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現実的ファンタジア〜綺麗で完璧な世界で、私たちは闇と向き合う〜  作者: KAИАU
第3章【新しい物語を紡ぐ"役者"は揃った】
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第62話〜とある舘の摩訶不思議⑤〜

ジリリリリリ__


「ッピ!!…あ゙ぁ゙あっ!もう!!!」


不意打ちだった黒電話の音に、

「ッピ」とかいう聞いた事のない悲鳴が

かなうさんから漏れる。


「ッピ…ってなんだよ!!ッピって!」


当の本人も地団駄を踏みながら、自分にツッコんでいる。



ジリリリリリ__

 

リビング手前の廊下で鳴り続ける黒電話。


「うるさいし、僕電話出るよ!」


実くんが、階段を下りて一足先に電話へと向かう。

 

「それなら私も一緒に行きますよ。」


私のその一言で慌てるかなうさん。

 

「ちょっ!待って待って、私を置いて行くなっ…!

1人にするなぁ〜っ!!!」

 

階段を半分まで上っていた私達は

結局、全員階段を下りて電話に出ることにした。


《エクセレ〜〜ントっ♪

ここまで辿り着いた貴方達は素晴らしい!!》


受話器から流れてくる可愛らしい声。


「この声……フランス人形の……?」


映像で見たフランス人形の声とよく似ていた。


《そんな素晴らしい貴方達には、

"とぉ〜っておき"のプレゼントを渡さなきゃね♪》


プレゼント……変なものじゃないといいけど。


《この電話が置かれてる、テーブルの裏を見てね!》


実くんが、しゃがんでテーブルの裏を覗いた。


「なんかあるよ……!!」


《じゃじゃ〜ん♪

うっかりなメイドさんが落とした日記だよ〜♪》


なぜこんなところに……?


机の下にガムテープで固定されている日記。

 

こんなの、意図的に隠していたと思うしかない。


《それじゃあ続きも頑張ってね〜!イヒヒヒヒッ…!

アーッハッハッハハハハハハハ!!!!!!》


聞いてる方も狂ってしまいそうな、狂った笑い声。


「日記……読んでみますか。」

 

私は電話を切り、机の裏にくっついているガムテープを

ベリッと剥がして日記を手に取った。


[12月1日、明日から新しいお屋敷で仕えることになる。

頑張ろう。]


1ページ目、至って普通の日記だった。


[12月2日、そんなはずがない。

私が新しく仕えることになった家族の旦那様は、

私がよく知る人物だった。]


2ページ目、世界は狭いと感じさせる文だが

ここもまた至って普通の内容。


[12月3日、信じたくない。]


3ページ目は、たったそれだけだった。


[12月4日、ありえない。]

[12月5日、うそつき。]

[12月6日、ずっと待ってたのに。]

[12月7日、憎い。]


日が重なるに連れて、

日記の持ち主の憎悪が顕になっていく。


もはや日記というより愚痴の掃き溜めノート……。



[12月8日、20年前の話は忘れよう。

彼は私を覚えていない。

ケジメをつけて、明日からは仕事に専念しよう。]


ここで彼女の気持ちが一旦整理されたようだった。

 

[12月9日、忘れようとしたのに。

彼がくれたおもちゃの指輪を落とした時に、見つかった。

彼はまだ私を覚えてたみたい。それだけで嬉しかった。

あの時の淡い気持ちに浸るように、

今日は2人で子供の頃の話をした。]


彼……いや、"あいのすけくん"。

覚えてたんだ…良かった。


ここで私は、日記の持ち主であったメイドさんは

手紙に名前が書かれていた"るるちゃん"だと気づいた。


[12月10日、奥様に内緒で旦那様と出かけた。

幸せだった。]


一見、日常的な内容にも見えるが

メイドさんは旦那さんに恋心を抱いている。

 

考えたくはないけど、

"不倫"という言葉をどうしても考えてしまう。

 

[12月11日、最近の奥様は態度が悪い。

私や家族への当たりが酷くて耐えられない。

あんな女、居なくなればいいのに。]


そして、この舘の奥さんへの憎しみや不満。


[12月12日、奥様の理想で作られたこの舘。

そして、奥様の理想で作られた家族。

この舘の廊下は、まるで彼女の気まぐれで捻れたみたい。

家具の配置も階段の数も……

"家族構成"も……気付けば全部。

彼女の理想の中に押し込められていた。

そんな見せかけの理想、私は壊したいと思った。

そうすれば……]


12月12日の日記を最後に、

残りのページは全て破られていた。


「破られてますね……。」


私は、日記を閉じた。


「破られてるのは、きっと

想像力を掻き立てるための"ブラフ"だろ。

それにしても……この日記、気になることだらけだね。

(みのる)はどう思った?」


私はサッパリだが、かなうさんにとっては

引っかかる謎がいくつかあったのだろう。


かなうさんは、実くんへ日記についての感想を求めた。


「うーん。わかんない!」


こういうのは、かなねぇの仕事でしょ〜と

私達に背を向け、2階へ行こうと催促した。


「……わかんないねぇ……?ははっ。」


かなうさんは、実くんには聞こえないよう小さな声で

可笑しく笑った。


「かなうさん、もう答えがわかったんですか……?」


この日記を読んでから、

さっきまで怯えていたとは思えないほど

表情が変わり、ニヤけた様子だった。


「まぁ、目星は。これ、久々に面白い謎だよ。」


まるで劇場にいる気分だと、嬉しそうに笑った。


「そうなんですね。

私は、日記の持ち主がるるちゃんってことぐらいしか。」


るるちゃんは、この舘のメイドとして雇われた。


しかし、どういう訳か

彼女が幼い頃にまた会う約束をしていた

あいのすけくんが人様の旦那として出会う運命に。


日記の通り、20年も前の子供の約束……。


当時は気持ちの嘘をついていなくても、

20年間約束と違う運命を辿っていたのなら

その気持ちは嘘に塗り変わる。


「なんだか、恋は盲目って感じですね。」


ここで再会しなければ、二人は

お互いに幸せを見つけられたかもしれないのに。


「なになに〜ここで恋バナしちゃう??」

「私が、人様に話せる程度の恋を経験してるとでも?」


全く、調子が出るとすぐ揶揄(からか)う。


「さて、(みのる)を追いますか。」


私達が立ち止まっていたせいで、

実くんを見失った。


2階にいることは分かっていても、

その領域は未知である。


「何も無いと良いけど……。」


鍵は全て実くんが手に持っていた。


「今までの脅かしパターンだと、

鍵開けた瞬間に魔物が……って十分にありえるからね。」


「そこまで分析してたんですね……。」


ただ怯えてるだけじゃなかったんだ……。


このハイスペックイケメンがよぉ〜!!!


私は、心の中でかなうさんへのリスペクトと

多少の毒を吐きながら、彼女と共に階段を上った。

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