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銀の姫、ルースティリア

「アンナ様、風の精霊を連れ帰るなんて……

 良かったですわ。とても身なりの良い騎士の格好をしてますね」


 アンナレッタが意気揚々とリカルドを連れて帰ると、巫女のサヤが出迎えてくれた。


「ふふっ!! 面構えの良い精霊だろう」


「アンナ様? 顔で選んだのですか?」


 アンナレッタはズキリ!!

 リカルドの金髪碧眼に見える透け具合なところも、童顔で可愛い顔も、すらりとした足の長さもアンナレッタの好みのドスライクであった。

 生まれたてだから、変な説教をしてくることも無い。

 精霊は、人間よりも何倍も長生きだ。あれこれと説教をしてくるモノも少なくなかった。

 アンナレッタは、説教をしてくる精霊を嫌っていた。


 精霊を持っていなかった頃、アンナレッタに契約を持ちかけて来る精霊は、引っ切り無しに訪れ、説教じみたことを散々言われてきたのだ。

 リカルドを得たことで、チョッカイをかけてくる奴もいなくなるだろう。

 アンナレッタは思った。


「風の騎士というんだ。」


「まぁ!! 風!? 先ほどの強風はアンナ様の仕業でしたの!?」


「相性もバッチリだ!!」


 アンナレッタは謎のピースサイン

 サヤは頭が痛くなってきた。

 姫のこの自信は、どこから来るのだろう。

 サヤは不思議でならなかった。


「風の騎士、中庭の木で休んでくれ。屋敷には入れないんだ」


 <なぁ、さっきの風。お前の魔法か!?>


「私の力でもあるが、お前の力でもあるぞ。どうした? 力を引き出されてる感覚が無かったか!?」


<わからねぇ……俺はどうしちまったんだ……>


「悩まなくても、お前の面倒は私が見てやるから!! 安心しろ」


 アンナレッタは胸を張って言ったが、リカルドはますます不安になった。


「ルースティリア様がお見えですよ、ご挨拶なさいませ。アンナ様」


 サヤが言ってきた。

 ルースティリアは、父の妹で、アンナレッタの叔母に当たる人である。

 ロイル家の人物らしく、銀髪と銀色の瞳の持ち主だった。

 大体、ルースティリアと言う名前自体、銀の姫という意味で、エル・ロイル家に生まれた銀髪と銀色の瞳の女子に神殿が送る名前だった。


 叔母のルースティリアはそれを鼻にかけていた。

 嫁に行ったくせに、当主の不在の時を狙って、里帰りをしてはアンナレッタの外見を馬鹿にしていた。


「また、ドレスを持ちに来たのですか!?」


「うるさいわね!! オチビなアンナ。あなたも大変ね。お義姉様の不貞のせいでそんな姿に生まれて。さぞ、不幸でしょうね!ホホホ」


「父上と母上の婚姻は神殿の決めたことだし、母上の里は建国千五百年のヴァーレンだぞ。この姿はたまたまだ。

 それより、ルースティリアの名を持ちながら、魔法の力が微塵もない方が恥ずかしいぞ」


 その言葉にルースティリアは黙ってしまった。

 10歳にして、大人に嫌味を言えるアンナレッタであった。

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