表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実的ファンタジア〜綺麗で完璧な世界で、私たちは闇と向き合う〜  作者: KAИАU
第2章【"侵食されていく日常"を味わう気分はどうだい?】
29/105

第26話〜蘭のスキル〜

「よっ……と。」

3階から2階へ、しなやかに飛び降りてきたかなうさん。


脚力も猫並みなのか……。


「随分派手な登場ですね……。」


部屋の隅で作業をしていた男の人が

私達の様子を見て言った。


「ハシゴが老朽化で崩れたんだよ。」

「それは大変失礼しました。

直しておくのでこちらへどうぞ。」


この人が蘭さん……。

 

黒髪のマッシュヘアに黒縁メガネ、

口元は忍者みたいな黒い布で覆われている。


なんなら、服装も忍者っぽい。

 

確かにかなうさん達の言う通り、

メガネを掛けているが……


クソとかチー牛とか、そう言われる感じには見えない。

まぁ、第一印象だけでは分からないこともあるよね。


「今日は何の用です?」

 

「コレの修理と、うつつの武器探し。

あと、スキルのことで尋ねたいことがあった。」


かなうさんは手に持っていた紙袋を蘭さんに渡した。


「うちは修理屋じゃないんですが……。」

「でも直すの得意だろ?」

「……それは…まぁ。」


蘭さんはハシゴに手を触れ、目を瞑りながら術を唱えた。


練影転写(れんえいてんしゃ)

壊れたハシゴが、元の姿へ戻るように修復されていく。


「凄い…!!」

私なら、壊したら新しい物に取り替えちゃうけど…

 

今目の前で見た蘭さんの魔法みたいに

"再利用(リサイクル)"という方法もまた、

物を大事に出来て、魅力的だと感じる魔法だった。


「そ、そんなに褒められたら……

う、嬉しいで……ござる。」


ご、ござる……?


本当に使う人いるんだ。

まぁ、見た目忍者っぽいしなぁ。



「あっ……しまった…。

あ、あの…引かないで欲しいです……。」

「ん?なんのことですか?」

「え、あ、いや……別に。」


視線が落ち着かない様子。

不自然に言葉も詰まっていた。


「はぁ……めんどくせぇ男。」


一つ溜め息を吐き、かなうさんは言葉を続けた。


「いっそ話したら?

"それ"についても聞きたくてここに来たんだよ。」


"それ"とは、かなうさんが言っていた

蘭さんのスキルのことだろう。


「私も聞きたいです!」


自分を知るための掴みになるかもしれない。

聞かないわけにはいかないよね。


「このスキルのことですか……。

そんなに話すことも無さそうですけど……。」


あまり話したい内容ではないのか、蘭さんは俯いた。


「あ、あの……。

嫌なら別に無理して話さなくても……。」


聞いて解決する話なのかも正直私には分からない。


「うつつは優しいなぁ。私ならグイグイ行くけどね。」

 

かなうさんらしい……。


「話しますよ……。

で、でも……嫌いにならないでください。」

「もちろん…!」


本人が話したくないような内容を、

私達が無理にお願いして聞いている。

否定するようなことは、絶対したくなかった。


「では……。せ、拙者の名は、

(あららぎ)嵐樹(あらた)と申すでござる…。」


自己紹介から始まるんかい__


思わずツッコミそうになった口を、私はグッと堪えた。

危ない、危ない……。


「……。拙者は、戸隠流の忍者…。

今も生きる(しのび)の子孫でござる。

故に、この口調も聞き慣れぬものかもしれないが

大目に見て欲しい…。」


「忍者?!忍者ってあの……?え、ガチ……です?」


気になったのは口調よりもそこであった。


「ガチ……。」


自分忍者ですって人に初めて出会った。

見た目凄く忍者っぽいし、この家もカラクリが効いてたし……


そう思うと納得の言葉であった。


「でも、きっと……

うつつ殿が思っている忍者とは少し違うでござる。」


戸隠流は、攻撃したりせず守りに重んじた守備の武術。


身を守り、家族を守り、主君を守る。

敵に相対しても、自分から攻撃を仕掛けず

相手の戦闘能力を奪っていく戦法をしていると言う。


「武器を持たずとも敵を倒す。

それが己の選んだ道であり、ここでの職は

錬金術師が向いてると思ってなったでござる。」


武器を持たずとも敵を倒す……。

なんてかっこいいんだろう。


「でも、拙者は……嫌われているでござるよ……。」

 

