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現実的ファンタジア〜綺麗で完璧な世界で、私たちは闇と向き合う〜  作者: KAИАU
第3章【新しい物語を紡ぐ"役者"は揃った】
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第78話〜お揃い〜

コンコン__


私は、霧香さんの部屋の扉をノックした。


ガチャ__


「あ、あの……!これ…。」


顔を出した霧香さんに、私は

借りていたタブレットと買ってきた

ブレスレットを渡した。


「ありがとうございます……!」


受け取ってくれた彼女になんだか少しホッとした。


「かなうさんが全持ちしてくれるみたいなので、

お代は大丈夫です。」


壊れたらまた私が買いに行くので教えてくださいと

霧香さんに言って、部屋を離れようとした。


「あ、待ってください!!」


霧香さんが私の腕を掴み、引き止めた。


「あの、良ければ……一緒に勉強しませんか?」


彼女の部屋の机がチラリと見えた。

配信機材に囲まれた中心に本が1冊。


それは、かなうさんが私にもくれた

【誰でも使える!簡単な魔法!】という魔法書。


「1人じゃ試せない魔法もあるので

……嫌じゃなければ…。」


あまりこういうのには慣れていないのだろう

控えめに霧香さんが誘う。


「ぜひ……!!私で良いのなら!」


突然の霧香さんのお誘いに嬉しくなり

私は2つ返事で返した。


「あれ、そういえばレフは……?」


いつも霧香さんと一緒にいるレフの姿が見当たらない。


「あぁ……レフは、今日から

実家に帰省すると言ってたので

暫くは帰ってこないかと思います。」


「実家?!」


魔物にも実家という概念があるのか……。


「あ、別に魔物の家族のところへ

帰ったわけではないですよ。」


あ、そうなんだ。


「そもそも魔物には人間のように、家族とか

恋人みたいな関係の生態系はないですし。」


「そうですよね……。」


あったらあったで気にはなるけども。


「レフは元々別の方が飼っていた魔物だったんです。」


霧香さんは、このゲームを始めて間もない頃

採取クエストに参加していたら迷子になってしまい、

同じく迷子のレフを見つけたのだと言う。


そして、その頃からレフや他の魔物の声も

霧香さんに聞こえていたらしい。


「集会所に届け出たんですけど、飼い主が見つかる前に

色々と手続きが進み……いつの間にか自分は

魔獣使いになっていました……。」


そうやって職業がわかるパターンもあるのかと、

私は霧香さんの話を聞きながら、勉強のお供にと

事務所のキッチンを使ってお茶を用意する。


「結局飼い主も見つかったんですが、

レフが私を気に入ってたせいか譲ってくださって。」

 

「じゃあ、レフは今その飼い主さんのところへ

帰っているってことですか?」


ピーッ__


お湯が湧き、ポットが悲鳴をあげる。


私は、ポットの電源を落とし

紅茶のティーバッグが入ったカップにお湯を注いだ。


「はい。毎年この時期になると

2週間くらい私の元を離れるんです。」


やっぱり前の飼い主のこともレフは好きみたいで。

と霧香さんは微笑ましそうに顔を緩めた。


「でも、魔物が一人で街を歩いていたら

騒ぎになったり、連れ去られたりしませんか……?」


私だってわっさんと初めて会った時はかなり驚いた。

喋れるし余計に……。


「それは……多分大丈夫です。

レフは透明化出来る魔法が使えるので。」


「それなら大丈夫か。」


私は、霧香さんの前に紅茶を出した。



「ありがとうございます……!」


良い香りですねと彼女は喜んでくれた。


今では私の前でも色々話してくれたり

笑ってくれるようになった霧香さん。


かなうさんの言う通り、徐々に心を開くタイプだった。


「それより、レフの心配よりも……」


「私達は、基礎魔法の心配をした方が良さそうですね。」


タイトルに書いてあることは優しいのに、

厚みのせいか異様な圧をただ寄らせる魔法書。


「これ、かなりありますよね……。」


基礎魔法だけでも全部で500くらいはありそうだ。


「これを全部覚えろと……?」


かなうさん、あまりにも無茶すぎますって。


「新しい魔法覚える度に、最初に覚えたものから

どんどん記憶から消えそうですね。」


霧香さんがペラペラと魔法書を捲り、頭を抱えた。


言うて大半はしょうもない魔法な気もするし……

何せ、500もの魔法を試すとなると

ブレスレットも持たないだろう……。

 

何か良い方法ないかな。


「あ。」

「どうしました?」


私が思い出したかのように声を漏らすと、

霧香さんが顔を覗き込むように、どうしたのかと聞いた。


「良い方法思いつきました!」


これなら上手くいくのでは……!!


「ココロです!ココロを頼りましょう!」


かなうさんがココロに対抗戦のファイルを

読ませていたのと同じように、魔法書を読ませて

使える魔法を絞ってもらおうと考えた。


それでも数が多ければ、霧香さんと手分けして覚えたい。

 

代わりに対抗戦では、一緒に行動した方が

良さそうだけど……。


「それいいですね…!」


「え、本当に大丈夫ですか?」


私の案に乗る霧香さんに呆気にとられてしまった。


そんな軽く決まるとは思ってなかったから。


「私、ルールで魔物が使えなかった時が致命的なので……

誰かと一緒にいれたら安心できるなって。」


「霧香さん……!」


一緒に頑張りましょうと霧香さんと固い握手を交わした。


「ココロ呼んできます!」

「私も、紙とペン用意しておきます!」


私達は、お揃いに敬礼をし

基礎魔法を覚える準備を進めた。


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