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ンードラロギア  作者: ああああ


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36/55

幕間:王都イルファーンの長い夜

幕間です。寄り道回ですが、キャラを知るための重要回でもあります。

VIPルーム「鏡の間」、各国の要人ですら予約に数年かかるという特別な部屋の中の様子を一行は部屋の重厚な扉を開けるとそこには鏡の世界が待っていた。一歩足を踏み入れれば、そこは自分たちの姿が無限に増殖する世界だった。壁、天井、さらにはクローゼットの扉に至るまで、あらゆる場所が磨き上げられた鏡面で覆われている。


「どこを向いても自分と目が合う。鏡張りの部屋だったか視覚だけに頼らない修行ができそうだな」


「自分の姿が気になって相手の剣の動きがわからなくなりそうっすね。慣れるまで苦労しそうだ」


「相手の剣も沢山鏡に映るからどこから攻撃されるかわからなくなりそうだよ」


しかし、そんな男たちの戸惑いをよそに、一人の女性が完全に「未知の領域」へと足を踏み入れていた。


「アルト! 見てください、このベッド!丸いです! 枕元のスイッチを押すと、ゆっくりと回転を始めましたよ! まるで魔法の絨毯のようです!」


「エルキア、回ってるね! でも……なんでベッドが回転する必要があるの? 景色が変わるわけでもないのに」


アルトの純粋な疑問に、エルキアは頬を紅潮させ、子供のように目を輝かせて答えた。

「さぁ……? でも、こうして回っていると、まるで世界が自分を中心に回っているような、不思議な高揚感があります! 素晴らしい仕掛けです!」


普段の高潔なイメージのエルキアが、王都の俗世が生み出した怪しげなギミックにこれほどまでにはしゃぐとは。ラッシュはその光景を遠巻きに眺めながら、引きつった笑いを浮かべるしかなかった。


「あんなにはしゃぐエルキアさん、初めて見たっすよ……。見てください、部屋の中に風呂まである。しかも仕切りがガラス一枚で丸見えですよ。王都の人たちは、羞恥心というものをどこかに忘れてきたんですかね」


「……ウチの屋敷も、今度改装しようかな」

オルダが冗談めかして呟くと、ラッシュは即座に首を横に振った。

「それは絶対にやめたほうがいいです。今以上の魔窟になりますよ」


VIPルーム見学ツアーも終わり、オルダとラッシュが浴場で汗を流すことにした。



ラッシュは浴場に行くことにためらいを見せるがオルダが無理やり引っ張っていく。


ホテルの地下に広がる大浴場は、地下から引き上げられた天然温泉とサウナを備えた豪華な仕様だった。


「先に行ってるから絶対来いよー」


「はい、行きますよ」


ラッシュはワーウルフである自分の身体をさらして人種の他の宿泊者に見られることをためらった。どうせ物珍しそうに見るのか、ワーウルフを忌み嫌う視線を浴びせられるのか…。



湯煙が視界を邪魔している。

「オルダ様?どこです?」


「おう、こっちだ。まずは身体を洗えよ」


(うわ……なんだ、この身体……)


オルダの肉体は、まさに「暴力の結晶」だった。

広大な背中に広がる大円筋、50代という年齢を微塵も感じさせない、鋼のように硬く引き締まった腹筋。そして何より、その肌を覆い尽くさんばかりに刻まれた無数の刀傷と弾痕。それは、彼が言葉通り死線を幾度も潜り抜けてきた、生ける英雄の証明だった。


周囲にいた他の宿泊客たちは、その圧倒的な「雄としての威圧感」に本能的な恐怖を感じたのか、誰一人として近寄ろうとしない。いつの間にか、広大な浴場は彼ら一行による貸し切り状態となっていた。


