表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/28

ごめんね、

「ついてきて」と私は慎二くんの腕をぐいっと引っ張った。

「え? あ、うん」

たったったと軽い二人の足音が、日が沈む中で聞こえる。


「ここ」

「へぇ。すごい。こんな所にあったんだな」

私達が来た場所は夕日が見やすい丘だ。

「見せられてよかった」と私はにこりと笑った。


「暗くなっちゃうから、早く帰ろう」

「そうだな」

たったったとまた足音が聞こえる。

今まで辛かった日々が何も無かったかのようにさーっと綺麗に消えた。


 次の日、慎二くんが欠席した。

昨日、寒い中で夕日を見たから風邪ひいたのだろうか。

自分が最低に見えてきた。寒い中、夕日を見るだけに連れて行った自分が。

 次の日もまた次の日も慎二くんは欠席した。

「自分って、最低な人間だな」

 帰り道、夕日を見た所に行った。

一人で見る夕日は少し寂しい。

もう少しで日が沈む。その時、「いた。結月」と慎二くんの声が聞こえ、私は振り返った。

「し、慎二くん⁈ か、風邪は大丈夫なの?」と私は早口で言った。

「風邪はもう良くなったから心配しなくて大丈夫」と慎二くんは言い、私の隣に座った。

「よかった」と私は微笑んだ。

 日が沈み、辺りが暗くなった。

「暗くなったから帰ろうか」

「うん」

「風邪でもひくと困るからな」


 次の日、慎二くんは復帰した。

平和な日常が続く。元の世界でもこんな日が続けばいのに。温かい人がいればいいのに。

もう、帰らなくてもいいかも、と思いながら廊下を歩いた。

「あれ? 何で廊下にいるんだっけ? 何をしようとしたんだっけ?」と呟く。

私のあるあるだ。思い出そうと教室に急いで戻ろうとし、方向転換しようと思ったその時、ドンっと人にぶつかった。

やばい。人にぶつかってしまった。今すぐ謝らないと。

「ごめんなさいっ」と深く頭を下げた後、顔を上げると慎二くんだった。

「大丈夫だよ」と慎二くんは微笑んで言った。

私の顔は真っ赤になった。

「じゃあっ!」と一礼し、咄嗟にその場から離れた。


 家に帰り、私は「慎二くんめっちゃいい匂いしたけどどんな洗剤使ってるのかな」と、ひとり呟いた。

話は変わるが、前までは学校行きたくないと思っていたが、今は学校にとても行きたくなっている。しかも慎二くんのことを“推し”ではなく、“好きな人”だと思っている気がする。

すると、「結月ー。洗剤切れたから買ってきて」と母に頼まれた。

 私は近くの店に向かった。

「あれ? どこだっけ?」ときょろきょろしながら歩く。

探しながら歩いていると、目の前にあった。

「あった! これだ!」

その先には慎二くんらしき人がいた。

バレないように行こうと思い、そろりそろりと歩く。

後ろを通ろうとした時、「あれ? 結月」と普通にバレてしまった。

私が後ろを通ろうとした時、それと同時に慎二くんが立ち上がり、振り向いたら私が。という感じだ。

あ、そうだ。廊下でぶつかった件の事をしっかり謝らないと、と思い、「廊下の時、逃げちゃってごめん」とうつむいて謝った。

「いや、大丈夫だよ」と慎二くんはいつもの笑みを浮かべた。


……


この時間が気まずい

「それより、結月はなぜここにいるんだ?」

「親に頼まれて」

「俺も」と慎二くんはにやりと笑う。

「そうなんだ。じゃあ。また明日」と私は話を切り上げた。

慎二くんは戸惑っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