ちょっと、気まずいな
どれから乗ろうかなと考えていると「観覧車乗ろう」と慎二くんが提案してくれた。
私は反射的に「いいよ」と言った。
個室で二人。耐えられるか心配だけどここまで耐えてきた。私ならいける。
鼻血が出ないように、死なないように頑張って耐えよう。ほら、二人きりの時間がもう来た。
何を話したらいいのか。ネタが無い。
「綺麗だね。あれが駅かな?」
ダメだ。本当にネタが無い。
「そうだな」
話が終わってしまった。私は焦った。
話が続かない。こうなったら……! と思い私はスマホを取り出し、カメラを開いた。
カシャ。カシャ。カシャ。と数回、カメラの音が鳴る。
私は空や景色を撮るのが好きだ。
「ごめん。うるさいでしょ」
「大丈夫だよ。ちょっと見せて」と言われたので、撮った写真を見せた。
「撮るのが下手なんだよね」と私は頭を掻きながら言った。
「そう? 上手いけど」
「本当に? ありがとう」
私は照れ臭く感じた。
慎二くんは、一呼吸置いて「じゃあ、二人で撮るのは?」と言った。
私は「え」しか言葉が出なかった。衝撃の言葉だ。
私は我に返り、「いいよ!」興奮して大きな声で言った。
撮った写真を見ると全然盛れてない、何かが物足りない写真になった。
まず私の顔。表情が硬い。
「もう一回撮ろうよ。加工できるアプリがあった気がする」
丁度アプリが入っていた。
「準備できたから観覧車が降りる前に早く撮ろう」
「そうだな」
写真を見ると納得いく写真になった。
慎二くんに見せると「良いじゃん。撮るの上手いな」と言ってくれた。
「ありがとう」私は初めて慎二くんの前で歯を見せて笑った。
慎二くんは思い出したかのように「そういえば、誕生日プレゼント……」と言った。
「だから大丈夫。本当に」
「何か欲しいものある?」
「いや……ないかな」
本当はあるけれど高すぎるので言えない。
「正直に言って」
「え、えっと……その……グ、グランドピアノが欲しいな」
「じゃあ、それで大丈夫?」
「冗談でしょっ!」
グランドピアノなんて、まだ未成年が出せる金額ではない。
「そうかな……?」
「やめて! 買わないで!」
「それよりも、先のことは考えずにこの時間を楽しもうよ!」
「あはは」と慎二くんは軽く笑った。
ぶらぶら歩いてると目の前にジェットコースターが見えた。
「あれ、乗ろうよ」
「あ……うん。乗るか」
慎二くんはあまり乗り気ではなかった。私もだが。
ジェットコースター苦手なんだよな。乗らなきゃ良かったな、と思ったがもう戻れない。座ってしまったから。
ガタガタガタと動き出した。
怖くなってきた。
「怖い……」
独り言のように呟いた。
「大丈夫。俺もだ」
どうやら慎二くんにも聞こえてたらしい。
……ってか慎二くんも⁈
耳が幸せ。太陽よりも眩しい。怖さが急になくなった。だけどそれはほんの少しの時間だけだった。
レールを見ると、あと数秒ぐらいに落ちる。
その向こうにはグルグルしたレールが見える。
やばい時には隣を見れば怖さは吹っ飛ぶ。
って慎二くんも怖くなってる……⁈
すると私の手の上に慎二くんの手が……
その時、ヒュー!ガタガタっと落ちた。
私は怖く手を離してかがみ込んだ。
ガタガタッ!
グルグル回った。
私は前にある手すりを握りしめた。
何か変な感覚だなと思い、手を見た。私の手の下に慎二くんの手が……また⁈
終わった後「あの、さっきはごめんっ!」と私は全力で謝った。
「大丈夫だよ。てか、結月はジェットコースター苦手なんだな」
「うん。まぁ。慎二くんも苦手じゃん!」
「あはは。でも、何でジェットコースターに乗ったんだ?」
「憧れがあって。二人で外出とかって初めてだから分からないけど、絶叫系とかって二人で外出には欠かせないっていうか……だから、苦手だけどジェットコースターにしたんだ」
「そっか」
慎二くんはぽつりと言ったが、私にはとこか嬉しげに聞こえた。
これから低浮上になるかもしれません。
今年受験生なので……
Novel Cakeは頑張って投稿します!
すみません!




