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第95話〜お手柔らかに〜

初めての霧香視点です!


ようやく霧香の本心も見える内容になっているので

きっと彼女のことが好きになるはず…!

「あ゙ぁ゙……お姉様ぁ……。」


ペアが発表された後、

私はお姉様と離れ離れになった悲しさから

ゾンビのように床へ這いつくばった。

 

「がぁう〜」

 

そんな私を、虎太郎がツンツンとつついている。


「もう皆始めてるっすよ。俺らもやりましょ。」


時間はあっという間に過ぎるんですからと言って、

米丸さんは床に倒れている私を起こした。


「私、体術とかやった事ないので

お手柔らかにお願いします……。」


渋々と起き上がった私は、衣服に付いたホコリを払って

優しく扱ってくださいと申し出た。


「甲冑は鉄で出来てるんで柔らかくできないっすよ。」


何言ってんだコイツみたいな顔したフルフェイスマスクで

私を見るな。


お前が何言ってんだ。


「……そういう意味じゃ……。」


意味を履き違われてるなと思ったが、私は貧弱。

 

普通の人なら簡単に言えるようなことも

喉の奥にグッとしまい込んでしまう。


引きこもっているせいだろうか?

いつの間にか、日常の何気ない会話を避けてしまうような

癖がついてしまった。


いや、でも親しい相手にはちゃんと話せるし

生活だって、難なく暮らせてはいる。

現実でも。ここでも。


まぁ……ここでの暮らしは、

大半お姉様のおかげだけど……。


「女の子相手に、苺乃さんみたいな実践は

流石に俺の心がキツイので教授という形でいいっすか?」


すみませんと頭を下げる米丸さん。


だか、それは貧弱な私にとっては大チャンスであった。


「いえ!大丈夫です!それでいきましょう!!」

「え。」


急に大きな声を出しやる気になった私を見た米丸さんは

ちょっと引いていた。


「それじゃあ、まずは敵と対面した時。」


米丸さんは私の横に立ち、右足を前にして

正面から身体の軸が斜めになるように、

足を肩幅に広げた。


「足はどっちを前にしても良いっす。」


この立ち方……なんか……あれに似てるような……

あれ、なんて言うんだっけ。


えっと……確か


「これ、野球でばっ」

「バッターボックス!!」


思い出した私は、米丸さんの説明に

馬鹿でかい声で言葉を被せた。


「そ、それっす。」


あぁ、やってしまった。


きっと今…この女、感情の波が分からないとか

声張る時、無駄にデカイとか思ってるんだろうな……。


そんなの自分が1番分かってるよっ!!!

うるせぇ!黙れ!!


あぁ!もう!

負の思考プンプンなイマジナリー霧香出てくんな!!


「あの……続きいいっすか?」


自身の世界に入り込む私を止めるように、

米丸さんは困ったように声をかけた。


「すみません……ホント変な奴ですみません。」

「いや、無問題(もうまんたい)っす。」


彼の広く優しい心のおかげで、私の奇行も許される。


「それで、その……これは、霧香さんが言った通り

バッターボックスに打者が立つ時の足の構えなんすけど、

これ戦闘にも使えるんすよ。」


昔、野球やっててと話す米丸さん。

 

「1番重心が取りやすく、かつ後ろ足をコンパスのように

軸にすれば全方向にも素早く対処出来るっす。」


なるほど……。


試しに足を肩幅に開き、右足を前にして左足を軸に

くるりと回る。


「がぁ〜。」


私の真似をして、虎太郎もくるりと回った。

 

なんて可愛い小さき生き物……。


「確かに…思ってたより動きやすいです。」


「でしょ?姿勢が整っていると、その分

思考も冷静に働いてくれるんすよ。」


体術の基本は相手に対する心構えだと米丸さんは言った。


「姿勢が整うと思考も整う……

なんかめっちゃそれっぽいですね。」


彼とは今までお姉様経由でたまに

一言二言会話するレベルの関係だった。

 

こうしてまた、お姉様が誘ったギルド対抗戦をきっかけに

会話が生まれるとは思ってもいなかった。


なんだか今まで接点がそんなにない故に、

ぎこちない雰囲気だったけど……向き合ってみると

意外と喋れる相手なのかもしれない……なんて思った。


うつつさんとも最近話せるようになったわけだし……

これは藍羽霧香、成長しているのでは……?!


それに…今日、久しぶりにお外にも出れた!

偉いぞ私!


「体勢を整えた次、霧香さんはどうしますか?」


守りに入るのか、自ら仕掛けるか、それとも逃げるのか。


「え、逃げ一択ですが。」

「言うと思いました。」


な ん で わ か る ん だ よ 。


「まぁ……6割は逃げていいっす。

でも、残りの4割は相手に歯向かう意思がないと

逃げてもやられます。」


中々難しい問題……。


「歯向かうってどうすれば……?」

「簡単っすよ。誰でもできます。」

「がぅ!」


自信満々に答える米丸さんに、

尻尾をフリフリと振る虎太郎。


くっ……可愛いじゃねぇか……虎太郎……。


「相手を挑発するんよ。」


さっき言ったっすよね?と米丸さんは話を続けた。


「姿勢が整うと思考も整う。

じゃあ、逆に思考を乱すと……?」


米丸さんは、私を挑発するように

虎太郎と同じくお尻をフリフリと振っている。


くっ……可愛くない……っ!!


カシャ__


そう私が思った隙に、米丸さんは距離を縮め

私の顔の前に拳を置いた。


「……っ。」


その一瞬の動きに私は固まってしまう。

 

これが魔物の攻撃なら、私は即死だ。

大して動いてもいないのに、頬に汗が伝った。


「これが挑発のメリット。」


思考を乱すと、相手は崩れる。

 

精神が強いお姉様やAYAKASHIみたいな

一部の猛者達には通用しないが、大半の人や

感情の波が強い魔物には効果が抜群だと

米丸さんはその拳を下ろして私に伝えた。


「かなうさんが体術訓練やらせるってことは正直、

対抗戦はバチバチに殺り合う対人戦も濃厚っすよ。」


対人戦……こわひぃ……。

そんな弱気な私に、お構い無しな米丸さん。


力で足りない部分は策で埋めましょうと

私に向かって拳を差し出した。


……これは、グータッチしろってことだろうか?

 

その拳に自身の拳を合わせる。


ガンッ__


「いったぁ……!!」


鉄で出来た甲冑の拳は、やはり柔らかくは無かった。

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