不安
おはようございますー
「もう、夜だね」
「そうだな」
辺りは真っ暗。昼間より人が少なくなり、寒くなってきた。
そうだった。遊園地に行く理由である“あれ”を見せていなかった。
私は思い出してすぐに「あっ。そうだ! ちょっと来て」と言った。
「え?」
「いいから」と私は慎二くんの手を掴み、走った。
たったったと私たち二人の軽い足音が聞こえる。
はぁはぁと息をし、「ここ!」と言う。
「何もないけど?」
「あと何分かで始まるよ」
すると、時間がぴったりだったのか、ぱっと灯りがついた。
「綺麗だな」と慎二くんは見惚れていた。遊園地に来て正解だったのかもしれない。
「でしょ。だから遊園地に行こうと誘ったんだよ」
「そうなんだ」
私が見せたかったのはイルミネーションだった。
「ありがとう」と慎二くんはにこりと笑った。
前よりも長く二次元にいる気がした。目眩も体調不良もない。
もしかしたら……そんなわけないか。
いつものように毎日を過ごす。
十日後──
元気!
十五日──
元気!
二十日後──
元気!
もしかして私、帰れなくなった⁈
分からない。私の勘違いで帰れるかもしれない。
まだ二次元に居たい。だけど最近怖く感じる。
もう二度と元の世界の家族に会えなくなるかもしれない。
もう二度と私が好きだった場所に行けなくなるかもしれない。
そう思うと益々怖く感じる。
だけど戻ったらイジメられる。
ああーっどうしよう。私は頭を掻く。
戻りたいけど戻りたくない。矛盾していることは分かっている。
とりあえずネットで帰る方法調べるか、と思い「二次元から帰る方法」と検索した。
すると『このページは表示できません』と表示された。
それから私は何度も何度もやってみたが、表示されなかった。
本当に帰れない⁈
慎二くんに言わないと。
慌てるな、私。慌てるな。逆に行く方法は?と思い「二次元 行く方法」と検索してみた。
普通に繋がった。
なぜ行く方法は繋がるのだろうか。
よく分からなかった。
今日の帰りは遅く、他の人はいなかった。
「帰るか」
「うん」
「あのさ、私帰れなくなった」と私は急に話したので、慎二くんは「え?」と首をかしげた。
「体調不良にならないし、ネットで検索すると……」
私はまた検索した。
「ほら。表示できなくなった」
「ひょっとしたら結月のスマホだけなんじゃ?」
「じゃあ、家で調べてみる」
「俺も」
私はスマホの他にパソコンも持っている。
「検索っと」
また同じことを調べたが『このページは表示できません』と表示されるだけだった。
「はあ。またか」
何度も試したがダメだった。
私は友達にも協力してもらおうと思い、チャットを開いた。
結月「“二次元から帰る方法”って検索してみて」
友達「え?」
結月「検索したやつをスクショして送って!」
友達「了解!」
──数分後。
友達「はい」
友達から連絡が来た。
送られて来た写真を見ると私のと同じように、『このページは表示できません』という文字が表示されていた。
検索ができない。体調不良で帰れると思っていたから帰り方は調べてなかった。一生二次元にいるの……?
怖いと楽しいの複雑な感情。
もう、二度とあの日現実は来ないんだと。
元の世界には戻りたいけど戻りたくない。
戻っても家族との過ごす時間があってもイジメは無くならない。
イジメさえなければいいのに。
イジメがなかったら普通の中学生だったのに。




