無理しないでね、
次の日「おはよう」と私は挨拶をしたが、いつもの慎二くんではないので「顔色悪いよ? どうしたの?」と私は心配した。
慎二くんは頭を掻きながら「ちょっと寝不足で……」と言った。
「そっか」と私は返したが本当に大丈夫なのかな、という心配もあった。
その時、バタッ、ドンッ! と音を立て、慎二くんがバランスを崩した。
幸い倒れなかったのは良かった。
「だ、大丈夫⁈ ほ、保健室行く⁈」私はあたふたした。
こんな時、どうすれば良いのだろう。行かせる? 行かせない? あとは?
慎二くんは、私の肩に手をぽん、と置き「いや、大丈夫」と言ったが、私には無理をしているように見えた。
「いや、でも顔色悪いじゃん。行った方がいいよ」
慎二くんは黙っていた。
私は無理矢理保健室に行かせた。
バランスを崩さないように私はしっかり支えた。
「大丈夫?」
「大丈夫」
「じゃあ戻る?」
「うん。戻るか」
戻るのと同時に一時間目の予鈴が鳴った。
元の世界なんて忘れてしまえば良い。
そう思ったその時、ガシャン! と何かが割れた音がした。
振り返ると花瓶だった。
それに気づいた私は欠片を拾おうとしたが「痛っ」と指が切れてしまった。
「大丈夫か?」と先生が心配してくれた。
「大丈夫です」
何でこんなに不幸な事が起きるのだろう。
私はうつむきながら思った。
すると、一枚の欠片が拾われた。
見上げると慎二くんだった。
「大丈夫? 怪我してるから救急箱持ってくるね」
「ありがとう……」
泣きたくなった。こんなに優しくしてくれる人はいないから。元の世界のクラスメイトは全員優しくない。
だけど今泣いたら迷惑をかけてしまうと思い、私は泣くのを堪えた。
「はい」と慎二くんは救急箱の中にある絆創膏を一枚取り出した。
「ありがとう」私は受け取り、絆創膏を貼ろうとした。
すると、慎二くんは「いいよ、やるから」と丁寧に絆創膏を私の指に巻き、「よし、これでオッケー」と言った。
「色々ありがとう」
「良いよ。だって──」
「え?」
「いや、何でも無い」
慎二くんは何か言おうとしたけど他の人がいたので言うのをやめた。
今度は 大きな音を立てて私の筆箱が落ちた。
ペンなどは筆箱から出てバラバラに。やっぱり私は運がついていない。
周りの人が拾ってくれた。
隣の席の慎二くんは、周りの人よりも多くペンを持っていた。
「ありがとう」
私はペンを受け取ろうとした。すると、慎二くんは「筆箱に入れとくよ」と言い、私の筆箱の中に入れてくれた。
「え」と私は一瞬固まったが、すぐに「ありがとう」と笑みを浮かべた。
付き合っていること、クラスのみんなにもバレているのかな。言われそうな雰囲気が漂っていた。
予感が的中した。
昼休み「ねえ、今付き合ってる?」と友達が急に言ってきた。
「え? うんん」私は首を振りながら言った。
「本当に?」と友達は私を疑う。
ヤバい。バレる。どうしよう。
「ほ、本当だって!」
「怪しい人にも聞いてみようか?」
もしかして、慎二くん……? と思った。私の心は恐怖で満ちた。
どうにか止めないと、と思い「そこまでは……」と両手を前に出しながら言った。
「てことは……?」
私は「はあ」とため息を吐き「分かった。いいよ」と言った。
バレそうだった。
「ねえ、付き合ってる人いる?」
慎二くんもびっくりしていた。まさかこんな質問が急に来るなんて、と思っただろう。
「え……?」
慎二くんは私の顔を見た。私は首を振った。
「いや、いないよ」
「本当にー?」
「だから、結月にも聞いてみただろ」
「なんで下の名前で呼んでるの? まさか……」
「別に良いじゃん」
この会話がドキドキした。バレるかどうか分からない会話が。
会話が終わった。
これで一安心。
ではなかった。
こういう友達ってめんどいよね、、
ーーー
今日は修了式でした。
え?! もう受験生?! っていう感じです。
恐ろしい。
ーーー
好きだった先生が異動……。
嫌いな先生は残る……。
くそっ!




