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現実的ファンタジア〜綺麗で完璧な世界で、私たちは闇と向き合う〜  作者: KAИАU
第1章【ようこそ"綺麗"で"嘘"だらけの世界へ】
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第8話〜相棒〜

かなう視点です

紫雨の提案で、わっさんを迎えに

AYAKASHIのヤツらと私の拠点(アトリエ)へ来た。


「相変わらず凄いガラクタやな。

逆にどうやったらこんなに集められるん?」


アトリエには、目覚まし時計の他に

私が冒険やキャラバンで見つけた

絵画や彫刻などの骨董品や宝石が大量にある。


「これすげぇー!!」


独楽千が秋刀魚の形をした剣、

秋刀魚(サンマ)ソード】を見つけて興奮している。


やはり、(みのる)はセンスがある。

お目が高い。


「何回言えばわかる。これ全部宝だ!!

皆馬鹿にするが、売れば一生遊んで暮らしていける分の

価値はあるんだからね!」


「ほな1つ貰ってこか。」


私の宝に触れたその手をベシッと叩いた。


「痛ァ……!独楽千(こまち)だって

ベタベタ触ってるやないの!」


「馬鹿野郎。素手で触るな。」


(みのる)は手袋してるけど、紫雨はしてないだろ。

全く……。


「あの……皆様、目的を忘れてませんか?」


ついさっきまで、私と紫雨の会話をズルいと言っていた

まゆりだったが、会話中に間を割って入ることは無い

()()()()()()女だ。

 

そこがまた、私がまゆりの好きなところである。


今回は目的があって皆ここに来ている。

むしろ会話を割って入るのが妥当だ。


今頃、うつつが

危険な目に遭ってるかもしれないというのに……


 

「これ振ると目光るよー!!俺これ欲しい!!」

「馬鹿…!!店で振り回すな(みのる)!!!」


興奮して剣を振り回す(みのる)を注意するも、

時すでに遅し……。

 

ガシャガシャガシャガシャ__


……最悪の事態が起こってしまった。


「ご、ごめん……。」


剣が他の商品にぶつかると、また別の商品へと

ぶつかり、ドミノのように倒れていく。


「私の宝が…………。」


目の前の悲惨な光景に耐えられず、

頭を抱えながら膝をついた。


__ポトッ


こぼれ落ちたのは彫刻の首か……私の涙か……。


仕方ない……彼はまだ12歳……。


そう自分に言い聞かせても、

彫刻が直ることはなかった。


バタバタバタバタッ__

 

「ご、ごごご、強盗ですかっ……!!!!!!?」


アトリエでの大きな音が気になったのか、

普段ログインしても地下の事務所に引きこもっている

私の妹・藍羽霧香(あいばきりか)が珍しく"客の前で"顔を見せた。

 

箒とちりとりを剣と盾のように持ち、

バケツを被って。



「私だよ……霧香。」


まだ、引かない涙を拭いながら私は立ち上がった。


「それ汚いよ…。」


霧香が被っている掃除用のバケツを取ってあげた。


「おねぇさま……!!!な!泣いてっ……!

誰だ泣かせた野郎……ん゙んっ!どうしたんですか……!」


私の泣き面を見て驚いた霧香は、

可愛らしいハンカチを取り出して私の目元を拭う。


家でもハンカチ持ち歩いてるの女子力斜め上過ぎだろ…。


それより今、野郎って言った?野郎って……!

お姉ちゃんそんな汚い言葉許しませんよ。


なんて……自分もかなり口は悪い方ではある。


「彫刻の首が折れてるねぇ。」


霧香の肩に乗っていたアオジタトカゲの魔物(霧香の相棒)

