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アンナレッタ誕生

『これ以上の血族婚は許さぬ』


 ここは、大陸東部の聖地で銀の森というところだ。

 この世界のほとんどの人々が信仰する光の神が鎮座している光の神殿がある。

 冒頭の声は、この神のものだった。

 元精霊族王にして、竜族、精霊たちにも敬われる光の神は、何より人間を愛していた。そして、人間界に干渉して世直しのために時には、人の娘と契ってしまった。


 そうして、神の直系の子孫、エル・ロイル家が出来た。

 神と同じ、銀色の髪と瞳を持ち、神によく似た容貌の美しい子が多く生まれ、神の力を受け継いだ如く魔法の力もあったので、一族はこの血を守るあまり、血族婚を繰り返してきた。


 銀色の髪と瞳を持つ一族は、リドムの銀色の葉が一年中枯れない森を銀の森と呼び、自らは銀の一族を名乗り、神殿の重要な地位を占めてきたのである。

 エル・ロイル家は、特に直系の血筋として大事にされて、代々いとこ婚以上の結婚が当たり前のようになっていた。


 だが、そんな血族婚では、虚弱な子供が生まれることが多い。現当主のアンドレアの兄、アイルトンが、十代半ばで急逝した時に次代の当主に神が命じた言葉だった。


 神官たちは、顔を突き合わせて何日も話し合った。

 虚弱体質な子供の誕生は、確かに多かったのだ。せっかく生まれてきても20歳を迎えることなく逝ってしまっていた。


 分家筋の神官が良いアイデアがあると言った。


「これ以上の血族婚を禁じられるというなら、一層、西域の古王国から王女をもらってくるのはいかがか?」


「それは良い。ならば、一番古い王国のヴァーレンがよかろう」


 こうして、エル・ロイル家の若き当主の結婚相手には、西域のヴァーレン王国からジオレッタ姫を娶ることになったのである。


 金髪に、深い緑色の瞳を持ったジオレッタ姫は、銀の一族の美しさに面食らっていたが、アンドレアの優しさにすぐに打ち解けた。

 二人の仲は睦まじく、婚礼から二年目にジオレッタ姫は懐妊した。

 そして、約10カ月後、ジオレッタ姫は、春の暁に女の子を産んだのである。


 大陸を襲った大災害よりも、前の時代で魔族まだ、世に蔓延っていた時代であった。

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