「どうしてですか…?」


こんなに素敵な芯を持っているのに、

何故嫌われるのだろう。


「スキルのせいでござるよ。うつつ殿も、

この屋敷へ入って少し体感したと思うでござる。」


この屋敷……。


「掛け軸だよ。あと最初のクイズもね。」


私が答えを出すのに時間がかかると思ったのか、

かなうさんが答えた。


「そういえば……。」


あまり深く考えなかったけど、今の自分の精神状態に

問いかけているものが多かったような……。


魂心透蘭(こんしんとうらん)


半径十メートル以内にいる生物の

奥深くで眠っている感情を見透かすスキル。


生じている蘭さん本人の意識関係なく

発動してしまうらしく、このスキルのせいで

良い思い出が無かったと蘭さんは苦しそうに語った。


「今は、ギルドに恵まれて向き合えているでござる……。

あと…これのおかげで、武器屋にくる

変な輩も弾けるでござる。」


まさに、防御特化のスキルだと言った。



「そのスキルなんだけどさ、職業決める前から

あったよな?きっかけとかあったの?」


きっかけ……。


「何故それをお前に言わなきゃいけない……。」

「えーいいじゃん。

ウチらもう4年の付き合いでしょー。」

「腐れ縁……。」


蘭さんの肩に腕を回そうとしたかなうさんだったが、

回す前に避けられていた。


「お前と"クソ前髪"のクエストに誘われて、

置いてかれた時てござるっ!!!」

 

忘れたのかと怒りを露わにする蘭さん。


クソ前髪……。

分かんないけど…多分紫雨さんのことだよね……。


「あー。そんなことあったねぇー。」

 

置いてったというかなうさんは

呑気に話を聞いているけど……


「かなうさん……状況似てません?」


今回の私が一人行動になった時と状況が似ていた。


「可哀想に……こいつに置いてかれたでござるか…。」

「あ、いえ!私はそうではなくて……

私の場合は自分の意思で1人に……。」


かなうさんに置いてかれたわけではなく、自分の意思で

転移中に手を離して1人になってしまったことを伝えた。



「私のスキルは、魔物を浄化するもので……

副作用なのかまだそれも分からないんですが、

浄化された魔物の声が聞こえるんです。」


あの時確かに華毒蜘蛛(エリクランチュラ)

ありがとうと言っていたのだ。それは聞き間違いない。


「今使うことは出来るでござるか……?」

「おい、WAKWAKさんしてんじゃねぇよ。」


キラキラと目を輝かせる蘭さんの背中を

バシッとかなうさんが叩いた。


「でも、今やるのありかもね…。

こいつに魔物錬金してもらおう。」


「え゙っ。」


流石に魔物は作ったことがないと

蘭さんは首を横に振った。


「じゃあ今から三人でクエスト行く?」

 

何故かなうさんはいつも、こう…

大胆な提案をサラッと出来るのだろう。

 

「それもちょっと……。」


結局、スキルについては

後日クエストで実証することにして

今日は武器だけ見ていくことになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつも作品を読んでくれてありがとう!
ぜひ感想お待ちしてます!

小説家になろう 勝手にランキング
↑こちらを押すと私の作品レベルが少しupします↑
★5評価いただく度におにぎり握ります!!
ブックマークもぜひよろしくお願いします*ˊᵕˋ*

Xでも小説のお知らせを更新したり、情報を届けています!
↓ぜひ、チェックしてね!↓
現実的ファンタジア公式Xアカウント
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