第21話〜距離〜
本編の最後にうつつの二面図公開してます。
詳細説明は、活動報告にて!
「かなうさんは?
どうやって魔法剣士になったんですか?」
「私は武器に選ばれただけだよ。
もしかしたら、うつつもそっちのタイプなのかもね。」
自分から武器を選ぶのではなく、武器が自分を選ぶ。
そういうパターンもあるとかなうさんは言った。
武器が自分を……。
「それって物凄くワクワクしますね!」
「ふふっ。そうだね。WAKWAKさんだ。」
わくわく……さん……?
突っ込むべきなのか、そうでないのか……。
「気にするな。かなうはたまに可笑しな言葉を作るが
大した意味は持っていない。」
軽く受け止めてくれと、わっさんが耳打ちした。
「聞こえてるぞー。
意味はなくても愛着ってもんがあるでしょ?」
それは人によると思うけど、本人が好きで使っているなら
何も言うことは無い…多分。
「この"フリーク"は、
キミたちが言うガラクラの中に埋もれていたものだ。」
かなうさんは背中の大剣を撫でた。
「コイツが魔剣だったから、私は魔法剣士になった。
物凄く単純な理由だよ。」
「そうなんですね。」
私もそういう武器に出会えたら良いな。
「これから、この世界と向き合っていくうつつに
一つアドバイス。」
かなうさんは足を止め、くるりと私の方を向いた。
「どんな武器でも、それを持った瞬間に
誰かの命を狙い、誰かに狙われる側になる。」
魔物だけでは無い。
命ある動物、植物……そして……
__人も。
「うつつが思っているよりもこの世界は、
汚れなんて目立たないほどにとても"綺麗"で……
"嘘"に塗れている。」
かなうさんから聞くその言葉は、とても闇が深く__
ゲームを始めたての私にとっては
重苦しいアドバイスだった。
「ここから先、私がうつつに協力出来ることは
キミがこの世界を楽しむためのサポートだけ。
私の口から聞くよりも、うつつ自身の目で
この世界の在り方を探すべきだ。」
約束だよ。とかなうさんは左手の小指を差し出した。
「自分の目で……。分かりました。」
私はその小指に、自分の小指を賭けた。
「……それと。」
かなうさんは付け加えるように、もごもごと話した。
「私は、お酒とトマトが好きだ…。」
……え?なんのことだろうか。
「あれだ……うつつが、かなうのことを
知りたいって言ってたから。」
かなうなりの表現だ…とわっさんが説明してくれた。
そういう事か……!!
「私は……!かぼちゃプリンが好きです…!」
やっぱりこの人のこと憎めないな__
私は正面からかなうさんに抱きついた。
「ちょっ……剣刺さるよ!!」
「刺さってないので大丈夫です!」
そういう問題じゃないと剥がされてしまったが、
かなうさんとの心の距離が少し
近くなれた気がして私は満足である。
「あ、紙袋……。」
かなうさんは紙袋をベンチに忘れたと言った。
「私取ってきましょうか?
こう見えて足は速い自信あるので!」
ここからそう遠くもないし、5分あれば往復出来そう。
それに……
かなうさんが行ったら迷子になりそうだし……。
「確かに、夜猫冥神に追いかけられてた時、
何となく速いなーって思ってた。
お願いしてもいいかな?」
そんなことあったなぁ……。
ほんの数日前の出来事が懐かしく思える。
「任せてください!
5分で戻るので、ここで待っててくださいね。」
かなうさんに待ってるよう伝え、
私は集会所の方向へ走り出した。
「あ!待って!!」
何故か追いかけてきたかなうさん。
「加速魔法かけてあげるから……!」
そう言って、かなうさんは
私に加速魔法というものをかけた。
「天川銀河!」
見た目は何も変わらないみたいだけど……
「走ってみればわかるよ。
力を抜かないと止まるの大変だから気をつけてね。」
言われた通りに力を抜いて走ってみる。
「えぇぇぇ!!!?」
は、速い!!いつもの2倍……?いや、3倍?
力を抜いているのに凄い!
いつもの倍の速度が出てるのに息も全然上がらない……!
再度、行ってきますと伝えてから
1分経たずに集会所まで戻って来てしまった。
「これだよね?」
折れた彫刻の入った紙袋を手に取り、
かなうさんの所へと向かった。
「ただいま戻りました!!」
「はやっ?!!」
どうやら、2分くらいで戻ってきたみたいで
かなうさんも驚いている。
「ちなみにそれ、10分くらい効果あるよ。
歩いてても気が緩むと加速するから気を付けてね。」
「それ、先に言ってくださいよー!!!!!」
試しに歩いてみると、1秒で15メートル程進んだ。
それなら、魔法なしで走ったのに……。
「へぶっ……っ!」
先行くかなうさんを追いかけようとしたら、
唐突な加速に足がもつれて転んでしまった。
「急ぐな、うつつ。落ち着けば普通に歩ける。」
地面とキス寸前だった私に、わっさんが言った。
……うぅ。
そうは言っても気を緩めないって難しい……。
結局私は、魔法の効果が切れるまで
かなうさんと距離をとりながら歩いた。
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鳴宮うつつ二面図
キャラクターデザイン・イラスト担当▶︎かなまき先生
このお話で第1章が終了となります。
約2週間、ここまで読んでくださった方ありがとうございます!
引き続き第2章が始まりますのでお楽しみに!
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