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現実的ファンタジア〜綺麗で完璧な世界で、私たちは闇と向き合う〜  作者: KAИАU
第3章【新しい物語を紡ぐ"役者"は揃った】
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第52話〜再生〜

かなう視点です

「どうも〜。」


霧香に頼まれていたおつかいと

愛依ちゃんの名刺配りも終わって、一息がついた。


「なんかお腹空いたね。」

「もう昼時だからな。」


そりゃ、腹ぺこちゃんだわ。


「向こうにチッチンカー出てたよね。」


わっさんと共に、いい匂いがする方向へと向かう。


警察犬みたいな追跡は出来ないが、

隣の家の晩御飯を当てれるくらいには

私の嗅覚は優れていたりする。


この匂いは"ケバス"と"ココパイン"かな……?


「1個ずつ買うか。」

「俺の分は?」


全く、図々しい犬だな。


「肉だけ切り分けて貰えないか聞いてみるよ。」


腹が減っては戦は出来ぬからな。


まぁ、わっさんが戦闘で活躍したことなんてないけど。


「神。」


でも、こうして近くにいてくれるだけでも

私にとっては凄く大きな存在だ。


何せ、会話できるのが一番デカい。


今、こうしてわっさんが何したいとか

何食べたいとかを話してくれるだけで

私は、かなり幸せではある。



「熱いから気を付けてね。」


わっさんは、犬だが猫舌である。


お店の人に切り分けてもらった肉をわっさんに与えた。


「いただきまーす。」


私も、出来たてのケバスにかぶりついた。


一般的なタコスにケバブの肉を挟んだ

ちょっと贅沢なワンハンドフードだ。


ケバブのジューシーなお肉の他に、

甘辛なタコミートも入っていてかなり肉々しい。


十分に食べ応えがある一品である。


千切りのキャベツとみずみずしいトマトがまた

肉の旨みを引き立てていて食欲が止まらない。


「美味すぎるな。」

「人間はずるいな。俺は肉だけだ。」

「肉だけってのも贅沢だろ。」


それもそうかと、わっさんはバクバクと食べ進める。


今は魔物とはいえ、生前は私が現実で飼っていた

愛犬の魂が宿っている。


どういう原理でそうなったのかは分からないが、

わっさん本人も私の犬だったと言っている。


その、犬としての記憶があるから、

毒になりそうなものは避けたくて

今の彼の自由を奪ってしまっているのは

少し可哀想だなんて思ったりもする。


私は、ケバスの最後の一口を口に入れて飲み込んだ。


「さて、デザートもいただきますか〜。」


細長く切ったパイナップルに串を刺して

ココナッツオイルで焼き上げたスイーツ。

 

ココパインを齧った。


「うん、ジューシーだね。」


パインをそのまま食べるよりも、

加熱したことで甘みが増している。


さらに、ココナッツオイルの風味がパインとの

相性が抜群で、南国にいる気分を一気に味わった。


「今年の夏は海に行きたいね。」

「海なんて、ここじゃ夏じゃなくても楽しめるだろ?」


そうだけど……。


この前のマチコおばちゃんが話した四季の話を聞いて

四季を楽しむのも悪くないなって思った。


「気分で味わいたい時もあるんだよ。」

「なるほど。」


食べ終わった私は、ゴミをまとめてゴミ箱へと捨てた。


[0.3ウェルスを取得しました]


ゴミ箱に表示されるポイント付与の案内を確認して、

私はわっさんに話しかけた。


「よし。そろそろ待ち合わせの場所へ行くか。」

「ちょうど良い時間だな。」


待ち合わせの時間まであと10分。


時間に余裕があると、不思議と心も余裕が持てるな。


私は、サンライズ広場の高台付近でうつつを待った。

この辺は風車や花壇があるおかげで

待ち合わせがしやすいスポットになっている。


「なぁ、かなう。」

「どうした?」


わっさんが耳をピクピクと立てて、私に聞いた。


「向こう騒がしくないか?」


わっさんが指したのは、反対側のエリア。


私にはよく聞こえないが、

耳の良いわっさんには聞こえるらしい。


「何があったんだろうね。」


気にはなるが、うつつとの待ち合わせもあるから

下手に動けない。


ボーッと遠くを眺めていると、

物凄い勢いで走ってくる人がいた。


着ているポンチョが風圧で広がって

エリマキトカゲみたいだなんて思いながら

その人を見ていた。



「なぁ、あれ危なくないか?」

「普通に危ないな。」


私とわっさんは、風車に登るその人を見て言った。

 

様子を見ていた周りの人達も驚いて、

登るその人を止めたりしている。



「ちと、風車の下まで行こう。」


何かあったら大変だ。

そう思った私は、わっさんを連れて風車の下まで行った。


「良い的が出来たな。」


その人物は遠くに向かって声を張り、弓を構えた。


「……!!!」


この構え方……。


ポンチョのせいで顔はよく見えないけど、

下を向き、片足ついて狙う独特な弓の構え方に

私は見覚えがあった。


こんな癖のある構え方私の中で知ってる奴は

ただ一人だった。


ヒュン__


どこを狙ったのかは分からないが、

ふわりと遠くへ放たれた矢はきっと何かを

仕留めただろう。


そしてその人は風車から飛び降りようとした。


馬鹿か?その高さから身一つで降りたら死ぬぞ。


「わっさん、頼んだ。」


そう言って、私は

わっさんが前にうつつと出掛けた時に

出来たという魔法を使ってもらった。


膨張風船(ビッグ・バルーン)


みるみる大きく膨らむ我が相棒。


「おぉ……ホントに出来るんだ。」


わっさんの成長に、なんだか感動してしまった。



ボフッ__


見事飛び降りたソイツをキャッチした。


そして、私は"彼女"に近づいてこう言った。



「……お前、なんで生きてる?」


生ぬるい風が私の頬を掠める。

 

それは飛び降りたことでの生死ではなく

何故ここにいるのかという私の問いだった。


 


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