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姫と王子の入れ替わり  作者: 水無月四葩


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1/1

入れ替わり

氷の姫と太陽の王子が入れ替わるお話です。

私はリバー王国の王女、アクア。

水に恵まれた、豊かな国に生まれました。


陶器の様な白い肌に流れる水のような淡い水色の髪と瞳を持ち、

天使のような容姿だと称されることもあります。

けれど感情を表に出すことが少ないせいで、

人々からは「氷の姫」と呼ばれています。


ちなみに、私には婚約者がいます。

隣国シー王国のモーガン王子。


吸い込まれるように深い海を思わせる、青い髪と瞳。

そして太陽のように眩しい笑顔を、いつも周囲に振りまいている人です。

そのおかげで人々からは「太陽の王子」と呼ばれています。


今日は、月に一度だけ王子が会いに来る日。

庭園でお茶をしながら、言葉を交わす――それが決まりでした。


けれど、私はいつも思ってしまうのです。

何を話せばいいのだろう、と。

会話は途切れがちで、沈黙ばかりが流れていきます。



「アクア王女、本日もお招きいただきありがとうございます。

今日もとても美しいですね」


そう言って微笑むモーガン王子。

その眩しさに、私は小さくうなずくだけでした。


(いつも無表情で、何を考えているのかわからないな……)


彼がそう思っていることを、私はまだ知りません。



「庭園の中央には、王家に伝わる泉があるのです。

よろしければ、お散歩がてら見に行きませんか?」


「よろこんで」


王子は迷いなく私の隣に立ち、自然な仕草で歩調を合わせてくれます。

――さすが、王子様ですね。



「自慢されるだけあって、とても綺麗な泉ですね」


月明かりに照らされた水面は、静かに揺れていました。


その時。


足元が、ふっと崩れたのです。


「――っ」


私が足を滑らせた瞬間、

モーガン王子が咄嗟に手を伸ばしてくれました。


けれど――


間に合わず。



―――ドボンッ!!


大きな水音とともに、

二人の身体は泉の中へと落ちていきました。


ゆっくりと、目を開く。


「モーガン王子、大丈夫ですか……?」


声を出した瞬間、違和感に気づいた。

これは、自分の声ではない。


目の前の水面に映っているのは、深い青の髪と瞳。

――婚約者の顔。


視線を下げると、見慣れない大きな手。

自分よりもずっと長い指が、かすかに震えている。


(……え? 入れ替わってる?)



「……アクア王女、大丈夫ですか?」

「......」


こちらも声を出した瞬間、自分の声じゃないことに気づいた。


視線を下げると白い肌に折れそうなほど細い腕。

自分のものより、ずっと小さな手。


嫌な予感がして、

ゆっくりと顔を上げる。


そこにあったのは――

自分自身の顔だった。


「……」


「……冗談、だろ」


王子(姫)は、言葉を失い青ざめる。

姫(王子)は、震える声で呟いた。


互いに見つめ合い、同時に理解した。


――入れ替わっている。


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