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現実的ファンタジア〜綺麗で完璧な世界で、私たちは闇と向き合う〜  作者: KAИАU
第3章【新しい物語を紡ぐ"役者"は揃った】
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第71話〜日常に溶け込む〜

どんな物語でも必ず最後はある。


長かった怨霊クエストも終わり、

私達はアトリエへと帰ってきた。


「まさか、序盤で手に入れた

お宝のカギが556を制御する鍵だったとはな。」


人形を倒したあと、【心中を止めなければ救いは無い】

というミッションがスマホに追加された。

 

その答えが556であることを知っていた私達は、

残り少ない魔力のかなうさんにキョンシーを

捕縛してもらい、556を調べた。


彼の首の後ろに隠れていた小さな鍵穴に

あの"お宝のカギ"を刺し、無事クエストクリアまで

辿り着けたという……。


今日一日で体も頭も使って疲れたなぁ。



しかし、拠点へ戻っても

落ち着けない理由がそこにはあった。


「当たり前のように居座ってるんですけど

なんで居るんですか???」



〈ガーン……ババヒキマシタ。〉

「うぇーい!556よっわ!!」

「どんまい!!」

 

かなうさんと実くんと一緒にトランプで遊んでいる556。


「ワンチャン連れて帰れないかなって思ったら

まさかの。」


持ち帰れちゃったと言うかなうさん。


「安心して。この後グラさんにちゃんと

診てもらうから。」

「診てもらうって病院かよ。」


でもまぁ……グラさんに診て貰えるなら安心かな。

また暴走するかもしれないし。


「というか、どこに置くつもりですか?」

「リビングでいいんじゃね?」


そんな適当で良いのか……。


「アトリエの店番も代わりにやってくれそうだし、

鍛えたらわっさんより使えるぞコイツ。」

 

「ガーン……。オレ、使えない……。」

「あー!!僕のおやつがー!!」

 

実くんが握ったおにぎりを盗み食いしていたわっさんが、

顔周りに米粒を沢山付けて白目をむいた。


ピンポーン__


そんな空気を変えるようにインターホンが鳴った。


「グラさんか?来るの速ぇ〜」


そう言いながら、かなうさんが立ち上がって

モニターを確認しに行った。


「チッ……。」


え?舌打ち?


かなうさんがグラさんに舌打ちするとは思えず、

気になって私もモニターを確認しに行く。


「あぁ…。」


なるほど……。確認して納得した。


「おい、実。なんで紫雨が来てるんだ??

お前呼んだ??」


かなうさんは不機嫌になりながら、実くんに問い詰めた。


〈ムラサメ……?ミノルノ、トモダチデスカ?〉

 

556は、重い空気なんてお構い無しに

トランプをかき集めながらマイペースに話す。


「かなねぇごめんー!!

ギルド対抗戦のことチャットに送っちゃったから……。」


そういえばクエストに行く前に一度は止めたものの、

かなうさんが見てないところでやってたな……。

私は見てたぞ。


それにしてもタイミングが完璧な気はする。

 

1、2時間くらい私達はアトリエを離れて

クエストに参加していたのだから。


「たまたまだろ。コイツの顔見てみろよ。寝起きだぞ。」


私の表情から思考を読んだかなうさんが、

紫雨さんの完璧過ぎたタイミングを

ただのまぐれだと言った。


「うーん。前髪で顔分からないんですが…。」

「まぁ、言えてる。」


長い付き合いだからこそ分かるってやつか……。

それでいて、かなうさんが紫雨さんを避ける意味が

本当に謎である。



「出なくて良いんですか?」


モニターをずっと眺めているかなうさん。


「反応しなければ諦めて帰るかなって。」

「配達員ならそれキレてますよ。」


家にいるのに出たくない、めんどくさいからを理由に

不在を装うあれ……本当に意味がわからない。


ピンポーン__


2回目のチャイム


「出てあげたらどうですか?」

「この部屋の男女比率で、男の方が高くなるの嫌。」

「クッソしょうもないですよそれ!!!」


何を言ってるんだこの人は。

それなら556連れてこなければ良かったのに……。


実くんと二人でババ抜きし始める556。

にこにこと笑っているその様子は、知らない人が

遠くから見たら人間と見間違えそうだ。


てか、実くんも実くんで紫雨さんのことスルーなんだ…。

とことん不憫なAYAKASHIのリーダーさんだなぁ。

 


ピンポーン__


3回目のチャイム


「あれ……?グラさん来ましたよ。」

「開けるかぁ。」

 

アトリエの入口でぼーっと突っ立ってる紫雨さんに

到着したグラさんも驚いている。


見慣れない紫雨さんのローテーションに少し心配になる。


解錠魔法(アンロック)。グラさん開けたよー。」


ようやく鍵を開けたかなうさんは、

モニターの通話スピーカーを使って

グラさんに声をかけた。


「ありがとー。この人はどうしたん?

なんかいつものテンションと違うように見えるけど。」

「あー、実のせい。2階に連れてきていいよ。」

「了解ー。」


私は聞いた。聞きましたよ!!!


かなうさん、すべての責任を12歳の少年に

押し付けやがった……!!なんて大人気(おとなげ)ない!!!


「おじゃましまーす。」


玄関からグラさんの声が聞こえてきた。


「鍵は私が閉めとくから、お先にリビングどうぞ。」

「ありがと〜。」


よいしょよいしょと、

グラさんが紫雨さんの背中を押してリビングへと向かう。


「元気なさそうですけど、大丈夫なんですか?」


一言も発さない紫雨さんが気になりすぎて

私は鍵をかけるかなうさんにコソッと耳打ちした。

 

「アイツの寝起きあんな感じ。

数分したらいつものように五月蝿くなるよ。」


大丈夫だと言うかなうさん。

 

「まるでかなうさんと瓜二つじゃないですか。」

「一緒にするな!!!」


かなうさんも寝起き大分悪いけどなぁ……。

 

なんて、言ったところで直る見込みは無さそうなので

黙って彼女をじっと見つめた。

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