「……なにジロジロ見てんだよ。野郎の裸に興味があるのか?」

「違いますよ! 改めて師匠の姿に驚いたんです。毎日あんなに深酒して、つまみばっかり食べてるのに、なんで全然たるんでないんですか」


「俺の身体は大食らいなんだよ。アルコールなんてのは、戦場を一度想起すればすぐに燃やし尽くしてしまうのさ。それよりもラッシュ、おまえ……」

オルダの鋭い眼光が、ラッシュの細身ながらも鍛えられた四肢を捉えた。


「な、な、なんすか。ジロジロ見ないでくださいよ、恥ずかしい」


「思ったよりも毛が少ないんだな、お前。ワーウルフってもっとこう、全身モジャモジャしてるイメージだったんだが。結局、腕の毛くらいじゃねぇか。お前、実は毎朝剃ってんのか?」


「剃ってませんよ! 自然のままです! ワーウルフだって個体差があるんですから!」


「オルダ様ってリンス使わないんすよね」


「この野郎、ハゲにリンスは不要って思ってんだろ。使わねぇけどこれはハゲじゃねぇ、定期的に剃っているんだ。そういうお前は尻尾にリンス使ってるだろ」


「使わないとキシキシして痛いんすよ」


(あーなんかいいな。この気を使わない感じ。アルトはオルダ様譲りなんだな……)

ラッシュは心の中でそう呟いた。オルダは、ラッシュがワーウルフであることを「珍しい生き物」として見るのではなく、一人の男の身体的特徴として、極めてフラットに接してくる。その自然体な態度が、かつて差別を受けてきたラッシュにとっては、何よりも救いだった。


「いやぁ……旅の疲れが吹き飛ぶなぁ。最高だぜ」


ラッシュは湯舟に浸かり、自然と出てしまう深い溜息。

オルダも縁に頭を預け、唸るような吐息をもらす。


そこへパタパタと足音を立ててアルトが浴場に駆け込んできた。


「あ、オルダとラッシュもお風呂だったんだ」


「まて!アルト!まず浴場で走るな、そしてまずは身体を洗え」


しばらくするとアルトが湯舟にやってくる。


「どうしたんだよ、エルキアさんから逃げてきたのか?」


「違うんだ…二人で色んな部屋の仕掛けで遊んでいて、『一緒にお風呂に入ってさっぱりしよう』っていったら突然めちゃくちゃ怒られたんだ。『お風呂入るから出ていけ、浴場のお風呂に入ってきなさい』って追い出された」


ラッシュが同情の混じった苦笑いを浮かべる。

「あぁ……。まだ理性が残っていたのか、エルキアさん。あの鏡張りの部屋のテンションで混浴なんて、自爆に近いからなぁ」


「でもオルダやラッシュがいたからよかったよ。あれ? りっちゃんは?」


「連れてくるわけねーだろ! それに、あいつは一度濡れると乾かすのに二日はかかるんだよ」


オルダが急に真面目な顔(を装った顔)で指を立てた。

「いいか、アルト。この前の『男と女の話』を覚えているか? 女っていうのはな、男に肌を見せたり触られたりするのが、基本的にはすごく嫌なんだ。恥ずかしいんだよ。お前がどんなに純粋な気持ちでも、それは変わらない」


