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こどもに、もどろうよ

 帰り道「広い所ってどこかある?」と私は慎二くんに質問した。

慎二くんは黙り込んでから「ここを真っ直ぐで、あそこを左……」と道を教えてくれた。

「ありがとう」

 やっと着いた。

足跡が一つもない場所だった。

ここで雪遊びをしよう。

 しばらくして、慎二くんが何かを作っているのに気がついた。

私は慎二くんの所に行って「何作ってるの?」と聞いてみた。

「何作ってると思う?」

「えー。なんだろう」

雪だるまにしては小さいし、形が違う。楕円形というのだろうか。

 考えていると出来上がった。

「正解は……」

慎二くんが正解を言おうとした時、分かった。

「雪うさぎだっ!」

「正解」

「可愛い。慎二くんって意外と子供っぽいね」と慎二くんが言ったことを真似して言った。

「そんなこと……」と慎二くんが言いかけた時「あるよ」と私は微笑んで言った。

 しばらくしてから「あっ!」と私は思い出した。

「ん?」

「あれ? 来週だっけ? 再来週だっけ? 期末テスト」

「すっかり忘れてた。勉強しないとな」

「やる気が出ないんだよなあ」と私はため息をつきながら言い、バッグの中に手を突っ込んだ。

どこだっけ……? と考えながら探す。

探し物はすぐに見つかった。

私が取ったのは一冊のノートだ。

「それ、何のノート?」

「勉強方法が書いてあるノートだった気がする」

私はノートをペラペラとめくった。右側のページには『結月の勉強方法』左側のページには『サ○エさん症候群を乗り切る方法』という見出しがあり、その下に文字がずらっと書かれていた。

右側には『あらかじめ録音しておいた推しの声を聞く(内容は「頑張れ」)

そうすることにより、推しに応援されている感が出て、やる気が出るご褒美を考える

目標を達成できた場合はご褒美を、達成できなかった場合は罰ゲームをする』と書いてあった。

左側には『推しを見る

推しがいれば何でもできるから。一番効くのが推しの笑顔。病んでる時に推しを見ると効果アリ

推しの声(頑張れ)を聞く

応援されたら死ぬ……

ポイント!

毎日頑張ったら推しの声(すごいな、頑張ったな、などの声)を聞く』と書いてあった。

「何だ? これは」と推し本人に見られてしまった。

「あっ。これは……そ、その……昔の私が書いたやつで……」

どうにか誤魔化そうとしたが、すぐに「嘘っぽい」とバレてしまった。

「う、嘘じゃないって。昔、書いたんだよ。昔って言っても中学生の頃……いや、最近だな……」と最後は聞かれないように呟いたが「ほら。最近じゃん」と慎二くんに聞かれていて、笑いながら言った。

「ってか推しって誰なんだ?」

「えーっと……」と私はためらったが、いつかバレるだろうと思い、「今、私の近くにいるね」と分かりやすいように言った。

慎二くんと私以外は誰もいない。

「もしかして……俺?」

「……うん」

「頑張れなんか、いつでも聞かせてあげるよ」

「いや、大丈夫だから///」

「頑張れ」と慎二くんは耳元で囁いた。

「はわわっ///」と聞いたことのない声を出しながら私は尊死してしまった。

 慎二くんは「大丈夫?」と言いながら私をお姫様だっこをした。

「えっ//そ、それは反則だって//」

だけど、暖かかった。

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