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現実的ファンタジア〜綺麗で完璧な世界で、私たちは闇と向き合う〜  作者: KAИАU
第3章【新しい物語を紡ぐ"役者"は揃った】
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第69話〜とある舘の摩訶不思議⑫〜

蓄音機にセットしたレコードが回転する。



「流すぞ。」


かなうさんが、回転したレコードの上に針を置くと

何やら楽しそうな声が流れ始めた。



《メリークリスマス!!》


カンッ__


グラスのぶつかり合う音が響いた。


《お食事の前に、愛する貴方達へ

プレゼントを渡さなきゃね。》

《僕もう高校生だよ?いらないよ。》

《ぼ……私も!もう子供じゃないもん。》


蓄音機から流れ出したそれは、

クリスマスパーティをする家族の会話のようだった。


「誰が録音したのかは知らないが、

楽しい思い出を残したかったんだろうね。」


かなうさんは、少し寂しそうに言った。


《分かりました。それでは、私からのプレゼントは

今年で最後にしましょう。》


そう言った女の人…この舘の奥さんは

子供達へプレゼントを渡した。


《ありがとう。》


長男はありがとうと言うと

ガサゴソとプレゼントの包みを剥がした。


《ロザリオだなんてセンス良いね。》

《ええ。そのネックレス貴方が好きだと思って。》


奥さんは自分の子供が信仰心に目覚めていたことを

知っていたのだろうか…?


良く聞こえはしないが、

長男が何かブツブツと念じ始めた。


まぁ……この様子じゃ、知ろうとしなくても

知ってしまうなんて事もあるのか……。


《お母様、これは……?》

 

弟の方も包みを剥がし、中身を尋ねた。


《フランス人形よ。可愛らしいでしょ。》


フランス人形……。


《う…うん。可愛いよ。》

《名前は、メイとかどうかしら?》

《メイ……うん。そうします。》


好きなものを手に入れた長男とは違い、

母親の好みを押し付けられる弟。


こんな状況で、何も口出しをしない父親。

この時点でもうこの家族は終わっていたのかもしれない。



《奥様、料理が冷めてしまいます。

そろそろ召し上がってはいかがでしょう?》


気を利かせたメイドが奥さんに話しかけた。


《そうだぞ!温かいうちにいただこう。》


ここでやっと旦那さんが口を開く。


音声だけなのに、メイドさんと旦那さんが

微笑み合っている様子が頭に浮かんでくる。


なんだか複雑だ。


《デザートにケーキもありますからね。

クリスマスケーキは"サキ様"が作られたんですよ。》

《う、うん。お母様も喜ぶと思って…。》

《そうなの?嬉しいわ。》


サキとは、どうやら弟の名前のよう。

 

それは、生まれた時からずっと

女の子として育てられてきたことが分かる証だった。


《ケーキ、皆で一緒に食べたいな……。》


その皆と言うのは、メイドさんも含まれていた。


《そうね。貴方もクリスマスくらいは一緒に

食事をしましょう。私達家族でしょう。》

《そうですね……では、お言葉に甘えて。》

《私、ケーキ持ってきます……!!》


そこでレコードは止まった。


「ここまでか……。焦らすなぁ。」

「まだ開いてない部屋あるもん!」


もう答えが見えているかなうさんからしたら

もどかしいし、早く終わらせたいのだろう。


このレコードはあくまでも、実くんの言う

"開いてない部屋"を開けるためのヒントでしか無かった。


「戻るか……と言いたいところだけど、どうする?

私魔力枯渇してて、雷縛輪(スパーク・ヘイロー)でキョンシーの

足止めするの厳しいかも。」


「味噌も食い荒らされたみたいですしね……。」


この部屋に味噌を置いていたら

閉じ込めておいたキョンシー達に食べられてしまった。


よくあんな腐敗したものが食えるなと……。


「556使えないかな?」


何故か556にキョンシーが群がっていたと

実くんが言った。


「あぁ……(じつ)は。」


初代の後に次々と舘に訪れた家族は556に殺されていて

その魂が、あのキョンシーに宿っていると

かなうさんが言った。


「つまり、あのキョンシーも地縛霊だな。」

 

自分を殺した相手だからこそ、

群がって食い殺そうとしているのか。


しかし、556はAIだ。

キョンシーの攻撃は効かないだろう。


「そういうことだったんですね……。」


徐々に埋まっていく物語のピース。


「今も群がってるから、パパッと2階に行こう!」

「そうだな。一家心中の犯人に会わせてやるって言った

556には申し訳ないけど……。」


そして私達は再び息を止めてリビングを出た。


〈アハハ!ヤメテクダサイ!〉


廊下へ出ると未だに擽りと勘違いし、

転げ回っている556。


流石AIと言ったところか……。

 

「556ごめん……!」

 

私は彼にそう言葉をかけて、2階へと向かった。


「アルファベット3文字……。」


中央の弟の部屋の前で、ダイヤルキーを

カチャカチャといじる実くんとかなうさん。


「レコードがヒントだとしたらクリスマスとか?

Xmas!!どうかな?」

「馬鹿っ!Xmasは4文字だ!」


あ、そっかと頭をコツンと拳で叩き、舌を出す実くん。


「じゃあケーキ?」

「ケーキもアルファベットにしたら4文字だ。

さては(みのる)、英語は苦手だな?」


ケーキは、CAKEだもんね……。


かなうさんは実くんを睨んだ。


「さ、さぁ。どうだろうね〜。」


勉強が出来ると言ってた手前、誤魔化す実くん。

 

とは言っても、彼もまだ中学1年生。

英語も習い始めだろう。


代わりに私がレコードの内容を思い出しながら答える。

 

「かなうさん!人形の名前とかは?!」


確か……メイだっけ。


「MAYで開かないかな……?」


カチャカチャとダイヤルを合わせるかなうさん。


ガチャ__


「うつつ、ビンゴだ。」


開けた部屋の中には、あのフランス人形の魔物が

こちらを見て笑っていた。


 

イヒッ……ヒヒヒッ……

 


「え……生きてたの……?」


最初に倒したはずの魔物が動いているのは

少し恐怖に近かった。


「気を抜くな。まだ終わってないからな。」


援護頼んだと、かなうさんは小さなフランス人形の魔物に

大きな剣を突き刺した。

本日、Xに四コマ漫画の第3話もアップしております!

ぜひ小説と併せて楽しんでいただけると嬉しいです!

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