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第84話〜空間移動〜


幼稚魚(チョピィ)を一掃した後、私達は海辺を調べた。


「なんも無いっすよー。」


本当に何も無いのだろうか。

いや、彼女は確かにここにいたのだ。


「何してんの、わっさん。」


探索に疲れたのか、わっさんは砂のお城を作り始めた。


「人間の遊びを真似してみた。」


意外と楽しいと、黙々作っている。


「全く……呑気な野郎だな。」


マイペースな相棒に呆れながらも、

私は、その様子をじっと見つめていた。


サッサッ__


わっさんが後ろ足で砂を掘った時、

私は妙な物を見つけた。


「わっさん、待て。」


私は手を前に出し、わっさんへ止まるよう呼びかけた。


「なんか見つけました?」


米丸にも聞こえたのか、カシャカシャと

甲冑の金属がぶつかる音を奏でながら私の元へ来た。

 

「そのまま動くなよ。」

 

私はわっさんに近付き、そのまま持ち上げた。


「な、なんだ?」


急に抱き抱えられて驚くわっさんだが、

私の視線は相棒ではなく砂の方へ向けていた。


「……。」


わっさんが掘っていたところの砂の表面を

サッサっと軽く払う。


「こ、これ……!」

それを見た米丸が動揺した。


彼が驚くのも分かる。


「あぁ。これは血だね。」


血の着いた砂が綺麗な砂で隠されていたのだ。


わっさんが砂遊びでもしなければ

私達は、気づかなかっただろう。



血が染み込んだ砂は、まだ僅かに湿っている。

本当についさっきの出来事だったんだ。


「恐らくグラさんので間違いない。」


「そんな……。」


真実という名のバターを塗ったトーストに

嘘という名のジャムを塗りまぜ完成したものを

この世界の芸術とでも称するべきだろうか。


この世界は完璧な芸術を求める為ならば

嘘も闇も厭わない。


それが隠れた暗黙のルールであり、

操作している人はそれを完璧に見せるのが上手すぎる。


恐らく凶器も海へ投げ込んだだろう。


「無事なんすか……?」

「分からない……でも、連れ去られたと考えて

良さそうだね。」


一体、何の目的があって彼女を連れ去ったんだ……?


ここへ来たグラさんは

私に何を伝えたかったんだろうか。


一度考え出すとキリがない、

私の悪い癖が出てしまっている。

このまま、ここでボーッと突っ立ってる訳にもいかない。


私は、焦る思考を落ち着かせるために一呼吸した。


「そういえばまだクエストの(おさ)に会ってないよな。」

「確かに……?まだ人魚に会ってませんね。」


そう。

クエストタイトルにもなっているというのに

その、肝心の人魚の姿が見当たらないのだ。


「なぁ…グラさんだったらこのフィールドで

どんな行動とると思う?」


「え、難しいっすね。」


難しいと言いつつも真剣に考える米丸。


「エンジニアって錬金術系っすよね。

あんま接近戦はしないかと。」


私と米丸の回答は一致した。


日頃色んなメカを作ってる彼女だ。

それを使って、攻撃したり索敵したと考えるのが

妥当だろう。


「となると、真実は……やはり海の中か。」


ほんの少しだけ聞こえた通話は、

確かに海中ではなかった。静かな波の音だけ。


まさに今、私達が立っているこの場所で通話をかけて

何者かに襲われたと考えて良さそう。


他の参加者とクエストを共闘している中、

グラさん以外の強制帰還がされた。


ルミちゃんの話が本当なら、

グラさんが突然1人になるという状況になったはず。


転移魔法が使えない彼女は、

クエストをクリアしなければ帰れない。


そして彼女は、海の中にいる"人魚"を見つけたんだ。


「君マジシャンでしょ。

なんか海の中で使える技とかない?」


こう、息継ぎしなくても海に入れるような

取っておきのマジックが無いかと私は聞いた。


「えぇ……あったかな。」


そう言って、私の無茶ぶりに対しても

素直に受け止め考える米丸。


(たい)したやつだよ。


「海の中でと言うよりかは……

俺の視界に入る対象物の空間移動とかなら。」

「まじかよ。」


とんでもなく凄い事をサラッと発言する米丸。


つまりそれって、瞬間移動とかも

できるってことじゃんね?!


「試しに、わっさんのお城移動させてみてよ。」

「え゙っ……」


私の人の心も無い発言に、

わっさんは「頑張ったのに」と肩を落とした。


そんな自信ありげに城を見せびらかすわっさんだが

出来上がったものはお城と言うよりは、

犬小屋に近かった……。


流石、犬……。


「いいっすよ。流星の瞬き(トリック・ポート)!!」


二つ返事で米丸が空間移動の術を唱えると、

目の前にあったわっさん作のお城の姿が消えた。


「俺の城……。」


ペタンと倒れ込むわっさん。


ごめんね……目の前に、物体として分かりやすいものが

それしか無かったから……。


「城はどこいったんだ?」


空間移動ということは、どこか別の場所へ

テレポートしているはず。


私は米丸にその場所を聞いた。


「あぁ、テレポートする場所は

俺が次に見た視線の先なので…あそこに。」


意外にも近くにあった砂の城。


「俺の城ー!!」


嬉しくなっちゃったのか

わふわふとわっさんは城に向かって走っていく。


がしかし、加速し過ぎて自分で城を壊してしまった。


「アホすぎる…。」

「あぁ、アホだよ。」


トボトボとこちらに戻ってくる様子のわっさんを尻目に

私と米丸は会話を続ける。


「そのテレポート技を使って

この海を空へ浮かせること出来ないかな。」


「大胆なこと考えますね。

……でも、そういうの嫌いじゃないっす。」


なんだよツンデレかぁ?


いや、まぁ……自分でもかなり

イカれてる作戦だとは思ったけどさ。


砂浜側に海水を移動すれば

そのまま自分達が飲まれるし……。


次に見た視線の先ということは、

空に浮かせることも可能ってことだと考えた。


「重力に逆らえなくなって落ちてくると思いますけど、

数秒は浮かせられるかも。」


その()()だけでいい。


海の底に答えがあるのなら、

グラさんの知った真実に近づける。


「やってみますか。」


私は、戻ってきたわっさんを拾い上げ

海を眺めた。


流星の瞬き(トリック・ポート)……っ!!!!」


ザパァァッ!!!!!!!!


空へ向かって高く上がっていく海水。

 

水の塊は次第に、1箇所に集まり

巨大ビー玉のような形になる。


「かなうさん!!上じゃなくて下見て!!下!!」


そうだった。私が見るべきものは

空に浮かんだ海水ではなく海底だ。


「……っ!!!!」


そう思って視線を下げて見えた海の底には、

赤い鰭の人魚が一体だけ


生気を失った姿で横たわっていた。

すみません、めっちゃ寝ぼけながら予約投稿設定していたので、20日投稿のものを19日にそのまま投稿してしまいました( ; ; )


そのため、次回85話更新は月曜18時とさせていただきます。

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