「男湯と女湯も分かれているだろ? 社会のルールってやつだ」

ラッシュも援護射撃を送る。


「あの部屋で一緒にお風呂に入る男女っていうのは、お互いを愛し合っている必要があるんだ」


「ちなみにこの愛し合うっていうのは…」

懇々と説明を続けるオルダ。アルトはのぼせた頭で必死に考えを巡らせた。


「あー……つまり、愛し合っていないとダメ、ってことだね。恥ずかしさを超えるほどの『愛』が証明されない限り、お風呂には入れない。わかったよ」


「……よし! アルトの『男の修行』が、これでまた一つ大人の階段を登ったわけだ」

オルダは満足げに頷き、湯船から立ち上がった。


「さーて、そろそろエルキアのところに戻れ。俺たちがお前を連れ去ったと思われて、魔法で宿ごと消されても困るからな」


「え、これからオルダたちはどこか行くの?」


アルトの純粋な瞳に対し、オルダは不敵な笑みを浮かべた。

「まぁ、お前がもう少し大人になって、正式に酒が飲めるようになったら連れて行ってやるよ。これは『裏の修行』だ」


アルトを部屋へ帰した後、オルダとラッシュは夜のイルファーンへと消えた。

立ち並ぶ高級居酒屋や、落ち着いたバー。しかし、オルダはそのどれにも目もくれず、路地裏を迷いなく進んでいく。


「あれ? 師匠、どこ行くんですか? 酒場ならさっきいっぱいありましたよ」

「ふふふ……ラッシュ。ここは王都だぞ。人々の欲望が集まる場所には、必ずそれを満たすための特殊な『供給』があるわけだ」


やがて二人がたどり着いたのは、パステルカラーの装飾と、どこか浮世離れした華やかさを放つ店構えの前だった。看板には『月夜の尻尾』と書かれている。


「こここ、ここは!?」


「説明しよう、ここはコンコンカフェ、略して『コンカフェ』といってな…」


オルダが誇らしげに胸を張り説明する。その姿は、普段の豪放磊落な隠遁商人でも、恐ろしい殺気をまとった『歴戦の英雄』を彷彿とさせる姿でもなく、完全に「夜の街の案内人」のそれだった。


「…ということで、もともとは人狐種だけだったが、今は流行りに乗って様々な亜人種の女の子と一緒に酒が飲めるっていう素晴らしい社交場だ。王都の最先端だぞ。さー入るぞ」


店内に一歩足を踏み入れた瞬間、ラッシュは眩暈を覚えた。甘い香香料の匂いと、弾けるような嬌声。


「あ、オルちゃん! おかえりなさーい! 久しぶりじゃないの、どこ行ってたのよ!」

銀鈴を転がすような声と共に、猫耳を生やしたキャットウーマンの少女が弾丸のように飛んできた。彼女は迷いなくオルダのぶ厚い腕に抱き着くと、その重厚な肉体をぐいぐいと空いた席へ引きずっていく。


その普段見たことの無いオルダ姿が様になり過ぎていて思わず呆気にとられてしまう。

「え……常連さんなんですか、師匠?」


「ガハハ! 旅の合間に『ちょっと』な」


「お兄さん!こんなところで立っていないで早く座るよー?」

振り返れば、銀色の毛並みを誇るワーウルフの女の子が、ラッシュの身体にその柔らかな曲線と肌をくっつけそうな勢いで近づく。


「わっ、ちょっと……! 近い、近いですって!」

「いいからいいから! ほら、特等席だよ」


抗う間もなく連行されたラッシュの正面。そこに、一際落ち着いた、それでいて圧倒的な色気を放つ女性が座っていた。


「おい玉藻、こいつはワーウルフだ。15歳なんだが人種の集落にいるから成人の儀式はまだなんだ。この国の種族法なら、もう立派な『成獣』だよな? 人種のガキ(アルト)を連れてくるのはさすがに法律がうるせぇから置いてきたが、こいつなら問題ねぇはずだ」


「ふふ、そうね。ワーウルフの15歳なら、もう家族を養っていてもおかしくない年齢だわ。」


「オルさん、お久しぶりね。今日はお仕事帰りなの?」


「おぉー、ママさん、会いたかったぜ。いや…明日の祝賀会に参加するんだ、主賓としてな」


「すごーい、さすがオルさんね」

黄金色の瞳をした人狐――玉藻と呼ばれたその女性が、艶然と微笑む。その仕草一つ一つに宿る完成された美しさに、ラッシュは吸い込む空気の分量さえ忘れてしまった。


「どうしたんだ、ラッシュ。グラスを持てよ。もしやママさんみたいなのがタイプなのか? おたく、若いのに渋い趣味だねぇ」

オルダはニヤニヤしながら、肘でラッシュを小突く。


「ちょっとオルさん、年増扱いはやめてくださいよ。玉藻です。よろしくね、若い騎士様」


「あ、いえ、騎士じゃなくて…ラッシュです!オルダ様の弟子です!よろしくお願いします!」


「あら、かわいいお弟子さんね」

口元を隠すような何気ない仕草すら、ラッシュの尻尾はブンブンと反応をしてしまう。


「ちょっとお兄さん、横にいる同族の私も無視しないでよー『ココ』でーす!よろしくね」

ワーウルフの少女、ココがラッシュの耳元でわざとらしく吐息を漏らす。その瞬間、ラッシュの頭の中に、先ほど浴場でお説教された「常識」がフラッシュバックした。


(……あれ? あれれ? 女っていうのは、男に肌を見せたり触られたりするのが、基本的にはすごく嫌なんじゃないの? 恥ずかしいんじゃなかったの? でも……)


