第20話〜結果〜
私は結果通知を受け取り、集会所の外へと出た。
この結果はかなうさんと一緒に見たい。
「あ、いた。」
かなうさんは紙袋を身体の横に置き
スマホで何かを見ながら、
集会所の近くのベンチに座っていた。
私は、彼女の元へと駆けつける。
「お待たせしました……!」
「ごめん。」
「え……?」
かなうさんはスマホをポケットに入れて立ち上がると、
私にごめんと頭を下げて謝った。
思ってもいなかった言葉に、私は拍子抜けた声を漏らす。
「さっきのこと……。
折角うつつが知ろうとしてくれたのに、
突き放すようなことをして。」
優しい彼女のことだから、
きっと帰ってくるまで気にしていたのだろう。
「いえ。私も、待つ選択肢が必要だなと……
あの後考えていたので。私の方こそごめんなさい。」
私も深く頭を下げた。
傍から見たら変な光景だと思う。
でも、私達にとってはお互いの気持ちを
少し理解出来た瞬間だった。
「大丈夫だよ…ありがとね。顔上げて。」
私ったら本当に大人げないことしたねと
苦笑するかなうさん。
「かなうはいつも大人げないぞ。」
「そんなことないしっ!!!
エレガントで素敵な大人よ!!」
かなうさんが"いー"と言いながら、
わっさんの頬をビヨンと伸ばした。
そ、そういうところ……。
でも__
かなうさんのテンションが、
いつもの感じに戻ってホッとした。
「ん?お前こんなに皮膚伸びたっけ?」
ビヨンビヨンとスライムのように伸びるわっさん。
「あれ……のせい?」
わっさんが魔法を使っていたことをかなうさんに話した。
皮膚が伸びてるのって、昨日巨大化したから
それの後遺症みたいな感じなのかな?
逆に縮んだりもするのだろうか……?
「え?!!!お前魔法使えたの?今は?できる?」
話を聞いたかなうさんは驚いていた。
「多分無理……。俺のことはどうでもいいだろ。
それより、うつつのことを気にしてくれ……。」
わっさんが、私の持っている結果通知書に目を向けた。
あ……。すっかり、私も忘れていた……。
「これ、かなうさんと一緒に見ようと思って……
自分もまだ見てないんです。」
「そうだったの?別に先に見てても怒んないのにー。」
その言い方は、怒る前提の人が言う謳い文句なんですよ。
「かなうさんって嘘つけなさそう。」
「正直者だからね!」
毒を吐いたはずが、ふふん!と効果音がつきそうなほど
満足気な顔をされてしまった。
褒めたわけじゃないのに……。
そんな自信家なところが羨ましく思う。
「はぁ…。」
憎むことが出来ないほど、私は彼女の魅力に
どっぷりハマってしまっている。
「さぁさぁ。」
開けてと言わんばかりに、ポンポンと
私の肩を叩くかなうさん。
「開けますよ……?」
通知書の封筒を開け、結果を取り出した。
「え?」
「これは……。」
「……。」
結果を見た全員が同じ反応をした。
「……まっ……しろ……。」
[鳴宮うつつ様
職業試験お疲れ様でした。
試験の結果、貴方の適性職業は__
【 】との判断がされました。]
「判断されました???
判断してませんの間違いじゃないですよね??」
その後の文章も、職業が判断されなかったせいか
当たり前のように空欄である。
あの苦労した時間はなんだったんだ?
買い物へ行くため、私達は商店街へと足を進めながら
試験の話をする。
「不思議だね……どんな試験だったの?」
「心理テストの筆記と
仮想トレーニングルームで討伐模擬をやりました。」
かなうさんは考えるように顎に手を当てた。
なにか気になる事でもあったのかな……?
「かなうさん、職業試験受けたことは……?」
「ん?ないよ。」
ケロッとした顔で、ないとハッキリ言う。
嘘でしょ……。
「大変だったんですからね?!!!」
「まぁまぁ、落ち着いて。
職業試験自体が最近始まったシステムだからね。」
そうだったんだ……。
「それで…何が大変だったのかは
教えてくれないのかい?」
にこにことした顔で、かなうさんが私を見る。
「まぁ、知りたいなら…。」
独房みたいな部屋で心理テストをやったこと、
使ったことのない武器を選択して魔物を倒す
試験があったことを全てかなうさんに話した。
「確かにそれは大変だったね…。
よく悪天竺倒せたね。」
「倒したというか……たまたま機転が利いただけですよ。
武器も使わなかったんです……。」
もしかして……
使わなかったから判断出来なかったのかな?
じゃあ、あの心理テストの意味は……?
なんのために試験を受けたのか分からなかった。




