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現実的ファンタジア〜綺麗で完璧な世界で、私たちは闇と向き合う〜  作者: KAИАU
第3章【新しい物語を紡ぐ"役者"は揃った】
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第51話〜逃げるが勝ちとは限らない〜

「フィンちゃんもキャラバンに買い物しに来たの?」

「ああ。」


そうだったんだ。


「買い物の邪魔してごめんね。」

「いや、もう買った。」


フィンちゃんは肩に提げていた筒の蓋を取り、

その中身を見せてくれた。


「矢……?」


そういえば、助けてくれた時も弓使ってたなぁ。


「そうだ。これは綿梨鳥(わたりどり)という

丸くてふわふわした低級魔物の羽で作った矢。」



もしかして、まゆりさんとかなうさんの3人で

物騒な女子会をしてた時に倒したあの鳥かな……。


あの鳥、凄くふわふわしてた。


「買ったばかりでまだ試してないが、

威力が低い分、遠くに離れた所まで狙えるらしい。」


試しに射ってみるかとフィンちゃんは構え始める。


「まって、どこに射る気?」


こんなに人が沢山いるところで危ないんじゃ………

 

ヒュン__



止める前に放たれた矢は弧を描き、

どこに飛んだのかも分からないまま消えた。


視界が広い場所じゃないと難しそう……

なんて思っていたら


パチンッ__


サングラスをかけた男の人が

膨らませていた風船ガムを割って、近づいてきた。


「君達〜ちょっと良いかな?」


警察のような格好をしたその人は、私の腕を掴んだ。



「あ……はい。」


って、あれ?!!!


「フィンちゃん居ないんだけど!!!!」


私を身代わりに逃げた……?!

やっぱ華毒蜘蛛(エリクランチュラ)倒した時、

アイテム貰うんじゃなかった!!


うあああぁぁ!!!!!!!


どうしよ……

かなうさんとの約束の時間まであと10分なのに……。


「チッ…1人逃げたか。まぁ、いい。

不振な人物が弓を構えているという通報があってねぇ〜。

君だけでも、署まで来てもらうよ。」



終わった。



何このゲーム。リアル過ぎない?


署ってなんですか。


こんなチャラそうな人が警察……?

 

いや、それよりも。

私、警察のお世話になるんですか??

不運ビンゴ全開き行けそうなんですけど。


腕掴まれて逃げられないし……!!


「良い的が出来たな。」


ヒュン__


広場の高台にある風車からフィンちゃんが矢を放った。


「アイツっ……!!」


プスッ__


フィンちゃんが放った矢は、私を捕まえていた

男の人の手にピンポイントで刺さった。


「いたっ…!!……くない。」


刺さったところからは、血が流れているわけでもなく

どうやら痛みもないらしい。


見た感じ、玩具が当たったレベルの威力だった。


これがかなうさんの言っていた、

武器は対魔物用に作られているというあれか……!


「……!」


でも、おかげで男の人は私の腕を離した。


「フィンちゃんありがとう……!」


その隙に私は人混みと自慢の脚力を使って逃げた。


見捨てた訳じゃなかったんだ…。疑ってごめん。


遠くで男の人が何か言っている気がしたけど

私は振り向かずその場を何とか凌いだ。



あの後、フィンちゃんの姿も見当たらなかったから

きっと彼女は彼女で逃げたのだろう。



「待ち合わせどうしよ……。」


キャラバンをしていた広場から結構離れてしまった。


かなうさんにチャットで連絡入れてから

アトリエに帰ろうかな。


あ、そういえばフィンちゃんの連絡先聞くの忘れてた…。

 

「また、会えるよね。」


急いでたし仕方ない。


かなうさんに先に帰ってると連絡を入れようとしたその時


「なになに〜僕にまた会いたかったの?」


それは、さっきのチャラ警官だった。


「げっ……。」


思わず顔が引き攣る。


最悪なことに、行き止まりの路地へと

私は逃げていたらしく、警官に道を塞がれている。


「僕の連絡先くらい教えてあげるよ〜。」


そう言ってスマホを取り出す。


「い、いらないです。」

「え〜そう?悲しいなぁ。」


というか、なんでここに私が居るって分かったの……?


結構足には自信あったんだけど…。


「なんでここに僕がいるの?って顔してるね。」


まずい、顔に出てたか。


「君も持ってるでしょ?」


私も持ってる……?なんのことだろう。


「1人1つの"固有スキル"。

稀に2つ持ちの奴とかもいるけどねぇ〜。」


僕は会ったことないと警官は言う。


「僕のスキル"追跡印(トラッキング・タグ)"で、

君を追跡してきたってわけ。」


一度に複数は追えないから近くにいた私だけでもと

スキルを使用して追ってきたのだと。


矢を射ったのはフィンちゃんで、

私は何もしてないのに……。


「という訳で、署まで行こうね♡」


そういった警官は、私の肩をガッチリと掴み

転移魔法を呼び出した。


「あの、私何もしてないんですが。」


「してなくてもあの子と一緒に居たでしょ?

事情聴取しなきゃいけないからね〜。」


あぁ……とんだ災難過ぎる……。


かなうさんにまた迷惑かけちゃうな……。


「はいはい、そのまま歩いて〜。

転移ゲートに突っ込むよ〜。」


私の体は拒みながらも、

強制的にゲートへと飲み込まれていく。


「はーい、大人しくしてね〜。」


そうして転移した先は、【幻警署(げんけいしょ)】と

看板が書かれた立派な建物の前だった。


「幻警署……?」

 

聞いた事のないような機関の名前だった。

 

「君もしかしてこのゲーム始めたばかりかな?」


警察と変わらないよと言った。


要は、この世界でのルールや秩序を維持するために

働いている機関らしい。



「より平和な世界にするためには、やっぱり

僕達みたいな存在が必要なんだよねぇ〜。」


おかげで忙しい、なんて笑っている。


この人、見た目はあれだけど真面目なんだなと思った。


「僕の話は置いといて、君から話を聞かなきゃね。」


男の人は、にこにこと満面の笑みを浮かべながら

その優しい笑みとは反対にグイグイと

私を建物の中へと押し込んだ。

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