ラッシュは、腕に伝わる体温と、鼻をくすぐる少女の匂いに翻弄される。

(こういうのも……悪くないな。いや、むしろ最高かもしれない……)


酒が進み、店内の喧騒が心地よいリズムに変わる頃、オルダは他の女の子たちと騒ぎ始め、ラッシュは玉藻と二人で話す機会を得た。


「ラッシュさん。オルさんがどうしてここに通っているか、気になるかしら?」

玉藻が、琥珀色の酒が入ったグラスを揺らしながら尋ねる。ラッシュは正直に頷いた。師匠がただの女好きだとは思いたくないが、あまりに馴染みすぎている。


「ここはね、ただの酒場じゃないのよ。私やここにいる子たち……身寄りのない亜人種の救済場所の一つなの」


「救済……?」


「ええ。私たち亜人種は、人種とは生態が違う。本能的に子育てが早く終わり、子離れの時期が早期にやってくるわ。人種の社会基準で考えれば、まだ赤子と言える年齢で放り出されてしまう。そうなれば、待っているのは飢えか、貧困か、あるいは奴隷商人の檻……」


ラッシュは玉藻の話しを肌で感じた。そうだ…俺が孤児になったのも、周りの人種の同年代をひどくガキだと思うように育ったのも、一人立ちできるほどだと早くに感じたのも、俺が亜人種だから人種よりも成長が早く、既に成人になっていたということだったのか。


玉藻の言葉は静かだが、重かった。

「一度人種を恨めば、その溝は一生埋まらない。だから私はここで、彼女たちに人種の社会で生きるための『礼儀』や『商売』、そして何より人種への感謝と溶け込み方を教えているの。このお店はそんな場所の一つ。他にも「お昼のお仕事」とかいくつも事業があるわ。オルさんはね、その活動の最大の出資者なのよ」


ラッシュは驚き、遠くで女の子の尻尾を振って笑っているオルダを見た。

「オルダ様が……出資を……」


「出資の見返りはあの子達の笑顔だけ。彼は、亜人種がこの社会で幸せになるには、力を身につけ、同時に人種の中に溶け込むことが唯一の道だと信じている。だからこそ、色んなパイプを持つ彼が、私たちを支えてくれているの」


「どうしてそこまですんですかね…?」


「それは、本人に聞いてみたほうがいいわよ」


酒の勢いもあり、話はいつしか明日の祝賀会、そして世界を揺るがしている「警戒事態宣言」へと及んだ。オルダは真面目な顔で玉藻に語りだす。


「今回の警戒事態宣言、ありゃブラフだ。各国が3年半後の月の蝕に向けてようやく動き出したんだ。玉藻のところも、これから準備をしていってほしい」


「ええ…わかったわ」


「え…ブラフなんですか!?」


「ああ、そうだ。ラッシュ、お前はなんでそんな回りくどいことをするのか、理解できないって顔だな?」


「ええ……。国民を不安にさせるだけじゃないですか」


「逆だよ、ラッシュ。本命は……近く訪れる『月の蝕』に備えた軍備の強化だ。だがな、それを正直に言ってみろ。『空から災厄が降ってくるぞ』なんて王様が叫んだら、力を持たない国民はパニックになり、社会は根底から崩壊する。だからこそ、各国は『他国への警戒』という嘘の看板を掲げ、協調して軍を動かしているんだ」


オルダの瞳に厳しさが宿る。

「まあ、この機に乗じて、本当に隣国を飲み込もうとする馬鹿な国も出てくるだろうが……基本的にはパニックを避けるための、痛みを伴う嘘だ。今のところエルキアが描いた筋書通りに世界は動いている。俺がサーガイル王子と繋がったのも、そのための一環だよ。王家と、そして……」


