?」


「ええ」


だからこそ二人は色々と話し合い、雪蓮はこう結論を出した。


「まぁ、なるようになるか」


と。


一方その頃、紫苑と蓮華は鍛錬を行い、そしてその横で一刀も見学していた。


「それでは蓮華さん。準備は宜しいかしら?」


蓮華は頷いて手にした木刀を構え


「孫仲謀……参る!」


言うと同時に、蓮華はいきなり紫苑の懐に飛び込んで突きを繰り出す。


「てええぇぇぇりゃああぁぁ!!」


蓮華の攻撃を紫苑は慌てずに身をかわすが


「あら……大分太刀筋が良くなってきてますわね。でもまだまだですわよ」


そう言いながら紫苑は、素早く木刀を繰り出す。


そして紫苑の攻撃は蓮華より早くかったが、蓮華は、それにも怯まず再び紫苑に突きを繰り出す。


「まだまだ!!」


すると紫苑の前髪に蓮華の木刀が僅かながら掠める。


「あら、今の一撃良かったですわ。でも…まだ甘いですわよ」


紫苑がこれを機に一気攻勢を強め、やがて蓮華の喉元に木刀が突き付けられていたのであった。


「参りました…」


「でも、蓮華ちゃんも強くなったね。ねえご主人様」


「ああ、そうだな」


「褒めてくれるのはいいけど、まだまだ二人に追い付くのは時間が掛かるわよ」


蓮華は謙遜しているが、その言葉には以前と違い自分の弱さを素直に認めていた。そして紫苑は以前の蓮華と比べ、何事に対して真面目に取り組み徐々に成長しているのを肌で感じ取っていた。そしてその


「でももうすぐ蓮華。もうすぐ君とはお別れだね…」


「えっ?」


「三日後、君のお姉さん、つまり孫策さんがこちらに来る。交渉の結果次第だけど蓮華、君を呉に返すつもりだ」


「そうなの……」


一刀の一言に蓮華は何を言っているのか一瞬理解できなかったが、説明を聞くと漸く理解できたものの、蓮華は急に解放されることを聞いて戸惑いを隠せなかった。


「あら?嬉しくないの?お姉さんのところに帰れるのに」


「い、いや。それはもちろん嬉しいが、突然すぎて…」


「それで私に呉に帰して、どうするつもりなの?」


蓮華は意外とここ最近はここでの生活が徐々に気にいり、また一刀から離れる事を残念に感じていた。しかし一つ懸念があった、自分が呉に帰ってしまえば蜀呉の関係がどうなるのかと。


そんな蓮華に気付かず一刀は質問する。


「一つだけ聞きたいのだけど、孫策さんの性格はどうなの?」


「そうね…。普段はちゃらけているように見えるけど、孫呉のためなら卑怯な手段以外はどんな事をすることも厭わないわ」


「君を無事に帰して、改めて呉と同盟を組もうと考えているつもりだが」


「私を無事に帰し、お金を要求するか又は領土を大幅に割譲して同盟を結ぼうと考えていると思うけど、そんなにお姉様はそんなに甘くないわよ」


「やはり蓮華、君もそう思うか」


「えっ?違うの」


「まあ内容は秘密だけど、決して悪いようにはしないつもりだよ」


一刀はそう言いながら話を締めくくった。


そして三日後、雪蓮らは極秘に洛陽にやって来た。


お互い一度会っていたので、挨拶もそこそこに早速、雪蓮が


「まずは話し合いの前に妹の無事な姿を確認させて欲しいのだけど?」


「ああいいよ」


一刀は紫苑の方に目をやると紫苑は無言で頷き、その場を去り蓮華と共に広間に戻ると蓮華は開口一番


「……お姉様、申し訳ありません。多くの兵を死なせた上におめおめと生き恥を晒すようなことをして……」


「……いいのよ、蓮華。貴女が無事で良かったわ…」


蓮華は兵を失い、更に自分が捕われた事について詫びたが、雪蓮はそれについては何も言わず無事が確認されたことで全てを許した。そして蓮華の無事が確認されたことで話し合いが始められた。


