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第86話〜逃した魚は大きい〜

人魚の髪の中に紛れた赤い触手が、うねうねと伸び

私達の首に絡まり締め付ける。


「ゔっ……」


苦しい……!!


私は絡まる触手を両手で掴み、藻掻く。


「……く……そ……!!」


()(ほど)こうとするもビクともしない。



「っあ……ゔ」

 

私の隣では白目を剥き始めるわっさん。

このままではマズい。


「フリ……ク……っ!!!」


締まる喉から声を振り絞り、仮想ボックスへしまっていた

大剣フリークを取り出した。


シュッシュッ__


その剣を手にした私は、自身とわっさんの

首を絞めていた触手を切り捌いた。


職業変換(モード・チェンジ)!!」

 

ザシュッ__

 

米丸も同じくステッキを剣に変え、

自身の首を絞めていた触手を切った。


「っはぁ……ゴホッ……」


締め付けからの解放に、咳が零れる。


「カハッ……ッハ……。」


わっさんが泡を吹いた。


「おい、大丈夫か……?!」


わっさんの呼吸を正すように、

私はトントンと心臓マッサージをする。


「不味いっすよ、かなうさん。」


目の前の人魚は、セレナーデ海岸のフィールドランクに

見合ったレベルじゃないと米丸は言った。


共闘クエストとはいえ、確かにコイツは

S級以上の強さがある。


それは、さっきの一撃で私も感じ取った。


「〜♪"〜♪"」


歪な歌を歌う人魚。


生前と変わらず綺麗な声なのは変わりないが

その歌は、歪み醜いものであった。


目の前の彼女はもう舞依ちゃんではない。

彼女の魂にはわっさんのような自我は見えない。


「一時退散しよう。」

 

私は、わっさんを抱きしめ転移魔法を呼び出した。


「その方が良さそうっすね。」


米丸も同意見のようだった。


私は、米丸へ手を差し出した。

 

その手をが握られたのを確認すると、

私は米丸を転移ゲートへと引き摺り込んだ。



♢集会所・外__


「危なかったっすね。」


集会所の外へ戻ってきた私達。


「セレナーデ海岸は一時禁止区域で

立ち入り塞いだ方が良さそうだな。」


「そうっすね。」


項垂れているわっさんの頭を私は撫でた。


ごめん……連れてくるべきじゃなかった。


「かなう……。」


私の心の声が聞こえたのか、わっさんが口を開いた。


「心配することは無い。俺は魔物だ。

もう死んでるも同然……お前達が無事で何よりだ。」


私と米丸が生きていて良かったと

わっさんは涙を流した。


「わっさん……。」


貰い泣きするところだった。


そうだ、わっさんだって魔物。

他の魔物達と同じく倒されてもまた蘇る。


死んでも死ねない存在。

だからこそ、自分は後回しで大丈夫だと

言ってくれて居るのだろう。


「お前達は違う。生きている。」


その命を守るために、役に立たなくても

俺はかなうの後ろを着いているんだと、

わっさんは言った。


「……うぅ。」


泣かせるなよ。アホのくせに。


「かなうさん、今こそハンカチ使うべきっすよ。」

「そうだなっ……ぅ」


私は、ハンカチを取り出して涙を拭った。


「復活。」

「切り替え早っ。」


米丸が猛スピードでツッコんだ。


「いつまでもウジウジして居られないからな。」


この切り替えの速さこそが私の良いところでもあろう。


さて、ここからどうしようか。

ラミちゃんには、調査の結果を連絡入れておくとして……


「グラさんか……。」


連れ去られた彼女の行方を追わなくてはならない。


「そうっすね。なんか怪しいとことかないっすか?」

「怪しいと言えばまさにこの集会所とか……」


でも、黒幕はこんな誰でも入れる身近な場所に

拠点を置くほど頭の悪い奴ではないだろう。


「調べ甲斐がありそうなのは12区か。」

 

12区は、主に研究・開発エリア。

システム管理局やAI開発研究所……

それから錬金塔なんて施設もある。

 

ただし、特定の人物しか出入りできない区域だ。


連れていくとしたらそこだろうな……。


「権限なきゃ入れないっすよね?」

「ああ。入れないよ。」


もちろん私も入れない。


「味方を作るんだよ。」


今回の誘拐事件がなくても

これは元から私が計画しようとしていたこと。


「ギルド対抗戦はただの金目当てじゃない。」

「……!!」


私のその一言で、米丸は気付いたようだった。


彼もまたこのゲームの裏側を知っている人物のうちの1人。

だからこそこうして探偵事務所の仲間として

私に協力してくれる。


その他にも助けられた恩があるとか言っていたけど、

生憎私の記憶に甲冑野郎を救った覚えは無い。

人違いでは無いだろうかと思う。


「ギルド対抗戦は、誰が味方か敵か見つける

特大イベントにもなる。」


私は話を進めた。


こちらから仕掛ければ、黒幕は必ずそれに乗る。

 

舞依の事件で私を排除しようとしたんだ。

ギルド対抗戦なんて乱闘も入り交じる大会では

私を殺す絶好のチャンスだろう。


わっさんには心配されるだろうが、ここでやらなきゃ

救えない命だって生まれてくる。


私がやるしかないんだ。


「私達が参加を決めてから、AYAKASHIのように

参加を決めているギルドがあるはずだ。」


それをココロに解析してもらい、的を絞る。


「この前招集した時にピックアップした3チームは

特に見極めが必要だね。」


紫雨はただの私情だから、考えから除いて良さそう。

ただし、私達を邪魔してくるのは確実にAYAKASHIであり

厄介者なのは変わりない。


アイツらと組めたら確かにデカかったけど、

そうも上手くいかないのが現実。


逃した魚は大きかったってわけか……。


私は、素直になれない自分に腹が立ち

唇を噛み締めた。

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