オルダは玉藻を見た。

「玉藻のところには、腕利きの亜人種による傭兵部隊もいる。有事の際、王子直轄の騎士団と、この街の裏を知り尽くした玉藻たちの部隊が連携できるように、俺が調整するつもりだ」


「傭兵部隊……? ここにいる子たちがですか?」

ラッシュが驚愕して隣を見れば、先ほどまで甘えていたココが、不敵な笑みを浮かべていた。


「そうだよ、お兄さん。私もその一人」

「ええっ!? だって、ココさん…その、毛並みも、露出してる肌も、こんなに綺麗なのに……」


ラッシュは顔を赤くして、まじまじと彼女を見てしまった。戦いとは無縁に見えるほど、その肌には傷一つなかったからだ。


「あ~?どこ見てるのよ、ちゃんと答えなさい」


「いいいいえ!答えられません!!」


「ぷぷぷ…ウブすぎるぞ、お兄さん」

ココはラッシュの耳を甘噛みする真似をして、オルダに視線を送った。

「ねぇオルちゃん!このお兄さん、すっごく可愛いー!今日、お持ち帰りしてもいい?」


「ガハハ! ダメだダメだ。そいつはまだ弟子として未熟だ。大人の修行にはまだ早い。……なあ、ラッシュ?」


「……え、あ、はい……まずはお友達から…」


「キャハハハハ!本当に可愛い!」


玉藻はオルダの耳元でささやく。

「エルキア様はお元気…?」


「あぁ…だが、あいつがあいつ自身で殻を破るために、お前の力も必要になるかもしれない。力を貸してくれるか?」


「ええ、勿論。この身を奉げる覚悟があります…」


「そこまでは必要ねぇと思うが、その時が来たら頼む」


ラッシュは、師匠の深すぎる思惑と、隣の少女の過激な誘惑、そして玉藻の優雅な微笑みの狭間で、完全にキャパシティをオーバーしていた。


火照った身体に冬の北風が、気付けとなって通り過ぎていく。オルダとラッシュは肩を組んでおぼつかない様子で宿へと足をひきずると、あの最悪な看板が見えてきた。


「なぁラッシュよ…、ココちゃんと『ハッスルキャーッスル』しなくて本当によかったのかよ?あのまま持ち帰られてたら、お前の心の穴も埋められていたろうに…」


「ちょっと!オヤジギャグまじりにマジ話は勘弁してくださいよ。そりゃあ…まぁ…そうだったかもしれませんが…俺にはまだ無理なんでもっと修行してからっすよ!」


「あの娘は傭兵だ…お前にとっての当然の『明日』はあの娘には来ねえかもしれねぇ。お前があの娘を眩しく感じたのは、『今日』を精一杯生きているからなんだ。お前もその気持ちを持って向き合えるなら、十分にその資格はあるぞ」


「…うっす、ありがとうございます…」


「あと…玉藻は無理だ。あきらめろ。俺も連敗中だ」


「…」


宿に到着して廊下を進むと、自室の前にアルトが膝を抱えて丸まっていた。


「「何やってんだ?アルト」」


「……追い出されたんだ。エルキアに」


「そっか、部屋に入ってさっさと寝ようぜ」


悪いなアルト、エルキアに愛を説こうとしたんだろ。それ、少なくとも1年は待て、エルキアを守れる男になるまで待て、と言うの忘れてたわ。ごめんな…とオルダは心の中でつぶやいた。


幕間読んでいただきありがとうございます。できるだけご都合設定・展開を無くしたいそのためのエピソードを用意したいと考えるとメインからどんどん離れていきますね。アルトの無事(?)もしっかり書ききることができました。ちなみにラッシュは亜人種で既に成人扱いです。この物語の世界の常識です。あえてここにしっかり書いておきます。玉藻さん、ココちゃんの身体的情報が欠落していますね。すみません。その内追加するかもですが、今は読者様のご想像におまかせいたします。

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