【レオナルド・ヴ・フランシス・

ヴァンサン・ウィリアム・ジョセフ】


通称・レフが青い舌を伸ばし、折れた彫刻の頭を掴んだ。


よく見るとこいつ、日に日に舌が伸びてる気がする……。


もしかして……いや、確証のない妄想はやめよう。


「ボンドでくっ付けたら直りますかね?」

「霧香、そういう時は接着剤だぁね。」

「接着剤……!流石レフ!」


なんて微笑ましい会話をしているが、

私と霧香以外にはレフの声が聞こえていない。


AYAKASHIの奴らにとっては妙な光景になっている。


「霧香ちゃんえらい楽しそうやな……。」

「レフ様は何と仰っているのでしょう……?」


紫雨とまゆりは不思議そうに霧香を見ていた。


「姉ちゃん……ごめん。」


泣きそうな顔で(みのる)が私のコートを

クイッと引っ張り、謝った。


「大丈夫。また集めればいいさ。

今度一緒に宝探しに行こうよ。」


私は実の背丈に合わせてしゃがみ、

頭を撫でて抱きしめた。


「……ズルイズルイズルイズルイ」

「クッ…!ショタポジで私から姉様を奪おうとっ…!」


欲に塗れたまゆりと霧香(オトナ達)は放っておくことにした。


さて、そろそろ本題に入らなければ。


私達がほのぼのとやってる間に、

うつつは絶賛ピンチであろう。


「おーい、わっさーん。」


私は自分の"相棒"の名前を呼んだ。


「ここだ……。助けてくれ、かなう。」


おっさんのような渋い声が近くで聞こえる。

それは紛れもなく私の相棒、わっさんの声である。


「おまえの時計に潰されて……うっ」

「わっさん?!!」


実が倒した宝達をどかしていくと、そこに埋もれた

私の相棒が気だるげな目でこっちを見ていた。


「あらら……不運ってるね。」

「なんだそれは。」


うつつに何となく言った"不運ってる"という言葉が

ジワジワと自分の中できていた。


これから可哀想なヤツ見つけたらこれ使おうかな。


そう思いながら、埋もれたわっさんを救出した。


「すまない。助かった。」


モコっとした身体。

ピンと立った耳に水色の毛並み。


犬のような見た目をした

ぬいぐるみの魔物こそが__


私の相棒"わっさん"だ。


額の三日月模様がこの子のトレードマークである。


「なんでレフの会話は分からへんのに、

わっさんはハッキリ分かるんやろな」


「俺は特別な魔物だからな。」


まぁ、喋れても戦闘では役に立たない下級魔物だけどね。


直ぐに「かなう、俺無理だ……。」って

泣き寝入りするから……ただのマスコット化している。


「わっさんごめんねぇぇ!!」

(みのる)がわっさんを抱きしめて謝る。

 

「俺は特別な魔物だから問題ない。」


自画自賛だけは素晴らしいやつである。

 

そして、やっと本題に入れそうだ。

 

「あのさ、わっさん。君の嗅覚を貸してほしい。」


私の事をじーっと見つめるわっさん。

相変わらず何を考えているのか読めない顔だ。


「……今日の夕飯で手を打とう。」


「はいはい。【S.D.D(エス・ディー・ディー)】の骨付き肉3本ね。」

 

わかりやすいヤツめ。

まぁ、私も酒が飲みたかったから丁度いい。


「俺らも夕飯お供しようか。」

「リーダーの奢りですか?」

魁斗(かいと)にぃの奢り?!やったー!」

「奢りなんて一言も言うてへんで?!!!」


こいつら今日ずっと一緒に居るな……って思ったら

土曜か。


休日皆暇なんだな。


「霧香はどうする?」

「私は……やっぱり外はちょっと……。

行きたい気持ちはあるんですが……まだ…。」

 

霧香は、ガラス越しの外の光に一瞬目を細めた。


そっかぁ……残念だな。

霧香が行かないならレフも行かないだろう。

 

「なら、お土産買ってくるね。」

「お姉様……!!!ポテチとコーラもお願いします!!」

 

それくらい自分で近くのコンビニで買え……

とは言えなかった。


可愛い妹の頼みだもの。


「かなう。それで、俺は何をすれば。」

やる気になったわっさんが聞いてきた。


「女の子を探して欲しいんだ。

さっきまで一緒にいた"うつつ"って子を。」


そういえば……。


「少し待ってね。」


私は2階の寝室へ行き、ある物を手にして

また1階のアトリエへ戻った。


「これは……?」

まゆりが聞いた。

 

「うつつが昨日着てた服だよ。

今は報酬で得た衣装を着てるよ。」


匂い分かるかな?うつつの服をわっさんに嗅がせる。


「いい匂いだな……優しさと哀愁の匂いがする。」

「その渋い声でいい匂いとか言っちゃうのアウトだから」

 

なんでコイツは見た目可愛いのに、

そんなに声が渋いんだよ……!!!


3年近く一緒に居るが未だに慣れない。

 

「転移失敗でどこに飛んでるか分からないんだけど、

どう?わっさん。分かりそうかな?」


「かなう……」


わっさんは、冷や汗をタラタラと流しながら口篭る。


このパターン……もしかして


「俺、無理だ……。」


私達は、うつつ探しを諦めて

散らかったアトリエの片付けを始めた。


うつつ……うちの相棒が無能でごめんね。


私は首の折れた彫刻を紙袋に入れる。


これは近いうちに"あの錬金術師"のところに

持っていこう。

 

紙袋をカウンターの後ろに置き、

転がった大量の目覚まし時計に手をかける。


時刻は、15時になろうとしていた。

 


あっ__


「もしかしたら……。」


転移魔法と私のスキル・全能魔法オールマイティ・マジックを組み合わせれば、

うつつのところに行けるかもしれない。


「紫雨、手を貸せ。」

「なんか思いついたん?」


私は、神頼みでしかない案を皆に共有した。


ネックなのが、全能魔法オールマイティ・マジックの成功確率が

20パーセントというところ。


イメージを全て形にすることが出来る

超優秀魔法だがそれなりの確率で失敗もする。


これが100パーセントの確率だったら、

向かうところ敵無しのスキルだね。


「なるほどなぁ。それで、帰る時は

俺の転移魔法でここまで戻ってくると。」


やらないよりはマシなんちゃう?と紫雨も乗ってくれた。


「貸しイチやで?かなう。」

「うつつの命に比べたら安いもんよ。」


にこにこと口を緩ませる紫雨。


「ほな、かなうとデートしてくるなぁ。

まゆりちゃん達は片付け頼んだわ。」


こんな人の命がかかった

物騒なデートがあってたまるかよ!!


そうツッコミたいところだったが、

紫雨の戯言(ざれごと)は放って、私はスキルに集中した。


今迎えに行くからね……!!


全能魔法オールマイティ・マジック!!」


私はうつつの顔、匂い、仕草__全てを思い出す。


まだ一日も経っていないのに、

こんなに心配になるなんて……。


私は凄く彼女の事を気に入ってしまったみたい。

 

お願いだ……!

うつつが今いる場所へ、ワープしてくれ……!


星紡ぎの扉(アステリズム)!!」


私の目の前に転移ゲートが開く。

 

「手は嫌だから、服掴んでね。離すなよ!」

「はいはい、仰せのままに〜。」

 

私と紫雨は星が輝くゲートに飲み込まれていった。

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