「まずは礼を言わせて貰うわ。妹を殺さずにいてくれて、それでこちらとしては妹を返して欲しいのだけど、何が望みなの?」


「そうだね。まずはこちらの案だけど、見て貰えるかな」


一刀は予め考えていた案を書状にして雪蓮に手渡した。


「ふ~ん。随分手際がいいわね。じゃあ見せて貰うわ」


雪蓮は一刀が無理難題を吹っ掛けると思い、書状を見ると


「貴男、条件これでいいの…?」


流石の雪蓮も一刀の提案を見て驚いた。


というのは蓮華を呉に戻す代わりに出された交換案は


荊州の領土を長江・洞庭湖・湘水を境界して東西にして蜀呉と分け合い事、そして荊州以外の呉の領土はそのままという条件に加え、蜀呉の同盟を提案したのであった。


というのは、荊州南部は漢が滅びた後、情勢が定まっておらず、更に一部は蜀が占拠しているものの呉の荊州の拠点と言える江夏郡や長沙郡などはそのままという条件に加え、金銭なども一切要求せずに対等の同盟を望んでいるという事に呉としては驚きを隠せずにはいられなかった。


雪蓮はこれを見ると無言で冥琳に手渡すと冥琳も


「これは…」


その後、言葉を切り交互に一刀と手にした書を読み返し、思考の海に入ってしまった。


そんな冥琳を見て雪蓮は一刀に尋ねた。


「貴方が私たちと同盟を結びたい、それは悪くない話だわ。でも率直に聞くけれど、貴方はどんな世を目指しているのかしら、それを聞かせて欲しいわ」


「そうだね…。俺が目指しているのは『普通の生活』かな。皆が普通に暮らし、普通な人生、普通な恋愛などができるように戦っているつもりだよ」


「あはははっ。貴方、面白いわ」


「そうかな?じゃ逆に聞かせて貰うけど孫策さんの理想は?」


雪蓮は一刀の答えを聞いて、回答に満足したのか心底愉しそうに笑い、そして自分の理想を語り始めた。


「私の夢は冥琳と…冥琳はそこにいる周瑜の事ね。二人で天下を統一するつもりよ」


雪蓮は一旦言葉を切り


「で、何の為に天下を統一するのと思っているでしょう?それは私たちの平和の為。あくまでも天下統一は手段。私の目的、本当の願いは、私たちに従ってくれる民と皆で一緒に幸せに暮らせる国を創り出す事よ」


「だから私は、私の願いを保証してくれるなら、天下が私たちの元で統一されている必要はないと思っているのよ。もし貴方の言うことが本当なら貴方と手を結んでもいいと思っているわ」


「孫策さんのおっしゃることは分かりますが、周瑜さんはこの事にどう思っているのですか?」


雪蓮の意見を聞いて、朱里は同じ軍師の立場として敢えて尋ねてみた。


「正直に言えば、私は雪蓮に天下を取らせたい。しかし…雪蓮が天下を取る意志が無ければ、私はそれに従うだけだ」


冥琳は、少し残念そうな表情を浮かべたが正直に答えた。これを見て雪蓮は


「ごめんね、冥琳。ただ私って…堪え性が無いし……でもね、こんな私でも孫家の為、家を繁栄させたい気持ちはあるわ。でもね、もう一人の私は、そんな物は要らなくて、冥琳と悠々自適にのんびり暮らして、好きなお酒飲んで、楽しく笑って過ごせて死ねたら本望だという気持ちもあるのよね……」


「孫策さん…」


一刀は思わぬところで雪蓮の本音を聞いて驚いた。


「まあこんな湿っぽい話はそこまでにして。改めて蓮華の命を奪わずにいてくれて感謝するわ。それに貴方みたいな男性は嫌いじゃないわ、むしろ好みの男性よ♪ 私の真名は雪蓮よ。ここにいる皆に呉の信頼の証として預けるわ。そして貴方の事はなんて呼べば良い?」


「ちょ、ちょっと!いきなり真名を預けていいの!?」


「あら、こう見えても私、男の見る目はあるつもりよ。今までの貴方の行動や改めて貴方を見直して預けてもいいと判断したの」


「そう言われると光栄だね。じゃ呉の皆も俺の事を好きに呼んでくれれば良いよ。俺は北郷一刀。改めてよろしく、雪蓮」


これを切欠に、両国の出席者の間で真名の交換が行なわれ、このまま会談が穏やかに終わりそうであった時、けたたましく廊下を走ってくる音が聞こえてきて、扉が激しく開かれた。


「大変だよ、皆!呉の合肥が曹操軍の手に落ちてしまったよ!!」


皆は蒲公英の無礼な行為や声の大きさやよりも知らされた内容に驚愕していた……。


ご意見・ご感想あれば喜んで返事させていただきます。(ただし誹謗中傷等は止めて下さいね)

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