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転生したけど、ただの高校生やってます  作者: 岸波圭太
転生と、静かな始まり
4/7

普通の学校生活って、意外と難しい?

「普通」って、意外とあいまいで、難しい。

誰かと話すこと、昼ごはんを食べること、名前を覚えること――

前世では当たり前だったことが、今の俺にはひとつひとつが新鮮で、少し怖い。


転生してからの俺は、ただ平凡に暮らしたいと思ってた。

でも、“普通の高校生活”って、こんなにも人と関わることだったんだ。


クラスメイトとの距離、ほのかとの図書室での再会。

何気ない日々の中で、少しずつ何かが変わり始めていた。

第4話:普通の学校生活って、意外と難しい?


「九條くんって、どこの中学だったの?」


昼休み。俺は教室の自分の席で、購買のパンをかじっていた。

声をかけてきたのは、隣の席の男子――藤井だった。髪は短めで、顔立ちは明るく、いかにも人懐っこいタイプだ。


「え、あー……ちょっと、遠くのほう」


そう返すと、藤井は


「へぇー」


と少しだけ首をかしげた。


転生者にとって「過去の学校」は存在しない。書類上は一応「地方から引っ越してきた」ことになっているが、当然、前の友達も思い出もない。

それがこんな場面になると、少しだけ不自然になる。


「てかさ、あんまり話さないよね。友達とか、いるの?」


「……いないな。まだ」


「そっか。じゃ、俺が一人目な」


そう言って笑った藤井に、俺はちょっとだけ救われた気がした。



午後の授業が始まる直前。ふと目が合った前の席の女子生徒が、俺に話しかけた。


「……昨日、図書室にいたよね?」


地味めな見た目だが、声ははっきりしていた。


「ああ、いたかも」


「三浦さんと、話してたの見た」


少しだけ声が刺さる感じがして、俺は言葉を詰まらせた。


「別に、なんかあったとかじゃないよ。ただ……珍しいなって思って」


「珍しい?」


「うん。三浦さんって、誰ともあまり話さないから」


……やっぱり、そうだったのか。

少しだけ、特別なものに触れた気がしていた自分が恥ずかしい。



放課後。

俺はまた図書室に向かった。理由はわからない。けど、体が自然と動いた。


いつもの窓際、ほのかは今日も本を読んでいた。

俺を見ると、ほんの少しだけ口角を上げて


「来たんだね」


と言う。


「学校、慣れた?」


「うーん……“普通”って、案外難しいなって思ってる」


「ふふ、それはきっと、まだ“普通の定義”を知らないだけだよ」


「定義?」


「うん。たとえば、私にとっての“普通”は、“今日も九條くんが来る”ことかもしれないし」


心臓が一瞬だけ跳ねた。

冗談なのか、本気なのか、彼女の目は読み取れない。けど、嫌な感じは全くしなかった。



たぶん、「普通の高校生活」っていうのは、こういう一言や表情の積み重ねなのかもしれない。

そんなふうに思いながら、今日もまた静かな放課後が過ぎていった。



次回予告:

第5話「『三浦さんって、誰かと仲良くなることあるんだ?』」

今回も読んでいただき、ありがとうございました!


第4話では、主人公・九條がようやくクラスメイトと少しずつ会話し始め、「普通の高校生活」の難しさと、あたたかさを実感する回となりました。

転生ものといってもバトルや魔法は一切なし。そのぶん、日常の“間”や“会話の温度”を丁寧に描くことを意識しています。


三浦ほのかの何気ない一言や表情に、主人公が少し揺れ始めているところにも注目してもらえたら嬉しいです。


次回は、ほのかの過去や“ある噂”が、九條の耳に入ってきます。

ゆっくりと、でも確かに二人の距離が動いていきます。どうぞお楽しみに。

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